馬　成三

ＷＴＯ加盟を契機に香港・台湾企業を含む外国企業の対中投資は大幅に増え、昨年（2004年）には606億ドルと、はじめて600億ドルを超えた。外国企業を中国に向かわせた要因の一つは、中国が廉価でかつ良質な労働力を豊富に持っていることである。他方、中国の労働力市場にはいつもミスマッチ（需要と供給の不適応）が存在しているのも事実である。

中国労働力市場のミスマッチの中身は、時に共に変化している。1990年代には単純労働者は無限ほど供給できる一方、大卒者など人材が不足するといったアンバランスがあったが、近年では「民工荒」の出現のほか、大卒の就職難や技工の供給不足といった新しいミスマッチの顕在化が注目される。

１．大卒の急増と就職難