<労務・人材>
日系企業社員の告発状を読む(4)
田中則明
『A総経理の二十大罪状』は、これでもかこれでもかとまだまだ続きます。
翻訳作業を続けるうちに、「悪いやつだ、悪いやつだ」という気持ちが強くなる一方、「こんな極悪非道の輩が、よくもまあ総経理を務めていられるな。この告発文には、A総経理の長所には一切触れていないが、どこか、平社員とは一味違うものがあるんじゃないかな?でなけりゃ、務まるはずないな。」「一体、この会社の董事長、董事会は何をやっているんだろうか?これは、総経理個人の問題と言うより、総経理を任命した上層部の責任だ。」等等の感慨も沸き起こって来ます。
いずれにせよ、これは、かなり迫力のある、鬼気迫る文章です。
では、続きを見ていきます。今回は、11.〜13.です。
11.2004年7月A総経理は、学歴詐称の女性社員Oに販売を担当させたが、半年間全く実績が上がらなかった。にもかかわらず、A総経理は彼女に高額の給与(他の二人の営業担当者の給与を合わせた額)を支払ったのみならず、会社の業務とは無関係の費用3万元を会社の経費で落すことを認めた。同時に、Oはそのボーイフレンドとグルになって、でたらめな広告宣伝企画を提示し、それに対し、A総経理は、なんと2万元も支払った。Oは会社に出勤しないことが多く、しょっちゅう他の社員に出勤カードを押させていたが、A総経理は、Oに処罰を加えるどころか、やむを得ず出勤カードを押さされる羽目になった社員を叱るばかりで、これら社員の不満が募った。このことを理由に、社員Pが辞職し、社員全体に悪影響が及んだ。
12.2004年−2005年、A総経理は、長期に亘り社員を不当に扱ったため、大量の開発者、テスト、販売担当者が会社を去った。Q、R、S、T、U、V等である。また、この状況を見て、多くの新入社員が辞めて行った。2005年の6月だけでも、4名の古参社員が止めてしまった。翻訳のW、テストのX、販売のY、Zである。Zは、A総経理にいびられて辞めたものである。こうした多くの社員の退社は、会社の業務に大きな支障をもたらしただけではなく、残された社員に大きな心の痛手を与えた。
13.A総経理は、自分は毎日会社でお湯を使って入浴するくせに、他の社員にはお湯で手を洗わせることも許さず、冬は、会社のトイレのお湯も元栓を締めてしまった。多くの女性社員が、生理日に冷水で手を洗うのは身体に悪いと抗議したが、聞き入れてもらえなかった。女性社員は、このことに不満を募らせ、これが社員全体の気持ちを大いに害した。(つづく)
(2005年7月記・1,047字)
心弦社代表 田中則明
|
|
|