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ログイン2019年9月17日
会社清算とは、会社が解散した後に、未結了の業務を片付け、債権債務を処理し、会社残余財産を分配することで、最終的に会社の主体資格を消滅させるための法に定められた手続きをいう。合併や分割により解散する場合を除き、その他の理由で会社を終了させる場合、いずれも清算手続きを踏まなければならない。一般的に、会社清算を大別すると、破産による清算と破産によらない清算という2つのパターンがあり、本稿では、主に破産によらない清算について考察する。
一、会社清算において株主が負う義務
「中華人民共和国会社法」(以下「『会社法』」という)第183条(※1)、「『中華人民共和国会社法』適用の若干事項に関する最高人民法院の規定(二)」(以下「『会社法』司法解釈二」という)第18条(※2)の規定によると、有限責任会社の場合、清算義務の主体は株主全員であり、株式会社の場合、清算義務の主体は董事、支配株主である。言い換えれば、有限責任会社の株主であろうと、株主会社の株主であろうと、いずれも法に従い清算手続を開始させ、清算委員会の構成員を確定する義務を負わされている。
また、清算人(又は清算委員会)の構成員については、「会社法」第183条では、有限責任会社の清算人(又は清算委員会)は株主により構成され、株式会社の清算委員会は董事又は株主総会で確定した者により構成される、定められている。よって、会社清算が開始される前においては、会社の株主は清算義務者の役割を担っており、清算の過程においては、会社の株主は同時に清算人(又は清算委員会)の構成員となることもあり得る。清算人(又は清算委員会)は、法で定められた臨時の執行機関であり、対内的には清算を進め、清算業務を遂行し、対外的には会社を代表する者であることがわかる。清算人(又は清算委員会)の法定義務は、職務に忠実であり、法に従い清算責任を履行することとされており、これは善良な管理者の注意義務に該当する。当該注意義務は、清算人がその立場及び自らの職業、地位、能力、学識などにふさわしい注意をもって清算業務を遂行し、清算人が自身の業務を処理すると同等の慎重さと勤勉さをもって会社業務を処理し、且つその時点における具体的条件に応じて会社と債権者にとり有利な選択をするための措置を講じたことを確信できることを清算人に求めている。
二、会社清算における株主責任の主なパターン
すでに解散した会社にとっては、清算開始前に、会社の株主は清算人を組織し、清算を行う義務がある。もしも株主が会社の解散後に、自主的に義務を履行し、清算人をして清算行為を積極的に進めた場合、清算責任を負う必要がないが、法に従い清算を行わなかった場合、清算義務は清算責任へと転化してしまうが、そのとき、株主は損害賠償責任又は連帯弁済責任を負わなければならなくなる。どうように、清算開始後、清算人(又は清算委員会)の構成員を務める株主が清算業務を合理的に遂行できなかった場合においても、しかるべき責任を負わなければならない。具体的には、株主が負わなければならない責任のパターンは下表の通りである。
表1 清算開始前
株主責任のパターン | 筆者解説 |
清算義務者として信認義務(※3)に違反したことにより、負うべき補充賠償責任 | ●会社株主が所定の期限内に清算委員会を成立させて清算を行わないことにより、会社財産の価値が下落し、流失し、破損し、又は滅失した場合、株主はこれによりもたらされた損失の範囲内で会社の債務について賠償責任を負わなければならない。 |
清算義務者として信認義務に違反したことにより、負うべき損害賠償責任 (注:当該責任は不法行為責任に該当するため、当該行為により生じた債権者の損失の範囲内に限定される) |
●会社の解散後、会社財産を悪意をもって処分し債権者に損失をもたらした場合、又は法に従い清算を行わず、虚偽の清算報告をもって会社登記機関を欺き法人の抹消登記を行った場合、株主はその行為により債権者にもたらした損失について賠償責任を負わなければならない。 |
