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中国の玩具製造業のピンチ

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2007年10月10日

記事概要

中国製品に対して、猛烈な風当たりが続く昨今、2007年夏は中国製玩具回収事件が立て続けに発生した。玩具製造が盛んな広東省にとって、その影響は計り知れない。しかし、これら一連の事件は、まさに現在の中国の製造業が抱える問題を露呈していると言えよう。

 中国製品に対して、猛烈な風当たりが続く昨今、2007年夏は中国製玩具回収事件が立て続けに発生した。玩具製造が盛んな広東省にとって、その影響は計り知れない。しかし、これら一連の事件は、まさに現在の中国の製造業が抱える問題を露呈していると言えよう。

 

1.全世界の玩具の75%は中国製

 

 広東玩具協会によると、全世界で生産された玩具のうち、約75%は中国製で、そのうち約80%は広東省製といわれている。国別で見ても、2006年のデータで、アメリカが輸入している玩具の87.21%は中国製だし、EUの輸入している玩具の80%は中国製と、その量は圧倒的に多い。

この夏、米国マテル社が全世界で2020万件の中国製玩具を回収しているが、その製造エリアの大部分は中国の珠江デルタエリアであった。こうした一連事件にたいして、広東省の玩具製造工場は当然のことながら強い関心を寄せている。

広東省汕頭市澄海区は、このエリアで生産された玩具の70%を海外に輸出している。エリア全体の生産額は2006年度に130億元に達し、さらに年間30%の割合で成長した。3000余りの企業がひしめき合い、10万人が従事している。相次ぐ中国製玩具の問題に、広東省当局もここ4ヶ月間にわたって、重点的に検査を強めている最中だ。とくに問題となっているのが中小の工場。原材料や塗料、充填物が果たして合格品を使っているのかを厳密に検査しだしている。特に、家族経営同様の小さな工場に対してももらさずに検査を行う姿勢を示した。

この背景には、2006年からEUが実施しているRoSH規制、さらに2007年5月から米国で実施された玩具に対する新規定など一連の変化が大きく影響している。これまで合格だった玩具も、新規定により不合格になってしまうことが多数発生している。さらに、質検総局の李長江局長は、マスコミのインタビューに対して、マテル社の件に関しては、85%が米国企業の要求で設計・製造されたもので、鉛がアメリカの基準に合わなかったのは、全体の15%に過ぎなく、大部分が設計に問題があったからと反論している。さらに、製品を輸出した米国企業の品質に対する管理体制にも問題があると指摘した。

 

2.求められる産業構造の変革

 

 広東省の玩具製造は、中国への投資ブームと経済の成長に乗ってかれこれ20年以上の生産経験を積んでいる。しかし、この間ずっと外国企業などの製品の製造を請け負ってきて、自らのブランドとアイデアで成功した例が非常に少ない。成功のためには、単なる技術力だけではなく、市場の求める製品を、自分たちの力でいかに作れるかという点にある。それができなければ、中国の企業はいつまでたっても外国企業のバイヤーのいいなりにならなくてはならない。最近では、バイヤー自身が中国の製造メーカーからマージンを求める現象も発生しているようで、中国メーカーの利益率は下がる一方だ。

 特に珠江デルタエリアには玩具製造工場が密集しており、もし外国企業の注文を断ったりすると、真っ先に他のメーカーが注文を受けることになり、悪循環が発生しやすい。さらに、生産量が相対的に過剰になり、価格を上げることができないジレンマに陥っている。一方で、環境や安全に対する基準が高まり、原材料の高騰も著しい。労働コストも年々上昇している。そんな中で、わずかでも利益を出すために、どうしても原材料などでウラの手を使ってしまうことが発生すると分析する中国の専門家は多い。

伝統的な模式で経営されてきた製造業が直面している大きな問題が、今広東省の製造業に直撃しているとも言えよう。

 

3.中国製玩具に未来はあるのか?

 

 中国の対米国の貿易黒字は拡大傾向にある。2007年1月~7月をみても1368億米ドルに達しており、前年比612億米ドルの増加となっている。このまま行くと、アメリカの対中国貿易赤字は世界一となる可能性が確実視されている。さらに、人民元切り上げの問題も再びくすぶり始めている。アメリカは、中国製製品に対しての攻勢を強めていて、相次ぐ知的財産権への訴訟もその一環だという見方は強い。中国製玩具の大量回収事件はそんななかで発生した。

 もちろん、アメリカのマスコミ報道も大きな影響を及ぼしているのだろう。日本でも、中国製製品を買わないという消費者が増え始めている。広東省公平貿易局の陳立鵬局長はこうした動きに対して、早急に全世界に対して中国製品への誤解を取り除くことが急務だとしている。中国は確かに多くの製品を、アメリカを初めとする世界の市場に送り出してきた。しかし、実際に中国製品で巨大な儲けを得ているのは海外の企業であり、その裏で中国企業は薄利多売の泥沼にはまっているという現実がある。これは、広東省の中国の玩具製造メーカーの実態から容易に想像がつく。「安かろう、悪かろう」の根本的原因に、実は海外のメーカーが深く関係していることを多くの消費者も理解していないだろう。

 新興諸国の発展により、インド・ベトナムなどの追い上げも激しい。一連の問題が、中国製品の競争力を低下させるのではないかという心配が中国でも起こり始めている。中には、国内のメディアが「中国製製品を救え!」と論評しているところも出だしている。中国のメディアも、いつも中国の経済の成長やGDPが何%上昇したかを書き立てる前に、こうした海外からのバッシングを受ける根本的原因を冷静に分析する必要がありそうに思われる。(2007年10月記・2,193字)

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