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ログイン2015年3月19日
2014年、中国の各独占禁止法執行部門は、法執行作業において厳格、活発な姿勢を示し、立て続けに複数の巨額の過料通知書を発行しただけでなく、事業者集中の面でも新たな規定を送りだした。本文では、事業者の観点から、新規定について簡潔な分析を行う。
■「事業者集中申告に関する指導意見」の改正
「事業者集中申告に関する指導意見」(以下、「申告指導意見」という)の公布は「独占禁止法」実施の初期(2009年1月5日)であり、時期的に早く、事例も少なかったため、当時の規定はやや簡略であった。2014年、商務部は「申告指導意見」を改正し[1]、条目は以前の12条から30条に増加した。主に以下の方面である。
区分 | 改正前 | 改正後 |
支配権 | — | -第3条では、支配権の考慮要素が整理統合され、集中協議書および定款のほか、取引目的および将来計画、持分構造の変化、表決メカニズム、組織機構の設置など、多くの法的および事実的要素が考慮対象となった。 |
売上高の計算 | — | -第5から7条では、現行の売上高の計算に関する規定が整理統合され、売上高の計算範囲、計算原則などが含まれる。 |
相談および正式申告 | -相談の条件を大まかに規定していた。 -申告書類、資料の範囲を大まかに規定していた。 |
-第9から12条では、相談の申請方式、相談事項などを規定した。 -第13から25条では、申告の時間、手順および撤回、書類、資料の範囲、媒体、使用言語などの内容を規定した。 -第26条では、事業者集中簡易案件制度(詳細は後述を参照のこと)を明確にしたなど。 |
手順的規定 | -商務部独占禁止局の守秘義務を規定していた。 | -第27条では、事実と異なる申告の法的責任を明確にした。 -第29条では、「任意申告」制度を規定したなど。 |
全体として、今次改正は現行制度に対するまとめと整理統合としての傾向がより強く、商務部独占禁止局が5年間に培った法執行経験、実務上の観点などを正式で、書面による規定にした。
■「事業者集中簡易案件制度」の創設
2014年2月13日に、商務部は「事業者集中簡易案件の適用基準に関する暫定規定」[2](以下「適用基準」という)を公布し、2014年4月18日には「事業者集中簡易案件の申告に関する指導意見(試行)」[3](以下「指導意見」という)を公布して、事業者集中簡易案件制度に対する規範化を行った。
適用条件 |
-「適用基準」第2条では、市場シェア、経済活動範囲、支配者状況などの要素に照らして、6種類の簡易案件の適用状況を規定した。 -「適用基準」第3条では、支配者状況、関係市場状況、不利な影響などの要素に照らして、5種類の簡易案件の除外状況を規定した。 -上述2条項の規定に照らして、取引に簡易案件制度を適用できるかを大まかに判断することができ、依然として不明確である場合、「指導意見」第1条の規定に照らして、相談において提起することができる。 |
特徴と相違 |
-申告内容において、非簡易案件の申告者が記入する「事業者集中独占禁止審査申告表」と比べ、簡易案件の申告者が記入する「事業者集中簡易案件独占禁止審査申告表」は多くの複雑な情報の申告を求められておらず、それには以下の内容が含まれる。 1)関係市場の供給と需要の構造。 2)市場参入。 3)水平または垂直方向の提携協議。 4)集中で生まれると思われる効率。 5)集中が破産企業または破産間際の企業に関連するか。 6)関係方面からの本件集中に対する意見など。 -情報開示において、簡易案件は複雑で、微妙な情報内容に対する開示要求を適度に引き下げており、それには以下の内容が含まれる。 |
現在、簡易案件制度は未だ模索と整備の段階にあるが、関連案件は、通常、商務部独占禁止局ウェブサイトホームページ[4]において公示され、取引の概要、事業者のプロフィール、簡易案件の適用理由などの情報を開示されるものと思われる。
■制限条件の付加および事業者集中の禁止
事業者集中が許可される(即ち、本来の計画に従って集中を実施できる)場合以外にも、事業者集中申告後の結果には更に制限条件の付加と事業者集中の禁止の二つがあり、2014年は、二つのいずれにおいても新規定が設けられ、または事例が発生している。
制限条件の付加 |
