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ログイン2025年11月19日
■ 「取引相手は収賄主体に含めない」という立場を再確認した
2017年に改正された不正競争防止法で取引相手が収賄主体から除外されてからは、司法実務上その合理性について多くの議論が生じている。筆者が注目したのは、2022年の「不正競争防止法改正意見募集案」で「取引相手」が収賄主体に含められたが、最終的に公表された正式版ではこの内容が削除されている点である。これは、商業賄賂の性質を判断する基準を再確認するものであり、「賄賂の過度な認定」が正常な取引秩序を乱すのではないかという一般企業の懸念に応えるだけでなく、法執行機関による「過剰な取締り」といった現象の発生を防ぐうえでも役立つと言える。
■ 「収賄者にも罰則を科す」メカニズムを改めて明確にした
商業賄賂は対向行為であるが、司法実務では長い間、贈賄者に対する処罰だけが注目され、取引において強い立場にある組織又は個人による不当な利益の要求を実質的に容認することになっていた。今回の法改正では、収賄者に対しても法に依拠し責任を追及することを改めて明確にし、商業賄賂の規制の完全性を強化し、市場関係をより平等で公正な方向へと回帰させることを後押しするものである。
■ 罰則基準を再び引き上げた
贈賄を行う組織に対する罰則の上限が「300万元」から「500万元」へと引き上げられた。同時に、段階的な罰則を導入することにより、法執行の裁量余地の柔軟性を高め、監督管理機関が賄賂行為の具体的な状況及び影響に応じて、より的を絞った罰則を科すことができようになる。
■ 贈賄者に対する「二重処罰制度」を導入する
法定代表者、主要責任者及び直接責任者を処罰対象に含め、最高額を「100万元」とする処罰基準を設定した。これは、商業賄賂行為によって企業と個人に重大な法的結果がもたらされることがないよう、内部コンプライアンス管理を一層重視し、商業賄賂防止制度を確立し、整備し、関連する研修を強化するよう、企業の経営陣に対しさらなる注意喚起を行うものである。
■ 国外で行われた行為に対する罰則を新たに設けた
今回の改正では、国外で行われた不正競争行為(当然ながら商業賄賂も含む)に対しても、初めて規制を行っている。これにより、多国籍企業のグローバルなコンプライアンス体制への要求が高まることは必至である。多国籍企業は、国外でのインセンティブ政策が国内事業にもたらす法的リスクを再評価し、「国外では法に則っているが、国内では違反となる」といった苦境に陥ってしまうことを防がなければならない。
(作者:里兆法律事務所 丁志龍、譚騰)
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