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2006年度の上海十大ニュースをみる

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2007年2月21日

記事概要

 例年、春節前になると政府がまとめたその年の10大ニュースがマスコミ各誌で発表される。内容は政治、社会、経済、スポーツと多岐にわたっており、市政府が力を入れてきた各プロジェクトについても理解することができる。また、本稿では上海市が発表した2006年十大治安項目についても付記で紹介する。

  例年、春節前になると政府がまとめたその年の10大ニュースがマスコミ各誌で発表される。内容は政治、社会、経済、スポーツと多岐にわたっており、市政府が力を入れてきた各プロジェクトについても理解することができる。また、本稿では上海市が発表した2006年十大治安項目についても付記で紹介する。

1. 胡錦涛総書記が上海に対して「4つの率先」を要求する。

 2006年3月6日、第10回全国人民大会第4回会議にて、上海の代表団に対して「4つの率先」と呼ばれる要求を出している。その内容は、以下の通り。
(1) 上海が率先して経済発展方式を転換して、これまでの経済社会の発展模式から科学的な発展に力をいれる。
(2) 率先して自主開発能力を高め、「小康社会」建設のための科学技術面でのサポートを強化する。
(3) 率先して改革開放を行い、中国全国における改革開放の先駆者の地位を保持する。
(4) 率先して社会主義的協調・調和社会を作り、社会主義現代化の建設が順調に進むようにする。

 さらに、2006年6月12日~13日にかけて胡錦涛総書記は上海で、改めて上海の科学的な展望に基づいた経済発展への変革を求めている。政府中央が上海に対して、従来の中国の発展様式から脱皮した、高次元の経済発展モデルの構築を求めていることがわかる。

2. 前上海市党書記陳良宇の党規違反問題で、上海が党中央の決定を支持した。
 
 2006年9月24日、中国共産党中央政治局が会議を開き、陳良宇が上海市労働と社会保障局の社会保障基金を流用し、不正に利益を得ていたとして党規違反で調査に入った。その結果、党中央の紀律検査委員会でこの案が立憲され、陳良宇の上海市党書記などの職務を罷免し、党中央の職務も停止した。
 2006年の上海の政界を揺るがした大事件として、上海市トップの起こした事件が2番目に挙げられたことは特筆に価するだろう。その後、上海の巷ではこの事件に対する暴露本が地下で出回るなど、市民の関心の高さが伺える。

3. 上海協力機構(上海合作組織)首脳会議が上海で開催される。

 2006年6月15日、中国・ハザクスタン・キルギスタン・タジキスタン・ウズベクスタンロシアからなる国際組織である上海協力機構(上海合作組織)の首脳会議が上海で開催された。かれこれ5年目を迎えたこの組織では、『上海合作組織5周年宣言』を採択し、『上海合作組織参加国元首理事会第6回会議聨合公報』を発表した。

4. 政府中央の経済マクロコントロール政策の効果と上海経済社会の発展がもたらした「3つの特徴」。

 2006年にはいって行われた中央政府の経済マクロコントロール政策を全面に実施し、経済発展に科学的思考を取り入れ、省エネルギーや経済システムの効率化、さらに社会民生制度の充実をはかる。
 このなかで、GDP1万元あたりのエネルギー消費量は全国でも最先端をいき、固定資産への投資額の増加も10.5%に抑えるなど全国レベルからするとかなり低い増加となったとしている。また、不動産開発に投入される投資額も1%減少した。そのほか、社会消費品の売り上げは13.1%増加し、過去8年間で最高となった。
 第三次産業のGDPの増加は、上海市GDP増加のなかでもその割合が50%を突破し、都市部での可処分所得は10.7%、農村部でも10%の2桁成長となった。

5. 上海市委員会で、『「中国共産党中央が社会主義の和諧(協和・協調)的社会を建設するために重大な問題決定」を徹底的に実行するための意見』が合意される。

 2008年12月18日~20日に審議されたこの意見は、陳良宇などが関わった社会保障基金の流用事件に対する反省と、上海市の反腐敗に対する決意を表明したもの。さらに、2007年の上海経済社会発展の目標として、経済発展と同時に環境保全、エネルギーの節約、市民の社会保障問題など民生問題の充実を掲げ、「和諧社会」の実現に力を入れる。

