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中国税務ここがポイント(8)中国の最近の税務トピックス続編、及び中古機械の輸入

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2005年2月10日

<税務・会計>

中国税務ここがポイント(8)

中国の最近の税務トピックス続編、及び中古機械の輸入

永岡稔

 前回は、中国の最近の税務トピックについてお知らせしました。
今回は、新設商貿企業の増値税一般納税者認定の制限に関する補足通達と、会計年度末を迎えるにあたっての法人税務上の留意点、そして中古機械の輸入手続についてについてお知らせします。

1) 新設商貿企業の増値税一般納税者認定の制限に関する補足通達

 前回お伝えした内容:2004年8月1日より、「新設商貿企業の増値税徴収管理の強化に関する問題についての緊急通知」(国税発明電[2004]37号)が施行されました。この通達では、新規に設立した商業貿易企業(注:ここの貿易は国内取引も指す)において、仕入税額控除の出来る「増値税一般納税者」の認定要件を厳しく規定しました。

 今回の内容:2004年12月1日付で公布された国税発明電[2004]62号通達「新設商貿企業の増値税徴収管理の強化に関する問題についての補充通知」では、制限が緩和されることとなりました。
すなわち、国税発明電[2004]37号では以前にも増して、新設商貿企業の増値税一般納税者資格の取得が難しくなり、小規模商業企業の場合は、いずれにせよ設立初期は増値税小規模納税者とならざるを得ず、仕入税額控除ができないこととなっていました。新通達では、そのような企業でも、条件を満たせば以前通りに、年間予想売上高が180万人民元以上である場合でも、増値税一般納税者資格の認定が受けられることとなっています。

【国税発明電[2004]62号通達の要点】

1. 新設小規模商貿企業の増値税一般納税者資格認定条件の緩和
新設小規模商貿企業については、下記条件を全て満たす場合には、年間予想売上高が180万人民元以上である場合も、増値税一般納税者として認定し、その初期の増値税一般納税者資格認定のための指導期間に移行することができる。

  1. 一定の経営規模を有する
  2. 固定した経営場所を保有
  3. 相応の経営管理人員を保有
  4. 貨物の仕入・販売契約若しくは書面による同意がある
  5. 明確な貨物の仕入・販売ルートを有する

2. 輸出専門企業が増値税輸出還付のために増値税一般納税者資格申請を行う場合の要領

3. 登録資本金500万人民元以上及び従業員数50名以上の新設大中規模商貿企業は、管轄税務機関の書類審査・法定代表人との面接・実地調査の後、条件を満たせば増値税一般納税者資格の認定を行う。すなわち、その初期の増値税一般納税者資格認定のための指導期間は不要。

4.
新設小規模商貿小売企業ですでに増値税一般納税者資格を有するものが、1カ月目以内に増値税専用発票を再度購入する必要のある場合、管轄税務機関は2回目の発票販売前に実地調査を行い、貨物の存在と小売業務の状況を確認する。

5. 新設工業企業の増値税一般納税者資格認定に際しても、管轄税務機関は下記条件を全て満たしているかどうか実地調査により確認する。

6. 2004年6月30日以前に税務登記を行い、かつ正常な経営を行っている小規模納税人に属する商貿企業は年間販売額が180万元に達した後、管轄税務機関の審査を受け一般納税人と認定され指導期一般納税人の管理は行わない。

7. 新設小規模商貿企業は、増値税一般納税者の指導期間においては、暫定的な増値税一般納税者として取り扱わない。

【新設商貿企業の増値税一般納税者資格取得手続の一覧表】

企業分類 要件(全て満たすこと) 増値税一般納税人資格の申請取得
大中規模商貿企業 登録資本金500万人民元以上及び従業員数50人以上 税務登記後に申請→審査→一般納税者資格取得
小売業 固定した経営地点と貨物を保有 税務登記後に申請→一般納税者資格取得→その後最少6カ月間の指導期間
小規模商貿卸売企業 上記以外の企業 1年間に180万元以上の売上があれば申請→審査→一般納税者(暫定)→その後最少6カ月間の指導期間→再審査→取得
下記条件を全て満たす場合
(1)一定の経営規模保有
(2)固定経営場所を保有
(3)相応の経営管理者保有
(4)貨物の仕入・販売契約若しくは書面同意有り
(5)明確な貨物の仕入・販売ルート保有
1年間に180万元以上の売上予測があれば申請→審査→一般納税者資格取得→最少6カ月間の指導期間  なお、一般納税者資格取得後1カ月以内に管轄税務機関の実地調査があるとされている。

2) 会計年度末を迎えるにあたっての法人税務上の留意点

1. 会計方針の変更があった場合
 期中に減価償却方法・棚卸資産評価方法等の会計方針の変更があった場合は、その旨の菫事会決議等を行い、その変更原因を説明する文書とともに、確定申告書を提出することとなっています。なお、管轄税務局によっては、以前のように年度末までの報告を要請される場合がありますので、詳細は事前に管轄税務局にお問い合せください。

