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ログイン2007年7月16日
中国ではいま、さまざまな要因が重なり、物価の上昇が続いている。そんな中、6月26日に蘭州市物価局が工商局などとともに通達を出し、蘭州市の牛肉ラーメンの価格は、大盛りで最高2.5元、小盛りでも2.3元を超えてはならないという規定を出し、物議を醸している。いったい、その背景にはなにがあったのだろうか?
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中国ではいま、さまざまな要因が重なり、物価の上昇が続いている。そんな中、6月26日に蘭州市物価局が工商局などとともに通達を出し、蘭州市の牛肉ラーメンの価格は、大盛りで最高2.5元、小盛りでも2.3元を超えてはならないという規定を出し、物議を醸している。いったい、その背景にはなにがあったのだろうか?
1. ラーメンの里、蘭州
上海にも数多くある蘭州ラーメンの看板。 蘭州というのは甘粛省の省都で、人口は350万人ほどのにぎやかな街だ。黄河が街を貫き、街にはイスラムの香りが漂う。この蘭州の地で生まれた名物ラーメンが、いまや中国を代表するラーメンとして中国各地を制覇してしまった。
蘭州人はラーメンが大好きである。甘粛省の調査では、蘭州人は1週間に3.25回蘭州ラーメンを食べ、市内には1200店舗の店がひしめき合っている。蘭州市物価局によれば、蘭州市民は毎日のべ70万~80万人ラーメンを食べ、年間売り上げは7億人民元に達するという。あるデータによれば、蘭州市民は週2回牛肉ラーメンを朝食にしているとか、週に1.25回は昼食に牛肉ラーメンを食べているなどの数値があるぐらいだ。
蘭州人にすると、ラーメンこそが中国西北地域の男たちの気質を生み出していると豪語するものもいれば、ラーメンほどすぐに腹を満たすことができる食べ物はないと言い切る。それほど生活に密着しているのが、蘭州ラーメンなのである。
2. 度重なる牛肉ラーメンの値上げ
歴史的には、蘭州市の牛肉ラーメンはもともと政府が定めていたという経緯がある。1999年より前は、ラーメン1杯1.6元~1.7元に定められていて、値段が市場原理に任されるようになったのは、むしろ2000年以降のことであった。
その間、ラーメン価格は比較的平穏で、2006年の価格でラーメン1杯2.2元程度であった。ところが、2006年2月には蘭州市中心部で、2,2元が2.5元に値上げされ、さらに2007年には3元になった。
特に、2007年の値上げに関しては市民の反応が蘭州市物価局に多く寄せられ、メディアも報道し始めた。一部蘭州市民の間では、見た目ではそれほどコストがかかっているとは思えない蘭州ラーメンに対して、どうして度々ラーメン価格を上げるのか不満が高まっていた。中には、蘭州ラーメンの利益率は40%の暴利を得ているというウワサまで広まった。そこで、蘭州市物価局は7月11日に市内中心部にある800店舗のラーメン店のうち、12店舗を選び、コスト計算の調査を行った。その結果、牛肉ラーメンのコストは2.19元で、そのうち0.44元は小麦粉代、0.46元は牛肉代、さらに税金やテナント料、人件費を計算すると、ラーメン1杯のコストは2.19元になると計算し、1杯2.5元の価格なら、0.3元程度の利益が出るとされた。ただ、ラーメン店側からすれば、利益が少ないという不満の声も上がっている。
実際問題として、消費者のニーズが一昔前と変わってきていることも留意しておく必要がありそうだ。それは今までの安くて不潔なラーメン店から、むしろお金を出しても清潔で高級感のあるラーメンを食べてみたいという市民も増えているという点だ。2001年の調査では、200万人いる蘭州市民のうち、36.55%の市民が、ラーメン店の5%を占める比較的高級なラーメン店でラーメンを楽しみたいと答えている。そういう店では、1杯3元のラーメンは存在せず、すでに1杯20元、30元の世界になっている。貧富の差が広まっている中国では、仮に0.5元(約8円)値上げしても、それが全く財布を傷めない人もおれば、0.5元高くなるだけで、いてもたってもいられなくなる人がいるのも事実なのだ。
3. 政府がラーメンの価格を決める意義は?
蘭州ラーメンがそれほど蘭州市民に欠かせないとしても、なぜそこまで政府が価格動向にこだわるのか、我々からすれば今一つ理解に苦しむところだ。
蘭州市物価局の説明では、まず、蘭州牛肉ラーメンの価格動向は、蘭州のシンボル的存在であり、市民の生活必需食品である。そのため、ラーメンの価格は水・電気・ガス・バス料金など公共料金に匹敵するものとしている。さらに、度重なるラーメンの値上げが、実はラーメン同業者の間での価格カルテルの疑いがあるとまで言ってのけている。その根拠として、2006年度から現在にかけて、蘭州市内のラーメン店はどの店でもほぼ同時に、同じ割合でラーメンの値上げをしていると指摘している。そして、今回の政府が定めた大2.5元、小2.3元という価格帯は、政府が計算したラーメン製造コストでみても、大椀1椀あたり、0.3元の利益がでていて、極めて合理的だと反論している。
ただ、中国の専門家の間でもこの政府のやり方に疑問点が出始めている。蘭州大学経済管理学院の宋越英教授は、ラーメン価格に対して政府が介入することは、蘭州ラーメンの健全な発展を妨げるので、市場原理にのっとって変動することが望ましいとコメントを出している。さらに、本当に同業者間で価格カルテルがあったとするのなら、中国の法律に基づいて対処すべきであると反論している。
ただ、一部市民の間では、こういった人々の生活の細々としたことにまで関心をもっている蘭州市政府に対して、評価している人も少なくないことを付記しておこう。(2007年7月記・2,182字)
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