<税務・会計>
中国の財務諸表の主要勘定科目の説明(その3)
永岡稔
前回は、売上の収益認識について、及び委託販売・受託販売・割賦販売の仕訳と勘定科目の説明をしました。今回は、日本にはない勘定科目ではありますが、固定資産整理勘定、未処理財産損益の勘定を使用した、資産の除却・売却・棚差の処理について説明します。
固定資産整理勘定は、貸借対照表の資産の部の、固定資産の部の最下部に記載されています。一方、未処理財産損益は、資産の部の、流動資産やその他の資産の部、場合によっては固定資産・無形資産の部に記載されます。これらの勘定科目に相当な金額が計上されている場合は、なるべく計上理由を確認すべきです。特に、各月の月次試算表に長期間計上されている場合は要注意です。何故なら、相当額の資産の除却・売却処理が終了していないか、資産が紛失・滅失してその存在が確認されていなかったり、簿外資産が突然帳簿に載ってきたりする事を意味するからです。
【質問12】 固定資産整理勘定(固定資産清理)、未処理財産損益(待処理財産損溢)の各勘定科目は、どのような時に使用するのでしょうか。
【回答12】 固定資産整理勘定については固定資産の除却・売却時に使用する仮勘定で、未処理財産損益勘定については、固定資産や棚卸資産の棚差を処理する際に使用する仮勘定(過渡的に使用する勘定)です。仮勘定ですので、期末までにその処置結果に基づき他勘定に振り替えられる事となります。 ちなみに、棚差とは、主に棚卸時に発見される、貨幣以外の現物資産の損失・利益を指し、損失は現物がなくなっている場合、利益は帳簿に計上されてない現物が存在した場合を指します。 この様な仮勘定を使用する理由は、除却・売却・棚差が発生してもその最終処理結果が分からない段階の状態を示す為です。従いまして、最終処分結果が判明した場合には、ひとまず仮勘定で処理していたのを、処理結果に相応しい適切な勘定科目に移し変えることとなります。 実務上は、最初から処分結果が分かっている場合が多く、その際は一時的勘定を使用せずに直接に相応の勘定科目に振り替えます。
各々の資産について、事前に減損引当金が設定されている場合、固定資産整理勘定・未処理財産損益の各勘定科目を用いて、除却・棚差等の会計処理を行う際には、減損引当金も同時に処理します。 参考として。棚卸資産・固定資産・建設仮勘定の減損引当金設定の仕訳は下記の通りです。 (仕訳例:日中の勘定科目を使用。以下同)
借 方
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貸 方
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管理費用 −棚卸資産減損引当金繰入額 |
管理費用 -計提的存貨跌価準備 |
××
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棚卸資産減損引当金
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存貨跌价準備
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××
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営業外支出 −固定資産減損引当金繰入額 |
営業外支出 -計提的固定資産減損準備 |
××
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固定資産減損引当金
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固定資産減損準備
|
××
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営業外支出 −建設仮勘定減損引当金繰入額 |
営業外支出 -計提的在建工程減損準備 |
××
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建設仮勘定減損引当金額
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在建工程減損準備
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××
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次に、各資産につき、売却・除却、若しくは棚差が発生した時の仕訳例を見て行きます。
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