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ログイン2004年3月16日
<各業界事情>
(アジア・マーケット・レビュー 2004年3月1日号掲載記事)
広東省深センに日系大手に人気の新しい金型工場が健闘している。
中国人なのに納入先が日系企業であるなどの関係から、中国の外である香港に全運(香港)実業有限公司を設立、その委託加工工場として深センで稼動した全運模具塑膠廠がそれ。稼動してからまだ半年であるにもかかわらず、広東省の日系大手企業向けに年100型べ一スの新型(設計も含めて新品の金型)生産がフル稼働。
経営者は1968年9月生まれ、30代の若手経営者である黄国栄(フアン・グオロン)総経理(Eメール:quanyun_mould@163.net)。
黄さんは湖南省衡陽(ホンヤン)市の農家の出身で湖南大学では機械を専攻、12年前に深センに来て日系金型であるヤマダ電器の同市フーヨンにある合弁工場でフライス加工など工作機械のオベレータとして働き、その後、縛川沙井の電合精密、次いで布吉の丸山成形という日系企業で働きながら金型設計を行うなど、広東省の日系企業で働きながら日本式金型生産をモノにしてきた。
黄さん兄弟は4人で、次男の兄は上海で医師、黄さんは3男にあたる。同社には6人の女性が金型磨きを行っているが、黄さんの実妹も深セン市フーヨンのエンプラスという日系金型で金型磨きをしており、兄は沙田(シャーティン)の中国ローカルのプラスチック金型で働いている。兄弟4人の内で実に3人が広東省で金型を作る工場で働いていることになる。「全運模具」という社名は「金型製造で運が開けるように」と黄さんが名づけた。深センに進出したのは、広東省は広くて恵州、広州、東莞などの顧客と高速道路で結ばれる交通の便を考えて、その中心地であるこの地に進出したもの。龍華鎮の大浪村が開発した新園第2工業区6棟1楼にある工場の周りはまだまだ新ビルエ場の建設ラッシュの状態にある。黄さんは2003年7月にこの工場を見学し日系大手から受注する全運模臭塑膠廠と黄さんて翌8月28日には工場をスタートしているというスピードで工場を立ち上げた。
工場は2直で約50人の従業員で1ヶ月に約20型、年100型以上が当面の目標。黄さんは、「すべての金型が日本の大手企業で、そこの厳しい審査にも合格する日本企業と同品質の金型を生産しています。当社では広東省に来ている日系金型会社の価格に比べて3割引で作ります」と断言している。
「品質を最も重視する」経営姿勢から、操業してまだ半年であるにもかかわらず、広東省のソニー、エプソン、キヤノン、富士ゼロックス、オムロンなどと日系企業の有力顧客を確保、「台湾の注文もあるが安いのでやりたくない。韓国はない」とのこと。近くのテクノセンターに進出しているテスラムという会社向けにインサート金型も生産している。
上海からもプレス金型を受注した。「上海は高い上に品質面での問題があるので当社に来るのでしょう」と黄さん。
金型材料には大同特殊鋼、日立金属といった日本製を使うことが多く、放電加工機はソディックと三菱電機の機械を導入し、CAD/CAM(コンピュータ支援設計・製造)はプロE、UG、オートCADを導入している。現在の金型精度は5ミクロンだが、近く3ミクロンに高めるという。
また2004年1月には2台の100トンの成形機を導入したが、テスト、測定の他にプラスチック部品の成形の受注も行う方針。
黄さんは、地元の税務署との話し合いで、税金は月5千元で「これは納得できる額」として納税している。
家族は黄さんが以前働いていた同じ広東省の布吉に住み、車で30分ほどかけて工場に通っている。奥さんとの間に4歳の子供がいる。日本に行ったことは無いが「日本のラーメンは美味しい。でもマグロの刺身は気持ち悪い」と黄さん。
本記事は、アジア・マーケット・レヴュー掲載記事です。
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