6.上海市では、10万人に及ぶ社会保障がない高齢者の社会保障問題を解決。

 2006年9月1日より、上海市では高齢者の社会保障がない都市部住民に対して、基礎的な社会保障を享受できるような制度を設けた。この中で、上海戸籍をもつ70歳以上で、かつ上海に30年以上居住している高齢者に対して、基本的な年金の受給と、公的医療保険が享受できるように、新制度を発足させた。中国でははじめての試みとして、注目されている。この結果、10万人もの高齢者が社会保障を受けることができるようになった。
 また、乳幼児や小中学生はこれまで基本的な公的医療保障制度がなく、多くで医療費の私費負担が余儀なくされていたが、200万人の小中学生と乳幼児に対して政府が医療保障を行えるようにした。
 さらに、2006年度は最低生活保障規準を改正し、生活保護費の受給額が引き上げられた。最低給与規準も引き上げられたほか、社会保障が受けられる範囲も拡大し、600万人の市民の生活が改善されたとしている。2006年は社会的弱者に対してさまざまな制度が実施された年でもあった。

7.上海万博に107の国や地域からの参加が決まる。

 2006年3月22日、中国政府は各国の大使館に中国国務院総理温家宝総理による2010年上海万博招致書が渡された。2006年12月末までにあわせて107の国や地域からの参加が決まり、当初目標数をすでに突破した。

8.中国国家5大科学技術奨で、上海出身者が大活躍。
  

 2005年度の中国国家最高科学技術奨、国家自然科学奨、国家技術発明奨、国家科学技術進歩奨、国際科学技術合作奨の5項目すべてで、上海人が受賞した。さらに、321件の全受賞件数のうち、14.33%を上海人が占め、過去最高となった。

9.陸上選手の劉翔選手が110メートルハードルで世界新記録。

 陸上のローザンヌ国際大会で、上海人の陸上選手劉翔が110メートルハードルで12秒88の世界記録をマークした。これまでの世界記録は12秒91だった。

10.上海市の人口が1778万人を突破し、平均余命が80.31歳となる。

 2006年3月16日、上海市統計局が発表した人口1%を対象とした調査で、上海市の人口が1778万人となり、2000年と比較すると137万人の増加となった。このうち、外来人工は438万人で、全体の4分の一近い24.63%となった。
 2006年2月20日に行われた上海市衛生工作会議で、2005年の上海市の平均余命は80.13歳となり、妊婦の死亡率、新生児の死亡率ともに先進国の水準に達したこと発表した。

【付記・上海市の2006年治安問題に関する十大事項】

1. 麻薬販売などの犯罪が多発するエリアの取り締り。
2. 公共娯楽場所の経営活動の規範化。
3. 金属回収業者の管理強化。
4. 学校など教育施設の治安環境の整備。
5. 住宅エリア内での防犯設備の充実。
6. 使われていない工場などの賃貸管理強化。
7. 「黒車」と呼ばれる非合法なタクシーなど自動車の取り締り。
8. 野菜・果物などの卸売市場の秩序改善。
9. 流動人口など人口の動態管理システムの整備。
  10.突発的に発生した社会治安問題に対する対処。

 上海市社会治安総合治理委員会弁公室がまとめた2006年度の社会治安問題に関する10大事項だ。2006年末までに2万台の白タクを取り締ったほか、卸売市場に蔓延る不法グループ16組、非合法金属回収業者859件、麻薬を違法売買していたアジト22箇所を摘発した。また、娯楽施設の取り締り件数は1万件に達するという。

 このほかに、最近社会問題となっているのがマンション一部屋に集団で生活する「群租」問題、また上海市内の総合病院周辺にたむろし、営利病院に強制的に患者を連れて行く「医托」問題も、上海市民の間で関心が高い。(2007年2月 3,186字)
 

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