こんにちわ、ゲストさん

ログイン

中国人社員の目に映った日本、日本人、日本企業(3)

中国ビジネスレポート 労務・人材
田中 則明

田中 則明

無料

2004年5月13日

<労務・人材>

中国人社員の目に映った日本、日本人、日本企業(3)

田中則明

M君―(3)

◇日本のソフト産業に関する一考察

 周知のごとく、日本のソフト産業の世界における地位は、日本の家電や自動車産業のような地位を得ることが出来ていない。私は、ずっとこのことが気になってならなかった。なぜなら、日本の経済力と教育レベルからすれば、そんな筈はないからだ。どうしてもこの点が、納得いかないのである。が、半年の研修期間中に新聞、テレビ、インターネット等の様々なメデイアと通して日本を理解し、また自分自身いろいろ体験したことより、自分なりの意見を持つに到ったので、以下で議論するためのたたき台として述べてみたい。

 ご存知のごとく、どのような製品・プロジェクトも、スタート、プロセス、結果の3つの段階から成り立っている。製品・プロジェクトのスタートは、ユーザーのニーズに基づくのが普通で、メーカーとしては、ニーズが把握できれば、後は、その製造を行い目標に到達しさえすれば良い。その目標(結果)を追求する際、誰でも知っているように、先ずは厳格な要求に基づきサンプル評価用スペックを作成し、幾度も幾度も議論を重ねた上で厳格にサンプル評価スペックに基づき開発作業を行い、最後のテストも厳格にサンプル評価スペックに基づき行う。まさにこのようなやり方が、日本の高品質を生み出して来ている。

 しかし、ソフトウェアに関して言えば、ソフトウェアには、ソフトウェアなりの特殊性がある。つまり、ソフトウェアというものは、他の産業製品に比べすぐれて複雑であり、この複雑さは問題解決上の選択肢の多さを意味している、即ち、最終目標に到達するための方法は、一つではなく多種多様であることを意味している。となると、我々には「限られた資源と環境下で、どういう方法を取るのがベストであるか?」という難問が突き付けられることになるが、ソフトウェアというものが有する複雑さがソフトウェアの実行プロセスをシミュレーションすることを困難にしているため、ソフトウェアの開発においては、当初予算を大幅に超過したにもかかわらず、追及した目標を達成できないという事態がしょっちゅう起きてしまっている。この難題を解決すべく、先輩達は、経験と教訓を踏まえ、ソフトウェア・エンジニアリング(軟件工程)という一つの学問を打ち立てたが、私は、これがソフトウェアのプロセス問題を解決する一つの方法論だと思う。必ずしもこれが絶対と言う訳ではないが、ソフトウェア・エンジニアリングの方法とステップによれば、プロジェクトがよりコントロールし易くなり、信頼性も増し、プロジェクトの目標により近づき、バグも少ないという結果がもたらされるであろう。

 日本での研修を通して、日本のソフト産業はどちらかというと、プロセスよりは、結果・目標の追求を重視しているように私の目には映った。

 以上は、私のちょっとした思い付きに過ぎず、正しくはないかも知れないので、ぜひ皆で議論をして欲しいものである。

(つづく)

2004年4月記・1,236字)
心弦社代表 田中則明

ユーザー登録がお済みの方

Username or E-mail:
パスワード:
パスワードを忘れた方はコチラ

ユーザー登録がお済みでない方

有料記事閲覧および中国重要規定データベースのご利用は、ユーザー登録後にお手続きいただけます。
詳細は下の「ユーザー登録のご案内」をクリックして下さい。

ユーザー登録のご案内

最近のレポート

ページトップへ