1．価格カルテルに対する最近の法執行
今年に入ってから、中国の価格独占協定（＝価格カルテル）に対する法執行機関である国家発展改革委員会（以下、「国家発改委」という）及び地方の価格主管部門は、カルテル防止に向け、これまでにない頻繁な取締を行っている。現時点までに、国家発改委及び地方の価格主管部門は、液晶パネル、白酒、粉ミルク、金装飾品など、多くの業界において価格カルテルに関する調査を行うとともに、これと前後して、関連業界内の価格カルテル行為に対し、巨額の制裁金を科している。具体的な事例としては、次のケースが挙げられる。

①液晶パネル事件：2013 年1月、国家発改委は韓国のサムソンなど、6社の液晶パネル生産企業が水平的価格カルテルを結んでいたとして、総額で約3.5億人民元（当時のレートで約50億円、以下同様）の制裁金を科した。

②白酒事件：2013 年2 月、貴州省物価局、四川省発改委は、茅台、五粮液が垂直的価格カルテルを結んでいたとして、総額で約4.5億人民元（約67億円）の過料を科した。

③粉ミルク事件：2013 年8月初め、国家発改委は、ミードジョンソン、デュメックス、アボットを初めとする複数の外資粉ミルク企業及び中国の乳製品生産企業である合生元、貝因美など、多くの粉ミルク企業が垂直的価格カルテルを結んでいたとして、総額約6.7 億人民元（約108億円）の過料を科した。