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中国人社員の目に映った日本、日本人、日本企業(19)

中国ビジネスレポート 労務・人材
田中 則明

田中 則明

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2005年9月27日

<労務・人材>

中国人社員の目に映った日本、日本人、日本企業(19)

田中則明

 さて、4人の感想文に対する私の2番目の感想は、「この4人の方は、最も理想的な形で日本という異文化に触れることができたんだな。よかったな」というものでした。

 異文化の旅においては、前にも書きましたが、「第一印象」が全ての「出発点」で、それに続く長い旅路は、この「第一印象」が正しかったかどうかを検証して行く旅路です。

 従って、ここでは「第一印象」は、決定的に重要な意味を持ちます。異文化理解の旅とはまさに、「第一印象」が生み出した「思い込み」・「先入為主」の桎梏から自らを解き放つ旅路にほかならないからです。

 世の中には、無数の「出会い」があり、そこでは無数の「第一印象」が生まれています。例えば、

  • 上海の日系企業に就職したいと考えたAさんが、面接試験を受けに行き、そこで日本人総経理のBさんに出会う。
  • 海外青年協力隊の看護婦の一員として、日本人Cさんが西安に行く。そこで、日本軍と戦った一人の中国人の老人Dさんに出会う。
  • 長沙に観光旅行に行った日本人Eさんが、旅行社ガイドの中国人Fさんと出会う。
  • 北京で不動産の商売をやろうと考え北京に滞在していた日本人Gさんが、安徽省から北京に出稼ぎに来ていた中国人Hさんと出会う。
  • 東京滞在中に犯罪の嫌疑を掛けられ取調べを受けることになった中国人Iさんが、取調室で日本人の取調官Jさんと出会う。
  • 青島に観光旅行に出掛けた日本人Kさんが、足裏マッサージ店で経営者中国人Lさんと出会う。
  • ハルビンのホテルでパスポートを盗まれてしまった日本人のMさんが、最寄りの派出所に盗難届けを出しに行き、中国人警察官Nさんと出会う。
  • ウルムチを訪れた日本人Oさんが、交通事故に遭い、運ばれた病院で中国人医師のPさんと出会い、相思相愛となる。
  • 福岡の中華レストランでバイトをしていた中国人留学生Qさんが、その店の常連客の日本人Rさんと出会い、意気投合し、一緒に貿易会社を起すことになる。
  • 少林寺拳法を極めるべく河南省に滞在していた日本人Sさんが、現地の指導員Tさんに会い、その人柄と情熱に心を打たれ、Tさんを生涯の師と仰ぐようになる。
  • 日本で寿司屋を経営するUさんの店に、客として来た中国人Vさんが、自分が先に注文したにもかかわらず、常連客の日本人に先に料理を出したことに腹を立て、テーブルをひっくり返すような大立ち回りを演じる。
  • 「南京大虐殺記念館」を訪れた中国人Wさんが、日本人団体旅行客の一人Xさんと英語で言葉を交わし、話をするうちに親しくなり、一緒に夕飯を共にすることになる。
  • 日本人Yさんが、「中国入門」という本を読み、そこに書かれている「中国には食人の習慣がある」という点に大変興味をそそられ、たまたまその日にバイト先に新しく入って来た中国人Zさんに、「本当?」と尋ねたところ、「人間、極限状態になれば、そういうこともあるでしょう。日本人の戦記にも、人肉を食べたという話はたくさん載っているじゃないですか。なんで、そんなことを聞くの?」「ただ聞いただけだよ」「じゃー、聞くけど日本人には”三光”っていう習性があるって本当?」「何それ?」「・・・・」と議論がエスカレートし、しまいには取っ組み合いのケンカになってしまう。
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 実に様々です。無数の異文化間の「第一印象」は、今日も地球上のあちこちで生まれています。その中で、異文化理解においてとりわけ問題となるのは、「第一印象」が、上述の日本人Uさん、Yさん、中国人Vさん、Zさんのようなケースです。

 Uさんは、翌日店の入り口に「粗暴な中国人お断り」の張り紙を貼るかも知れません。Vさんは、二度と「寿司屋」には出入りしなくなるかも知れません。Yさんは、以後中国人と口をきかなくなるかも知れません。Zさんは、以後、上述の書の向こうをはり、徹底的に日本人のあら捜しをした本を書くことをライフ・ワークにするかも知れません。

 ずれにせよ、この4人にとっては、異文化理解の旅は、道はるかにして、足重く遅々として歩まず、になるに違いありません。なぜなら、その後の人生において、「第一印象」とは全く正反対の異国人に出会ったとしても、「第一印象」を傍らに投げ捨て、「そうか、こういう人達だったんだ」という切り替えは俄かにはできないからです。

 「いや、そんなはずはない」「いや、絶対そんなはずはない」「いや……」という長い長い道のりを辿らなければ、自らが当初浴びた強烈なボディーブローの痛みから立ち直ることはできないからです。

 この意味において、異文化理解における「第一印象」の重要性はいくら強調しても強調し過ぎることはありません。

(以上)

(2005年9月記・2,208字)
心弦社代表 田中則明

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