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不正競争案件に関する最新司法解釈の公表

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2007年2月28日

記事概要

2006年12月30日、中国の最高裁判所は『不正競争民事案件の審理に関する若干の法律適用問題の解釈』を公表した。

新しいページ 12006年12月30日、最高裁判所は『不正競争民事案件の審理に関する若干の法律適用問題の解釈』(以下は略称“『解釈』”)を公表した。当『解釈』では審判機構の審理実務に対し如何に『中華人民共和国反不正競争法』(以下は略称“『反不正競争法』”)を適用するかについて規定されている。以下『解釈』に関する重要な条項の内容紹介および分析評価を行う。

 

 知名商品

 

   知名商品とは中国国内におけてある程度市場知名度を有し、大衆に広く知られている商品をいう。ではどのように知名商品と認定されるのか。『解釈』第一条の規定は、裁判所が知名商品を認定するにあたっては、当該商品の販売についての期間、地域、数量または対象、広告宣伝を行う期間、程度および地域範囲を考慮しなければならないものとする。

 

  分析: 実務では、裁判所は企業に商品の売上額、当該商品の広告宣伝に費やした費用等の提出を求め、その知名度を証明させるのが通常である。企業としては上記情報の資料および証拠を保管し、今後の訴訟での立証に備えておく必要がある。

 

■ 装飾

 

   『解釈』第三条は、経営者により営業場所における装飾、店内用品のデザイン、従業員の服装等によって構成される独自のスタイルを有する全体的なイメージは、『反不正競争法』に規定される“装飾”に含まれると規定する。

 

  分析: 一般的な理解では“装飾”というと、商品売り場の内装スタイルであるのに対し、『解釈』の規定は“装飾”の定義範囲を拡大するものといえる。店内用品デザイン、従業員の服装を“装飾”の一部に含めるのは、明らかに当事者の権利の保護範囲を広げるものである。

 

■ 見せかけの宣伝行為

 

   『解釈』第八条は、経営者の下記の行為について、関係する大衆に誤解を与えた場合は、他人に誤解をもたらす見せかけの宣伝行為と認定することができる、と規定する。

 

  1.商品について一面的な宣伝または比較をした場合;

  2.科学的に定説のない観点、現象を定説のある事実として商品の宣伝を行った場合;

  3.異なる言語または他人の誤解をもたらす方法により商品の宣伝を行った場合。

 

  そのほか、あきらかに誇張した方法により商品の宣伝を行った場合であっても、大衆に誤解を与えない場合は、人々に誤解をもたらす見せかけの宣伝行為と認定されない。

 

  

■ 商業秘密の構成要件

 

   商業秘密の構成要件の一つは“一般に知られていない”ことである。『解釈』の第九条には “一般に知られていない”を除く条項が規定されている。

  1.当該情報に関る技術または経済分野の人士には一般または業界の常識である;

  2.当該情報が製品の寸法、構造、材料、部品の簡単な組立て等に関するもので、市場進出後にも一般人が観察を通じて取得できる内容である;

  3.当該情報がすでに出版物またはその他のメディアによって公開されている;

  4.当該情報がすでに公的な報告会、展覧会等方法を通じて公開されている;

  5.当該情報がその他の経由を通じて取得できる;

  6.当該情報が一定の代価を払わず取得できる。

 

   商業秘密のその他の構成要件とは“権利人が秘密保持措置を取っている”ことである。『解釈』の第十一条にはいくつかの秘密保持措置が列挙されている。

  1.秘密情報に接触できる範囲が限定されており、その内容が関係人員のみに知らされていること;

  2.秘密情報の保管について防犯処置が取られていること;

  3.秘密情報の保管について秘密保持の表示がされていること;

  4.秘密情報について暗号またはコ-ドが使用されていること;

  5.秘密保持の協議書が締結されていること;

  6.秘密に関る機械、工場、職場等の訪問者の制限措置または秘密厳守が要求されていること。

 

   

■ 顧客名簿

   

   商業秘密に関する顧客名簿とは、一般的に顧客の名称、住所、連絡先および取引習慣、意向、内容等により構成され、関係する公的な情報と区別される特殊な顧客情報、多数の顧客を記載した顧客名簿、および長期的、安定的な取引関係を維持している特定の顧客を指す。

 

  分析: 簡単な顧客情報を集めることは、商業秘密としては認められない。当該情報は必ず公的な経由を通じて簡単に入手することができず、かつ企業に価値を付与する値打ちを持っていることが必要である。

 

■ 商業秘密案件の立証責任

 

   当事者が他人にそれらの商業秘密を侵害されたと表明する場合は、それらの商業秘密が一定の法的条件に適合すること、相手方の情報が当事者のそれと実質的に同じであることまたは相手方が不正な手段を使用した事実について立証責任を負うことである。

 

 

  分析: 現在の裁判実務では、基本的に“接触と相似”の原側に基づき、商業秘密の侵害行為を認定されてきた。即ち、権利者は相手方が商業秘密について接触できる機会があったことを証明すれば侵害行為が認められてきた。当『解釈』によれば、権利者は相手方が不正な手段を使用したことも証明しなければならず、立証の難度を高めたといわざるを得ない。(2006年2月記:2,086字)

 

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