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ログイン2014年6月24日
渉外取引において、商品、サービス、技術(技術譲渡、開発、コンサルティング、サービスなどを含む)の輸出入は、最もよく見られるクロスボーダー取引(以下「三種の取引」という)のパターンである。三種の取引の中国における関連税制を理解することは、企業の税務上のコンプライアンスリスクを低減し、取引の税務コストをより正確に算定し、三種の取引をより適切に行ううえで有益である。
三種の取引について中国で生じ得る税目には増値税、消費税、営業税、付加税、関税、企業所得税および印紙税などが含まれる。三種の取引を行う企業が居住者企業であるかそれとも非居住者企業であるか、輸入者であるかそれとも輸出者であるかに基づき、ここでは三種の取引における主な関連税務状況(その中でも、消費税、付加税、印紙税については、ケース毎の適用または税負担率が相対的に低いものに該当するため、本文では割愛する)を、以下の通り表にまとめた。
(一)商品の輸出入
区分 | 居住者企業 | 非居住者企業 |
輸入 | 商品の輸入において、居住者企業は輸入者であり、関連税務の概要は以下の通りである。
-関税:税率は具体的な商品によって異なる。 |
商品の輸入において、非居住者企業は輸出者であり、中国での納税義務は発生しない。 |
輸出 | 商品の輸出において、居住者企業は輸出者であり、関連税務の概要は以下の通りである。
-関税:一部少数の商品についてのみ輸出関税を徴収する。 |
商品の輸出において、非居住者企業は輸入者であり、中国での納税義務は発生しない。 |
【備考】輸入商品について特許、技術、商標などのロイヤルティーが生じるる場合、特に以下の点に留意しなければならない。
①故意の契約違反に関するリスク:輸入商品に特許、ノウハウ、商標が含まれていることで、輸出者(非居住者企業)が受け取るロイヤルティーは、輸入商品の納税価格に計上した上で、関税および増値税を納付しなければならない。税負担コストを引き下げるために、故意に前述のロイヤルティーを単独で計算してはならない(その他の方式で税務申告を行ってはならない)。
②不適切な処理に関するリスク:サービス、技術関連取引が、確かに輸入商品から独立している場合は、個別に契約を締結し、個々に価格を計算し、別々に税務申告を行うことが望ましい。一つの契約にまとめて締結した場合、区別できないことを理由に全て輸入商品に基づき税務計算を行うように要求されるものと思われる(通常、本方式での税負担は重くなる)。
③特別な状況として、リース取引で輸入された商品(輸出入双方間は賃貸借関係であり、売買関係ではない)は、商品輸入後に居住者企業の使用のため賃貸され、この場合は賃料を基本として、関税、増値税を計算納付する。
(二)サービスの輸出入
区分 | 居住者企業 | 非居住者企業 |
輸入 | サービスの輸入において、居住者企業は輸入者であり、中国での納税義務は発生しないが、源泉徴収義務を負う必要があると思われる。 | サービスの輸入において、非居住者企業は輸出者であり、自己が中国国内に指定可能な代理人を持たない場合、輸入者が源泉徴収を行い、関連税務の概要は以下の通りである。 -営業税:5%、または増値税:6%、11%、17%。 -企業所得税:中国において恒久的施設を有しまたは構成する場合、利益を査定した後、25%の税率に基づき徴収する。 ※「営業税から増値税への一本化」および中国おける恒久的施設の有無または構成の可否について、具体的には本表備考1を参照のこと。 |
輸出 | サービスの輸出において、居住者企業は輸出者であり、関連税務の概要は以下の通りである。 -営業税:5%、または増値税:0%、6%、11%、17%。 -企業所得税:関連損益は年間利益に計上され、税率は25%である。 ※サービスの輸出にかかわる増値税の還付、免除などについては、本表備考2を参照のこと。 |
サービスの輸出において、非居住者企業は輸入者であり、中国での納税義務は発生しない。 |
【備考1】「営業税から増値税への一本化」および恒久的施設の有無または構成の可否について、以下の通り説明する。
①「営業税から増値税への一本化」に関するサービスには、有形動産リースサービス(税率17%)、交通運輸サービス(税率11%)、および文化クリエイティブ、物流補助、鑑定コンサルティング、ラジオ映画テレビなどの現代サービス(税率6%)が含まれる。
②中国における恒久的施設の有無または構成の可否については、管理機構、事務所などの有形の場所以外にも、「職員またはその他の人員を通じて中国において役務情報を提供し、且つ任意の12ヶ月の間に連続または累計で6ヶ月を超える場合」、通常では恒久的施設を構成すると判断される。
③恒久的施設を有しまたは構成するとの前提では、利益を査定(サービスに応じて利益率は15%から50%となる)した後、25%の税率に基づき徴収する(実際の徴収率は3.75%から12.5%であり、その中でもおそらく10%を下回るものと思われる)。
④特別な状況として、サービスの輸入において、輸出者(非居住者企業)が中国で自己の不動産を居住者企業へ賃貸する場合、非居住者企業が中国において10%の企業所得税(源泉所得税)を納付する。
