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紙代が経営を圧迫し始めた中国の出版・雑誌業界

中国ビジネスレポート 各業界事情
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2008年8月19日

記事概要

中国ではこのところ、雑誌や新聞の値上がりが続いている。それも数%程度の値上がりではなく、一気に2倍、3倍となっている新聞・雑誌媒体も少なくない。そんな中、中国政府の新聞出版総署も2008年度の新聞業界は、赤字に転落する危険性があると警告をならしている。

 中国ではこのところ、雑誌や新聞の値上がりが続いている。それも数%程度の値上がりではなく、一気に2倍、3倍となっている新聞・雑誌媒体も少なくない。そんな中、中国政府の新聞出版総署も2008年度の新聞業界は、赤字に転落する危険性があると警告をならしている。

 

 中国の新聞は、全体の物価から比較しても比較的安く抑えられている。普通、05元~1元、高くても2元を出せば購入することができた。しかし、今は度重なる値上がりで1元を最低出さないと購入することができない水準になった。日本円で換算するとたいしたことないように見えるが、値上げ幅からみるとかなり大きい。

 

例えば、新聞紙を例にとると、これまで1トンで5000元で購入できた新聞紙が、今や5900元にまで値上がった。割合にしても20%の値上がりとなっている。さらに、新聞社に提供する製紙業界でも、紙値上がり圧力がかかっているという。

 

興味深いのは、中国の新聞紙の値段はここ数年比較的安定していた矢先のことだった。今回の値上がりは、おもに再生紙の価格上昇と関係があると言われている。広東省製紙協会の関係者によると、古紙がこれまでの1トンあたり数百元~1000元程度だったのが、今や2000元にまで値上がりしているという。

 

こうした古紙の値上がりは、全世界的におこっている環境への関心の高まりと関係があるという。全世界的に木の伐採が制限され、さらに古紙の再生技術の向上と関係があるとしている。これまで80%程度の古紙を含有した再生紙から、100%古紙を使った再生紙が登場し、古紙の需要が大幅に高まっているのだという。そのため、紙業界もコストアップに悩まされているのが現実だ。

 

 中国の場合、もう一つ注目される背景がある。それは、新聞紙の発行数の急増だ。『東方早報』[1]によると、2006年頃から新聞の発行部数が増えているほか、広告などで使われる紙が急増しているという背景もある。2008年度はその発行量は420万トンになるともいわれている。

 

そのほかの値上がり要素も忘れてはならない。電気代や運送費、人件費、金利などどれをとってもコストが上昇しており、どれをとっても値上がりに動かざるおえないという現実がある。

 

 こうした紙代の上昇は、中国の新聞業界にとって大きな重みとなっている。政府が発表した『2007年全国新聞出版業基本状況』の統計でも、2007年度中国全国で発行された新聞・雑誌の印刷量は23452億枚となり、紙の量からすると5427万トンになるという。紙の量全体では161%の増加となるが、このうち新聞などに使われる紙の量は7208%に達する。2008年度はさらに紙の量が増えるだろうと予想されている。

 

しかし、新聞・雑誌業界全体では、発行量が増えても売り上げが伸びている訳でもなく、コストばかりが増えるという悪循環の状態が発生しつつある。新聞のコストのうち、紙代が6070%を占めていると言われる中、2008年度は多くの新聞社が赤字に転落するリスクを抱えているのだ。(20088月記・1,247字)

 
 


 

  

      [1] 『東方早報』2008813

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