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ログイン2015年7月17日
これまでにも、過去の「里兆法律情報」で何度か紹介してきたが、中国国際経済貿易仲裁委員会(以下、「CIETAC」という)と旧中国国際経済貿易仲裁委員会上海分会(現在の上海国際経済貿易仲裁委員会、上海国際仲裁センターとも呼ばれ,以下、「SHIAC」という)、旧中国国際経済貿易仲裁委員会華南分会(現在の華南国際経済貿易仲裁委員会、深セン国際仲裁院とも呼ばれ、以下、「SCIA」という)は、仲裁規則の適用および各自の仲裁案件の受理権限などの問題について紛争が生じていた。
北京、上海、深セン3地域の人民法院による2014年12月31日以降の20部余りの裁定書の内容を見る限りでは、3地域の中級人民法院は、最高人民法院の係る回答意見に基づき、SHIACおよびSCIAへの改名前に当事者が「中国国際経済貿易仲裁委員会上海分会」、「中国国際経済貿易仲裁委員会華南分会」による仲裁を約定していた案件の管轄問題について、相対的に統一し且つ明確な司法審査意見(即ち、CIETACはこの種の案件に対し管轄権はなく、この種の案件はそれぞれSHIAC、SCIAが受理する必要がある。この種の案件に対する仲裁効力の司法審査は機関所在地(それぞれ上海、深センである)の中級人民法院が管轄する必要がある旨の意見)を出している。
北京市第二中級人民法院(以下、「北京二中院」という)及び上海市第二中級人民法院がそれぞれ行った2つの民事裁定について、以下簡潔に紹介する。
判例一:北京二中院は、当事者が「中国国際経済貿易仲裁委員会華南分会」による仲裁を約定した案件に対し、CIETACは管轄権がないと認定した
2015年2月13日、北京二中院は、「(2014)二中民特字第07708号」の「民事裁定書」を発行し、申立人がSCIAに管轄権がないことを理由にCIETAC所在地の北京二中院に提起した仲裁協定効力の確認を求める申立てを支持しなかった。
北京二中院は「民事裁定書」において、以下の重要事実を認定した。
1.北京二中院はCIETAC所在地の中級人民法院であり、当事者が申立てた仲裁協定における「中国国際経済貿易仲裁委員会華南分会」による仲裁約定の効力確認案件に対して管轄権はもたず、SCIA所在地の広東省深セン市中級人民法院が管轄すべきだと判断した。
2.SCIAの旧称は「中国国際経済貿易仲裁委員会華南分会」であり、深セン市人民政府が法に依拠して設立した仲裁機構であることを改めて確認した。
「『中華人民共和国仲裁法』適用の若干事項に関する最高人民法院による解釈」第12条の規定によると、当事者が人民法院に申立てた、仲裁協定の効力を確認するための案件は、仲裁協定が約定した仲裁機構所在地の中級人民法院が管轄するものである。本件において、北京二中院は、自分(即ち、CIETAC所在地の中級人民法院)には管轄権がないことをはっきりと認めており、これはつまり、CIETACには管轄権がないことをはっきり認めていることを意味するものである。
判例二:上海二中院は、当事者が「中国国際経済貿易仲裁委員会上海分会」による仲裁を約定した案件に対し、SHIACに管轄権があることを認定した
2014年12月31日、上海市第二中級人民法院(以下、「上海二中院」という)は、「(2012)滬二中民認(仲協)字第5号」の「民事裁定書」を発行し、申立人がSHIACに管轄権があることを理由にSHIAC所在地の上海二中院に提起した仲裁協定の効力確認を求める申立てを支持した。
上海二中院は「民事裁定書」において以下の事項を認定している。
1.SHIACの旧称は、中国国際経済貿易仲裁委員会上海分会であり、当事者の約定により、中国国際経済貿易仲裁委員会上海分会が仲裁することになっている案件を引き続き受理する。
2.上海二中院はSHIAC所在地の中級人民法院であり、仲裁協定における「中国国際経済貿易仲裁委員会上海分会」による仲裁約定の効力確認申立て案件に対して管轄権を有する。
(里兆法律事務所が2015年7月13日付で作成)
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