【備考2】サービスの輸出にかかわる増値税の還付、免除などについて、以下の通り簡潔に説明する。
①「増値税ゼロ税率を適用する課税サービスの税還付(免除)管理弁法(暫定)」[1]によれば、国際運輸サービス、香港マカオ台湾運輸サービス、および国外の事業者に提供する研究開発サービス、設計サービスは、関連政府手続きを行った後、増値税の免除、控除、還付の優遇政策を享受することができる。
②「営業税から増値税への一本化に伴うクロスボーダー課税サービス増値税免税管理弁法(試行)」[2]によれば、法定の九大分類クロスボーダーサービスは、関連政府手続きを行った後、増値税免除の優遇政策を享受することができる。
(三)技術の輸出入
区分 | 居住者企業 | 非居住者企業 |
輸入 | 技術(開発、コンサルティング、サービス)の輸入において、居住者企業は輸入者であり、中国での納税義務は発生しないが、源泉徴収義務を負う必要があると思われる。 | 技術(譲渡)の輸入において、非居住者企業は輸出者であり、自己が中国国内に指定可能な代理人を持たない場合、輸入者が源泉徴収を行い、関連税務の概要は以下の通りである。 -増値税:6%。 -企業所得税(源泉所得税):10% ※優遇政策について、具体的には本表備考を参照のこと。 |
技術(開発、コンサルティング、サービス)の輸入において、非居住者企業は輸出者であり、中国での納税義務は発生しないが、源泉徴収義務を負う必要があると思われる。 | 技術(開発、コンサルティング、サービス)の輸入において、非居住者企業は輸出者であり、自己が中国国内に指定可能な代理人を持たない場合、輸入者が源泉徴収を行い、関連税務の概要は以下の通りである。 -増値税:6%。 -企業所得税:中国において恒久的施設を有しまたは構成する場合、利益を査定した後、25%の税率に基づき徴収する。 ※優遇政策について、具体的には本表備考を参照のこと。 中国おける恒久的施設の有無または構成の可否について、具体的には本表備考を参照のこと。 |
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輸出 | 技術(譲渡)の輸出において、居住者企業は輸出者であり、関連税務の概要は以下の通りである。 -増値税: 6%。 -企業所得税:関連損益は年間利益に計上され、税率は25%である。 ※優遇政策について、具体的には本表備考を参照のこと。 |
技術(譲渡)の輸出において、非居住者企業は輸入者であり、中国での納税義務は発生しない。 |
技術(開発、コンサルティング、サービス)の輸出において、居住者企業は輸出者であり、関連税務の概要は以下の通りである。 -増値税: 6%。 -企業所得税:関連損益は年間利益に計上され、税率は25%である。 ※優遇政策について、具体的には本表備考を参照のこと。 |
技術(開発、コンサルティング、サービス)の輸出において、非居住者企業は輸入者であり、中国での納税義務は発生しない。 |
【備考】技術の輸出入に関する優遇政策について、以下の通り簡潔にまとめる。
①輸入、輸出を問わず、技術譲渡、技術開発およびそれに関連する技術コンサルティング、技術サービスは、関連政府手続きを行った後、増値税免除の優遇政策を享受することができる。その中で、単独の技術コンサルティング、技術サービスは前述の優遇政策を享受することができない。
②技術(開発、コンサルティング、サービス)を輸入する際、輸出者(非居住者企業)は中国おける恒久的施設の有無または構成の可否に基づき、中国における企業所得税納付の要否を判断する必要がある(判断基準は、前述したサービスの輸入と基本的に同じである)。
③技術(開発)を輸出する際、輸出者(居住者企業)は、関連政府手続きを行った後、増値税の免除、控除、還付の優遇政策を享受することができる(前述の「サービスの輸出入」の備考2第①項と同じである)。
④技術(譲渡、且つ所有権、専有使用権の譲渡に該当する場合)の輸出を行う際、輸出者(居住者企業)が連政府手続きを行った後、所得の500万人民元以内の部分については、企業所得税を免除し、所得の500万人民元を超える部分については、企業所得税を半減して徴収する。
注意すべき点として、中国の税制は複雑でよく変わり(特に多くの特別規定が存在し、その中の税収優遇政策では特別条件を満たす必要もある)、三種の取引の中国における関連税務の範囲もまた非常に広いため、紙面の都合上、本文では、三種の取引の中国における関連税務制度における基本的且つ普遍的な部分の内容に触れるのみとした。企業が実際の経営においてより専門的、より具体的、より複雑な問題に遭遇した場合、適法である範囲において節税処理を行えるよう、法律事務所を含む専門機構に委託して論証を行うことが考えられる。
(里兆法律事務所が2014年4月9日付で作成)
[1] http://www.chinatax.gov.cn/n8136506/n8136593/n8137537/n8138502/12368844.html
[2] http://www.chinatax.gov.cn/n8136506/n8136593/n8137537/n8138502/12379541.html
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