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企業間貸借の効力および利息保護問題

中国ビジネスレポート 法務
郭 蔚

郭 蔚

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2014年4月17日

金銭貸借は企業の生産経営過程における重要な資金源である。実務上、「銀行ローンのハードルが高い」ことなどに起因して、「企業間貸借」[1]が行われる場合が度々ある。「企業間貸借」の法的効力をめぐり、法学界および司法実践において比較的大きな論争がある。これについて、最高人民裁判所副院長である奚暁明は2013年9月25日に「人民法院報」において「当面商事審判において注意すべきいくつかの法律適用問題」を発表し、本件について解説しており、比較的高い参考価値を有する。筆者は以下の通り要点をまとめている。

契約の効力について

・金銭貸借契約が無効となる場合:貸し手が金融業務取扱資格を有さないにもかかわらず、融資業務を行い、融資により得た収益を企業の主な利益源としている。

・金銭貸借契約が有効となる場合:貸し手が融資を主要業務としておらず、国の金融規制に関する強行規定違反状況にあたらない場合、企業が生産経営のために実施する臨時的な資金貸借行為を構成する。

利息の保護について

1.利率の確定
・金銭貸借契約無効の場合:貸借の双方がいずれも過失があるため、借り手はこれにより所定外の収益を得てはならない。公平原則に基づき、借り手は借入金の元金を返済すると同時に、資金占有期間の利息を返済し、利率は現地の同期・同類貸付の平均利率を参照する。

・金銭貸借契約有効の場合:金銭貸借契約において利率に関する約定がある場合、約定に従う。但し、約定の利率は貸借行為発生時の中国人民銀行公表の同期・同類貸付基準利率の4倍を超えてはならない。金銭貸借契約における利率の約定が不明確である場合、当事者間の取引慣習に基づき、中国人民銀行公表の同期・同類の貸付基準利率または現地の同期民間貸借の平均利率水準を参照し確定することができる。

2.元金と利息の返済順序(金銭貸借契約有効の場合)
・貸借双方が元金と利息の返済順序について約定している場合、その約定に従う。

・約定がない場合、「利息を先に支払ってから、元金を支払う」という順序で計算する。貸借双方が返済遅延に伴う違約金を約定しており、また遅延の利率も約定している場合、借り手は遅延利息と違約金を同時に主張することができるが、総額は中国人民銀行公表の同期・同類貸付基準利率の4倍を限度とする。

上述の基準は将来、裁判所が「企業間貸借」案件を審理する際の重要な参考根拠とされるであろうと思われる。従い、企業において今後、万が一「企業間貸借」行為が発生した場合に、「企業間貸借」過程において適切に自己防衛を図れるよう、これをもとにして計画することを提案する。

(里兆法律事務所が2014年2月7日付で作成)

[1]本文における「企業間貸借」とは、金融業取扱資格を有さない企業間において相互に資金貸借を行う民事行為を指す。

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