-制限条件の付加とは、商務部が禁止しない事業者集中に対し、集中が競争に対し及ぼす不利な影響を減少させる制限条件の付加を指し、一般的には構造上の条件、行為上の条件の二つが含まれる。制限条件の付加は本来の取引の継続実施には影響しないが、事業者は後日一連の複雑な取引または行為を行わなければならず、それには資産の切離し、権益の譲り渡し、重要技術の許諾などが含まれると思われ、適切に処理しなければ、事業者の長期的発展に不利な影響を及ぼすものと思われる。 -2014年12月4日、商務部は「事業者集中制限条件の付加に関する規定(試行)」[5]を公布し、制限条件の種類と実施手順などの内容を明瞭、明確に規定した。それには以下の内容が含まれる。 1)制限条件の提出と確定:制限条件の付加に関する方案は事業者が意見を提出し(事業者が意見を提出する際には自らの発展利益と商務部の競争への配慮を総合的に考慮しなければならない)、商務部が評価を行った後、制限条件の付加の実施を確定し、または集中の禁止を決定する。 2)制限条件の実施:実施が確定した制限条件については、事業者は遅滞なく、厳格に実行しなければならず、商務部は更に事業者に対し事業者集中実施前に第一に制限条件を実施するように要求するものと思われる。 3)制限条件の監督:制限条件の実施過程において、事業者は商務部に対しその審査決定の遵守、切離しの実施および関連協議の実施などの状況を報告し、且つ全過程において申告者が委託し、商務部が同意した監督受託者の監督を受けなければならない。 4)制限条件の変更と解除:制限条件は変更または解除することができる。確かに必要である場合、集中後の事業者は商務部に対し申請を行うことができる。 -2014年12月、ウエスタンデジタル社は商務部が事前に当該会社に対し実施した二つの制限条件に違反したため(「取引前の状態を維持し、独立法人の立場の維持ならびに独立した業務の実施を保証する」などの要求に違反した)、商務部からそれぞれ過料30万人民元と期限付の是正の処罰を受けた[6]。 |
事業者集中の禁止 |
-事業者集中の禁止とは、商務部が国内関係市場の競争効果が排他的、制限的影響を受けないことを確保するために下した事業者集中実施の許可を与えない決定を指す。 -2014年6月17日、商務部は独占禁止法施行以来2回目の事業者集中禁止の決定を下した[7]。マースク、MSC、CMA-CGMがオンラインセンターを設立する事業者集中に対し、商務部は当該オンラインセンターの設立は三社の緊密な共同経営を形成することとなり、アジア-欧州航路コンテナ定期船運輸サービス市場において排他的、競争を制限する効果を持つであろうと判断し、本件事業者集中を禁止することを決定した。 -なお、商務部が下す事業者集中禁止の決定は、通常、十分慎重に行われ、たとえば上記案件においては、商務部は競争問題について申告者と数多くの協議を行い、申告者はいくつかの救済方案を提出しており、商務部は評価を行った上で救済方案には関連する法律根拠および納得できる証拠に基づく裏付けが不足しているために、商務部の競争に関する憂慮を解決できないと判断してはじめて、事業者集中禁止の決定を下している。 |
より多くが日常経営において発生する独占協定、市場の支配的地位の濫用などの独占行為と比べ、事業者集中は一般的に事業再編、買収合併などの実務において発生し、その処理が妥当であるかはより直接的、深刻に会社の将来の発展にかかわると思われる。これと同時に、売上高の計算、支配権の取得に関する認定などの事項も高い複雑性と専門性を抱えているため、会計士事務所、法律事務所などの専門機構の協力の下に確定する必要がある。このため、事業再編、買収合併の実務において、プロジェクトを支障なく推進させ、法的リスクを低減させるために、企業は早い段階で専門機構に委託することが望ましい。
(里兆法律事務所が2015年1月23日付で作成)
[1]参考:http://fldj.mofcom.gov.cn/article/i/201406/20140600614679.shtml
[2]参考:http://www.mofcom.gov.cn/article/b/c/201402/20140200487038.shtml
[3]参考:http://fldj.mofcom.gov.cn/article/xgxz/201404/20140400555353.shtml
[4]参考:http://fldj.mofcom.gov.cn/
[5]参考:http://www.mofcom.gov.cn/article/b/c/201412/20141200835207.shtml
[6]参考:http://tfs.mofcom.gov.cn/article/ckts/ckzcfg/201412/20141200824263.shtml
http://tfs.mofcom.gov.cn/article/ckts/ckzcfg/201412/20141200824270.shtml
[7]参考:http://fldj.mofcom.gov.cn/article/ztxx/201406/20140600628586.shtml
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