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【中国深読みコラム】第31回~中国の映画産業~

中国ビジネスレポート マーケティング
松本 健三

松本 健三

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2016年6月3日

 読者の皆さんは最近「映画館」で映画を見たことはありますか?都会ではDVDレンタル店が数多くあり、自宅で映画鑑賞をされている方も多いと思います。筆者が最初にアメリカ製立体3D映画「アバタ―」を見たのは2009年末で天津の映画館でした。入場時にメガネを渡され目の前に雪がチラつく映像には驚きました。テレビでは見られない迫力・立体感ははやり映画館のスクリーンにあります。と云う訳で今月は中国の映画産業をご紹介します。

 3月1日付中国新聞網によりますと、「中国の今年2月の映画興行収入は前年同月比67.2%増の68億7,000万元(約1,170億円)で、北米の8億1,000万米ドル(約880億円)を大きく上回り世界最大だった。観客動員数は1億9,200万人。1~2月の累計興行収入は107億2,000万元で国産映画が全体占める割合は85.7%」と報じています。

 まず中国の映画興行収入の推移を見ておきますと、2012年に170億7,300万元(約2,900億円)で日本(2,000億円)を抜き世界第2位になった後、13年217億6,900万元、14年269億3,900万元、昨年15年度は440億6,900万元(約7,500億円)と3年で2.6倍に伸びています。15年度のうち国産映画は271億3,600万元、外国映画は169億3,300万元で40%を占めますがほとんどがアメリカ(ハリウッド)製です。(数字はいずれも中国電影発行放映協会による。以下同様)
 
 観客動員数は12年が4億6,000万人、13年が6億1,200万人、14年8億3,000万人、そして昨年15年は12億6,000万人と13億の中国人が毎年1回は映画館に足を運んだ計算になります。ここで特徴的なことは、観客の年齢別では19歳~40歳が全体の87%を占め、更にその中でも19歳~30歳が約5割となっており、「80後や90後世代」と呼ばれる若者が中国の映画産業を支え中国の消費に貢献していることです。 

 この背景にはインターネットやスマートフォンアプリでチケット予約や座席指定ができるシステムが普及し、見たい映画や座席をスマホで手軽に選べるだけでなく、映画館のチケット売り場よりも安い価格で購入できるため、若者の利用が急拡大したことが挙げられます。チケット購入方法に占めるネット販売の割合は13年には25%でしたが、15年度には75%まで拡大しており、中国では映画のチケットはスマホで購入するのが常識になっております。

 中国で最大の映画館チェーンは不動産投資が中心の複合企業「大連万達集団」で映画館は182館、スクリーンは1,617、座席数:272,611、15年度の観客数:1億174万人、興行収入:42億834万元(約715億円)となっており、今年1月にはハリウッド映画「ゴジラ」を手掛けた米映画制作会社レジェンダリー・エンターテインメントを35億ドル(約3,800億円)で買収すると発表し映画業界を驚かせました。

 来年(2017年)には世界最大級の映画スタジオ・青島東方影都が完成予定です。これは大連万達集団が総工費500億元(約8500億円)をかけて青島の376万平米(東京ドーム80個)の敷地に映画スタジオ20個をはじめ、リゾートホテルやショッピングモール、アミューズメントパークを併設した文化観光都市を造るというものです。
 
 2013年の起工式にはレオナルド・ディカプリオやニコール・キッドマンを招くなど、狙っているのは完全に「中国版ハリウッド」です。オープンと同時に青島国際映画祭も始まる予定で、東アジア映画産業の拠点となりそうです。

以上

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