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「外商投資産業指導目録(改正案)」の解読(連載その一/合計二篇)

中国ビジネスレポート 法務
郭 蔚

郭 蔚

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2015年2月24日

概要:

2014年11月4日に国家発展改革委員会(以下「国家発改委」という)は「外商投資産業指導目録」(以下「目録」という)改正案(以下「目録(改正案)」という)を公布し、パブリックコメントを募集した。今回公布された「目録(改正案)」は制限類条目を大幅に減らし、外商投資の持分比率規制を緩和しており、特に製造業とサービス業の分野においては外資に対する規制の大幅な縮小が見られ、開放の度合いが強く表れている。

正文:

一、「目録」とは何か

「目録」は、早くは1995年に制定され、外商投資を奨励、制限、禁止する産業をそれぞれ列記したもので、中国政府が外商投資を指導する重要な政策根拠であった。その後、「目録」はそれぞれ1997年、2002年、2004年、2007年、2011年に改正が行われ、基本的に3年に一度の見直しが行われており、現在有効なものは「目録(2011年改正)」である。今回公布された「目録(改正案)」は六度目の「目録」改正である。

二、「目録(改正案)」の改正原則と内容

「目録(改正案)」では、制限類条目が79条から35条に、「合作」、「合弁」についての条目が43条から11条に、「中国側持分支配」についての条目が44条から32条に減らされている。「目録(改正案)」は歴代の「目録」改正の中でも、改正、開放の程度が最も大きいと広く認識されている。

国家発改委が「目録(改正案)」公布時に行った紹介によれば、「目録(改正案)」は主に以下の四つの原則に従っている。

1.サービス業および一般製造業への外資参入について、開放を拡大し、重点的に緩和する。
・「目録(改正案)」は中国(上海)自由貿易試験区(以下「上海自由貿易区」という)の試行経験(上海自由貿易区2014年版ネガティブリストおよび関連政策文書を含む)を複製普及している。例えば、上海自由貿易区では外資が合弁、合作形式(中国側持分支配)で中国伝統工芸である緑茶加工に従事することを認めている。「目録(改正案)」は「中国伝統工芸である緑茶および特種茶の加工(名茶、黒茶など)」を現行の「目録(2011改正)」の禁止類から許可類に調整している。
・更には上海自由貿易区でも未だ開放されていない一部産業についても、「目録(改正案)」は開放している。例えば、上海自由貿易区においては「漢方薬の栽培、養殖」は「合弁、合作」でなければならなかったが、「目録(改正案)」では「合弁、合作」の規制が廃止されている。また、上海自由貿易区においては「黄酒、有名且つ良質な白酒の製造」は「中国側持分支配」でなければならなかったが、「目録(改正案)」では許可類に調整され、「中国側持分支配」の規制は廃止されている。

2.外資管理方式の転換、市場の資源配置における決定的な作用の積極的な発揮、省エネ、環境保護などの監督管理の強化、外資持分比率規定の削減、制限類目録の削減が行われる。これまでの中国では公式には目録を通じて、一部のエネルギー消費量が多く、生産能力過多の業種への外資の参入を制限してきたが、今次「目録(改正案)」では鉄鋼、エチレン、製油、石炭化学工業設備などの分野における外資の規制を廃止し、「調整制御の役割」を市場に戻すことを望んでいる。

3.三つ目は経済構造の調整最適化である。外資による現代農業、ハイテク技術、先端製造業、省エネ環境保護、新エネルギー、現代サービス業などの分野への投資を奨励し、外資による研究開発段階への投資を奨励する。

4.四つ目は更なる透明化である。「目録(改正案)」では、全ての外資持分比率規定は原則として目録に記載され、許可類プロジェクトであれば外資に対する持分比率規制を行わず、過去にその他の規定において散見されていた持分比率はいずれも目録に組み入れて考慮される。

「目録(改正案)」で具体的に調整される産業(部分)について、以下の通り簡潔に整理した。

開放された産業

関係産業 「目録(2011年改正)」の分類と内容 「目録(改正案)」の分類と内容
・公演場所の経営 奨励類(中国側持分支配) 奨励類
・モノのインターネット技術の開発と応用

許可類

奨励類

・老人福祉機構
・工業設計、建築設計、服飾設計などのアイデア産業
・直接販売、通信販売、インターネット販売 制限類 許可類
・不動産業(大規模土地開発、高級ホテル、高級オフイスビルおよび国際コンベンションセンターの建設、運営、不動産流通市場取引および不動産仲介、運営会社などを含む)
・ファイナンス会社、信託会社、FX会社、保険会社
・撮影サービス(空中撮影、航空測量撮影は含まない)
・大型テーマパークの建設、運営
・電力網の建設、運営 制限類(中国側持分支配) 奨励類(中国側持分支配)
・映画館の建設、運営 制限類(中国側持分支配) 許可類
・公演運営機構
・アミューズメント施設の経営 制限類(合弁、合作に限る) 許可類
・音響画像製品(映画は除く)の物流販売 制限類(合作に限る) 許可類
・証券会社 制限類(外資比率は1/3を超えない) 制限類(外資比率は49%を超えない)
・音響映像製品および電子出版物の製作業務 禁止類 制限類(中国側持分支配)

なお、開放方式には「目録」改正前後で産業分類が開放された状況(例えば、許可類から奨励類への変更、または制限類から許可類への変更)が含まれれば、「目録」改正前後で産業分類に変更はないが、外資比率などの規制が開放された状況も含まれる。

(里兆法律事務所が2015年1月9日付で作成)

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