清算義務者として信認義務に違反したことにより、負うべき連帯賠償責任 | ●清算義務の履行を怠ったことにより、会社の主たる財産、重要文書、帳簿などが滅失し、清算を行うことができなくなった場合、又は法に従い清算し法人の抹消登記手続きを行わなかったことにより会社が清算できなくなった場合、株主は会社の債務について連帯して弁済責任を負わなければならない。 |
表2 清算中
株主責任のパターン | 筆者解説 |
1.清算委員会の構成員として注意義務に違反したことにより、負うべき損害賠償責任 (注:当該賠償責任は一般的不法行為による民事責任の成立要件を備えており、不法行為責任に基づき負担するため、株主の出資額を限度としない) |
以下の状況においては、株主はその行為による損失の範囲内に、会社の債務について損害賠償責任を負わなければならない。 ●清算委員会の構成員である株主が、会社の解散・清算について、既知の債権者全員に書面で通知しなかった場合、又は全国紙若しくは会社の登録登記地である省のレベルで影響力ある新聞紙上で公告を行わなかった場合。 ●清算委員会の構成員である株主が、株主会又は株主総会により決議確認されていない清算案を実施し、これにより会社又は債権者に損失をもたらした場合。 ●清算委員会の構成員である株主が、清算業務を扱う過程において、法律、行政法規又は会社定款に違反したことにより、会社又は債権者に損失をもたらした場合。 |
2.普通株主として出資義務に違反したことにより、負うべき資本充実責任及び補充的弁済責任 | ●清算過程において、会社株主が資金の不正な引き出し、不実の投資又はその他違法手段により、会社財産を獲得した場合、獲得した会社財産の範囲内で、会社の債務について弁済責任を負わなければならない。 ●清算過程において、会社財産だけでは会社債務の弁済に足りない場合、出資金を払い込んでいない株主、発起人又は会社設立当時のその他の株主が、払込を完了していない出資金に限定し、会社の債務について連帯して弁済責任を負う。 |
清算が完了した後は、「中華人民共和国会社登記管理条例」第42条の規定によれば、「会社清算委員会は会社の清算が完了した日から30日以内に、もとの会社登記機関にて抹消登記を申請しなければならない」とされている。これにより、会社の法人格は消滅され、株主の責任もまた終了する。
(里兆法律事務所が2019年3月7日付で作成)
(※1)「会社法」第183条:会社は、本法第180条第(一)号、第(二)号、第(四)号、第(五)号の規定により解散する場合、解散事由が生じた日から15日以内に清算委員会を成立させ、清算を開始しなければならない。有限責任会社の清算委員会は株主により構成され、株式会社の清算委員会は董事又は株主総会で確定した者により構成される。期限内に清算委員を成立させて清算を行わない場合、債権者は、人民法院に対し、然るべき者を指定して清算委員会を設置し、清算を行わせるよう申し立てることができる。人民法院は、かかる申請を受理し、かつ遅滞なく清算委員会を組織し、清算を行わせなければならない。
(※2)「会社法」司法解釈二の第18条:有限責任会社の株主、株式会社の董事及び支配株主が所定の期間内に清算委員会を成立させて清算を開始しなかったために、会社財産の価値が下落し、流失し、破損し、又は滅失し、債権者がそれらに対し損失をもたらした範囲内で会社の債務について賠償責任を負うよう主張した場合には、人民法院は法に従い、これを支持しなければならない。
有限責任会社の株主、株式会社の董事及び支配株主が義務の履行を怠ったことにより、会社の主たる財産、帳簿、重要文書などが滅失し、清算を行うことができなくなり、債権者がそれらに対し会社債務について連帯して弁済責任を負担するよう主張した場合には、人民法院は法に従い、これを支持しなければならない。
上記の状況が実質的支配者の責任によりもたらされたものであり、債権者が実質的支配者に対し、会社の債務についてしかるべき民事責任の負担を主張した場合には、人民法院は法に従い、これを支持しなければならない。
(※3)信認義務とは、清算義務の主体としての株主が、自己の負う「法により清算手続きを開始し、清算委員会の構成員を確定する」義務が、自己の会社に対する支配による生じるものであることを意味し、理論上、当該義務が「信認義務」と呼ばれる。
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