2. 貸倒損失、財産損失があった場合
 著しい財産損失等があった場合に税務上損金経理したい場合は、企業所得税の確定申告時(翌年1月~4月末)に、損金経理を行うに足りる説明書類を管轄税務局に提出します。その場合、原則は企業独自で準備した説明書類で足りることとなっていますが、管轄税務局によっては、その損失について公認会計士の特別監査報告書を要請される場合がありますので、詳細は事前に管轄税務局にお問合せ下さい。
参考:国税発[2004]80号通達

3) 中古機械の輸入手続

以前、このシリーズで、中国の外商投資企業の設備免税輸入について説明しました。その中で、中古設備の場合も、新品設備に比べると輸入がうまくいく確率は低くなりますが不可能でない旨をお知らせしました。
今回は、それに関連して、中古機械の輸入手続について補足的に若干触れたいと存じます。

中国で中古設備を輸入する場合、政府機関の方で、国家の安全・労働安全・環境保護・技術水準等に鑑み、チェックと承認の制度が設けられています。
主たるチェック・承認機関は以下の2種類です。

  1. 国家質量監督検験検疫総局(以下、国家質検局とします)
  2. 商務部機電産品進出口司(以下、機電進出口司とします)
1. 中国における中古設備の定義
中国における中古設備の定義は、下表の通りです。

 すなわち、再生設備や使用していない設備も中古設備の範疇に含まれますので、最近製造された純然たる新品以外の設備が、中古設備に該当すると言えます。

2. 中古設備輸入関係法令の歴史
 中国政府は1994年1月1日施行の「設備輸入管理暫定弁法」にて、設備輸入が可能な業種と中古設備輸入時の手続を定めていました。

 ところが、1998年1月1日施行の「中古機電製品輸入管理強化に関する通知」により、全ての中古設備は国家機電製品進出口弁公室(現:商務部機電産品進出口司)の許可なしには輸入不可能となり、輸入可能としても輸入証明書・割当製品証明書等の輸入許可書類のあるものしか輸入できないこととなりました。

 この通達では表面上、環境汚染防止・人間の健康と安全生産の保障・社会的効率の改善を目的としているとされていますが、実際は、技術力の弱い中国内資の機械メーカーを保護することを主眼として出されたものと考えます。これにより強力な輸入制限が実施されましたので、実質的に中古設備輸入は禁止となりました。

 しかしながら、この措置により中国への投資熱が冷え込んだので、急遽1998年11月1日より「中古機電製品輸入管理強化に関する補足通知」を施行し、原則輸入を認める方向に軌道修正しました。この通達を解釈すると、外商投資企業が中古設備を輸入する場合は、輸入許可証等を必要とする重点中古設備、輸入許可証等を必要としない設備、来料加工貿易に使用し輸出国に返却予定の中古設備、の3つに大きく分けることができます。そしてが、この弁法及び前述の国経貿機[1997]877号通達の適用対象で、輸入許可承認を行う機電製品進出口弁公室系統と、輸入検査を行う国家質量監督検験検疫総局(略称:国家質検局)系統の2つのチェックを受けることとされましたが、重要な「チェックポイント」は事実上、前者のみでしかありませんでした。

 その後、2003年8月1日より「輸入中古設備検査監督管理弁法」、2003年10月1日より「輸入中古設備検査監督手順規定」が各々施行され、国家質検局系統の輸入契約前事前審査と(一部につき)船積前検査、という新たな「チェックポイント」が加わり、中古設備の輸入に際しては2つの重要な「チェックポイント」を通過しなければならないこととなりました。

 ちなみに、委託加工貿易に使用する中古設備については、前述の国経貿機[1997]877号及び外経貿機電発[1998]555号の両通達にて、来料加工貿易に使用する返却予定設備については、原則として輸入許可書類等を必要としないことが明確になりました。また、その他の法律通達においても、進料加工貿易を含む委託加工貿易に使用し返却輸出を予定する中古設備については、基本的には中古設備関連法規の法令の適用範囲外となりますが、国家質検局系統の検査基準はクリアする必要があります。

3. 中古設備輸入手続の概要

中古設備輸入に関する手続の概要は、次表の通りです。

順序 手続内容 関係監督官庁
  事前準備→契約前の事前届出→予備審査 国家質量監督検験検疫総局、及びその傘下の地方検験検疫局
  輸入契約締結→輸入許可申請 商務部の機電産品進出口司及びその傘下の地方関連部門、又はその他主管監督官庁
  船積前の届出 国家質量監督検験検疫総局、及びその傘下の地方検験検疫局
  船積前検査(必要と認められる場合のみ) 国家質検総局認定の指定検査機関
  入港後検査→通関 到着港の検査検疫部門、税関
  着荷検査 設備使用地の管轄検験検疫局

以上が中古機械輸入の手続の概要です。手続の詳細については、稿を改めて説明したいと存じます。

(2004年12月記・4,486字)
上海邁伊茲諮詢有限公司
税理士 永岡稔

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