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ログイン2013年11月20日
持分収益には通常、次のものが含まれる。①持分譲渡収益、②持分配当収益。国内外の自然人、企業(本文で言うところの「企業」とは「会社制企業」を指す)が中国(「中国大陸部」を指し、「香港、マカオ、台湾」は含まない)の非上場企業(性質上、「中国居住者企業」となる)の株主として取得した持分収益に伴う中国での税負担の問題について、筆者は以下の通り簡潔に分析する。
(一)持分譲渡収益に伴う中国での税負担について
持分譲渡収益とは、持分譲渡人(自然人、企業を含む)が持分譲渡方式を通じて取得した純利益を指し、持分譲渡収益 = 持分譲渡価格-持分原価となる。その内訳は以下の通りである。
(1)持分譲渡価格とは、持分譲渡人が譲渡した持分について取得した現金、非通貨資産または権益などを含む形式の金額を指す(被持株企業に未処分利益または税引き後に積み立てた各種基金などがある場合、持分譲渡人は持分と併せて当該株主利益留保権の金額を譲渡し、持分譲渡価格から控除してはならない)。留意すべき点として、持分譲渡価格は公正で合理的でなければならず、持分譲渡価格が明らかに低きに過ぎ且つ正当な理由もない場合、税法では異なる査定方法を明確に規定している。以上の通りとは言え、実務において最もよく見られる処理方式として、主管税務機関は通常、専門機関が評価を行い、その評価価格を税額算出の基礎とするように要求する。
(2)持分原価とは、持分譲渡人が出資して持分を取得した時点で被持株企業に実際に払い込まれた出資金額、または当該持分を購入した時点で当該持分の元の譲渡人に対し実際に支払われた持分譲渡金額を指す。留意すべき点として、持分原価は相応の証拠を備えていなければならず、例えば以前に出資した際の出資検証報告書、以前に持分を購入した際の契約書、会計監査報告書などである。
主体 | 税負担計算(簡潔な説明) | 主な法律根拠 | |
自然人
|
国内 | -個人所得税 = (持分譲渡収益-合理的費用)×20% -上記「合理的費用」に関し、中国法に明確な規定はなく、実務においては通常、税金(例えば、印紙税)、評価費用および必要なコンサルティング費用(例えば、弁護士、会計士、税理士などのコンサルティング費用であるが、必要なものに該当するかの具体的な判断については、管轄税務機関、更には担当官により見解および要求が異なるものと思われ、事前に確認することが望ましい)。 |
-「個人所得税法」 –「個人所得税法実施条例」 –「持分譲渡所得に伴う個人所得税税額計算根拠の査定問題に関する公告」 –「持分譲渡所得に伴う個人所得税の徴収管理の強化に関する通知」 |
境外 | |||
企業
|
国内 | –企業所得税 =持分譲渡収益×25% -持分譲渡収益を当期の課税所得額に計上し(法に従って欠損を補填するなどもできる)、企業所得税を統一計算する。 |
–「企業所得税法」 –「企業所得税法実施条例」 –「企業所得税法の実施徹底に伴う若干徴税問題に関する通知」 –「非居住者企業の持分譲渡所得に伴う企業所得税管理の強化に関する通知」 –「非居住者企業の所得税源泉徴収管理暫定弁法の印刷発布について」 –「株主配当金の協定税率の状況一覧表配布に関する通知」 |
国外 | –企業所得税(源泉税/源泉所得税)= 持分譲渡収益×10% -中国と関連国、地区との間の税収協定に基づき、税率が10%を下回る場合、低いものを適用する。 -この他、留意すべき点として、国外投資者(実際の持分支配会社)が中国居住者企業の持分を間接譲渡する(通常では、表面上は中国居住者企業の株主に変更はないが、株主の背後にある持分などの支配関係に変化が生じることを指す)際、譲渡を行う国外持分支配会社所在国(地区)の実際の税負担が12.5%より低い、またはその居住者国外所得について所得税を徴収しない場合(例えば、BVIなどのタックスヘブン)、中国主管税務機関から企業所得税(源泉税/源泉所得税)の納付を要求されることが大いに考えられる。これは「ウォルマートの好又多の買収に対する非居住者企業所得税徴収」の案件において、十分に現れている。 |
備考:上記の個人所得税、企業所得税以外にも、持分譲渡時に、持分譲渡人、譲受人(自然人、企業を問わず)は通常、持分譲渡価格の0.05%に基づき、印紙税を納付しなければならない。
(二)持分配当収益に伴う中国での税負担について
持分配当収益とは、持分の保有者(自然人、企業を含む)が持分保有期間において、法に従って分配を受け獲得する利益を指す。
主体 | 主体税負担計算(簡潔な説明) | 主な法律根拠 | |
自 然 人 |
国内 | –個人所得税 = 持分配当収益×20% | –「個人所得税法」 –「個人所得税法実施条例」 –「個人所得税の若干政策問題に関する通知」 |
国外 | –中国で取得した持分配当収益については、差し当たり個人所得税徴収を免除する。 | ||
企業 | 国内 | -個々の納税義務を判定するため、会計監査報告書などを通じて、持分配当収益の帰属年度を区分しなければならない。 -2008年以前の持分配当収益について、投資者企業に適用する所得税税率が被投資企業に適用される所得税税率より高い場合、法定の期限付き減税、免税優遇を除き、その取得した持分配当収益について、差額(税率差額)に基づき、法に従って企業所得税を追納しなければならない。 –2008年およびそれ以降の持分配当収益については、企業所得税納付を免除する。 |
–「企業所得税法」 –「企業所得税法実施条例」 –「企業所得税の若干優遇政策に関する通知」 –「株主配当金の協定税率の状況一覧表配布に関する通知」 |
国外 | -個々の納税義務を判定するため、会計監査報告書などを通じて、持分配当収益の帰属年度を区分しなければならない。 -2008年以前の持分配当収益については、企業所得税納付を免除する。 –2008年およびそれ以降の持分配当収益については、企業所得税(源泉税/源泉所得税) = 持分配当収益× 10% -中国と関連国、地区との間の税収協定に基づき、税率が10%を下回る場合、低いものを適用する。 |
以上をまとめると、中国において非上場企業を設立する際、投資主体の違い、それには分類(自然人、企業)の違い、および投資主体の所属国別、地区別(国内外の主体、および国外の国別、地区別)の違いを含む、は持分収益(持分譲渡収益、持分配当収益)に伴う中国での税負担に大きな差を生じさせる。これを中国で投資する際に考慮する要素の一つとして、相応にタックスプランニングを進めることが可能である。当該プランは強い専門性を有することから(また、昨今の中国税法の変動は大きい)、その過程においては専門家(弁護士、税理士、会計士など)と必要な意見交換を行うことが望ましい。
(里兆法律事務所が2013年7月7日付で作成)
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