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ログイン2015年11月13日
今回は、小型薄利企業に対する企業所得税の優遇政策の拡大について解説いたします。
一、小型薄利企業の適用対象
2008年より施行されている「企業所得税法実施条例」第九十二条、及び「企業所得税法」第二十八条に、小型薄利企業の適用対象、及び適用企業所得税税率が規定されています。
小型薄利企業の企業所得税税率:20% (「企業所得税法」第二十八条)
小型薄利企業の適用対象: (「企業所得税法実施条例」第九十二条)
1)国家が指定する禁止、制限類業種ではない企業
2)生産型企業の場合
年度課税所得額30万元以下、従業員人数100人以下、資産総額3,000万元以下
3)その他業種企業の場合
年度課税所得額30万元以下、従業員人数80人以下、資産総額1,000万元以下
二、小型薄利企業に対する企業所得税優遇政策の経過及び拡大
2014年末までは、「財税部・国家税務総局 小型薄利企業所得税優遇政策に関する問題についての通知(財税「2014」34号)」により、年度課税所得額が10万元以下の小型薄利企業に対して、課税所得額を半減し、20%の税率で企業所得税税額を算出することとなっていました。
2015年に入ってからは、小型薄利企業の企業所得税に対する優遇政策である、財税「2015」34号、財税「2015」99号、国家税務総局公告「2015」61号といった規定が次々と公布され、年度課税所得額の条件が10万元以下から20万元以下に引き上げられ、更に2015年10月1日から2017年12月31日までは、30万元以下へ引き上げられました。
1)「財税部・国家税務総局 小型薄利企業所得税優遇政策に関する問題についての通知」(財税「2014」34号)
課税所得額:10万元以下
適用税率:20%
企業所得税税額:課税所得額 x 50%(半減) x 20%(企業所得税税率)
適用期間:2014年1月1日~2016年12月31日
2)財税「2015」34号
課税所得額:20万元以下
適用税率:20%
企業所得税税額:課税所得額 x 50%(半減) x 20%(企業所得税税率)
適用期間:2015年1月1日~2017年12月31日
3)財税「2015」99号、国家税務総局公告「2015」61号
課税所得額:30万元以下
適用税率:20%
企業所得税税額:課税所得額 x 50%(半減) x 20%(企業所得税税率)
適用期間:2015年10月1日~2017年12月31日
三、小型薄利企業の2015年度企業所得税税額の算定について
財税「2015」99号、国家税務総局公告「2015」61号に規定された、課税所得額30万元以下の基準の適用期間は、同通達により2015年10月1日~2017年12月31日となっています。
以下に具体例を挙げて、小型薄利企業の2015年度の企業所得税税額の計算方法を解説いたします。
例一:
2015年度の課税所得額:18万元(その他小型薄利企業の条件を満たすと仮定)
会社設立時期:任意、制限なし
企業所得税税額:1.8万元=18万元(課税所得額) x 50%(半減) x 20%(企業所得税税率)
根拠条文:財税「2015」34号
解説:財税「2015」34号により、年間課税所得額が20万元以下の場合、課税所得税額を半減し、20%の企業所得税税率で企業所得税税額を算出します。
例二:
2015年度の課税所得額:24万元(その他小型薄利企業の条件を満たすと仮定)
会社設立時期: 2015年10月1日以降(2015年10月1日を含む)
企業所得税税額:2.4万元=24万元(課税所得額) x 50%(半減)x 20%(企業所得税税率)
根拠条文:財税「2015」99号、国家税務総局公告「2015」61号
解説:財税「2015」99号、国家税務総局公告「2015」61号により、年間課税所得額が30万元以下の場合、会社の所得が全て規定された適用期間内(2015年10月1日~)であるため、課税所得税額を半減し、20%の企業所得税税率で企業所得税税額を算出します。
例三:
2015年度の課税所得額:24万元(その他小型薄利企業の条件を満たすと仮定)
会社設立時期:2015年5月1日と仮定(2015年1月1日から2015年9月30日までの間)
企業所得税税額:
(1)2015年10月1日から12月31日まで企業所得税税額:
0.9万元=24万元 x 3÷8(課税所得額) x 50%(半減) x 20%(企業所得税税率)
(2)2015年5月1日から9月30日まで企業所得税税額:
3万元=24万元 x 5÷8(課税所得額) x 20%(企業所得税税率)
(3)2015年度の企業所得税税額:
3.9万元=(1)+(2)
根拠条文:財税「2015」99号、国家税務総局公告「2015」61号
解説:財税「2015」99号、国家税務総局公告「2015」61号に、2015年10月1日前に設立され、且つ年間課税所得額が30万元以下の場合、10月1日前、及び10月1日以降の課税所得額を分けて算出しなければならないと規定されています。
10月1日前(以降)の課税所得額の算出方法:当該年度の課税所得額 x 10月1日前(以降)の経営月数÷該年度経営月数。
10月1日前(以降)の課税所得額が算出された後(10月1日以降の課税所得税額を半減することができますが、10月1日前の課税所得額を半減することができません)、20%の企業所得税税率で企業所得税税額を算出します。
例四:
2015年度の課税所得額:24万元(その他小型薄利企業の条件を満たすと仮定)
会社設立時期:2014年12月31日前
企業所得税税額:
(1)2015年10月1日から12月31日まで企業所得税税額:
0.6万元=24万元 x 3÷12(課税所得額) x 50%(半減) x 20%(企業所得税税率)
(2)2015年1月1日から9月30日まで企業所得税税額:
3.6万元=24万元 x 9÷12(課税所得額) x 20%(企業所得税税率)
(3)2015年度の企業所得税税額:
4.2万元=(1)+(2)
根拠条文:財税「2015」99号、国家税務総局公告「2015」61号
解説:財税「2015」99号、国家税務総局公告「2015」61号に、2015年10月1日前に設立され、且つ年間課税所得額が30万元以下の場合、10月1日前、及び10月1日以降の課税所得額を分けて算出しなければならないと規定されています。
10月1日前(以降)の課税所得額の算出方法:当該年度の課税所得額 x 10月1日前(以降)の経営月数÷該年度経営月数。
10月1日前(以降)の課税所得額が算出された後(10月1日以降の課税所得税額を半減することができますが、10月1日前の課税所得額を半減することができません)、20%の企業所得税税率で企業所得税税額を算出します。
四、小型薄利企業の税収優遇政策の申請手続きについて
企業所得税の四半期ごとの予定申告:
四半期予定申告書に課税所得額、資産総額、従業員人数、所属業種(国家が指定する制限・禁止業種ではない業種)を記入し、届出手続きを行います。
企業所得税年度確定申告:
確定申告書に課税所得額、資産総額、従業員人数、所属業種(国家が指定する制限・禁止業種ではない業種)を記入し、届出手続きを行います。
「企業所得税法」・中文原文:
http://www.tax.sh.gov.cn//pub/xxgk/zcfg/qysds/200801/t20080115_286573.html
「企業所得税法実施条例」・中文原文:
http://www.hb-n-tax.gov.cn/art/2012/12/24/art_21446_326540.html
「財税部・国家税務総局 小型薄利企業所得税優遇政策に関する問題についての通知」
財税「2014」34号・中文原文:
http://hd.chinatax.gov.cn/guoshui/action/GetArticleView1.do?id=480996&flag=1
「2015」34号・中文原文:
http://hd.chinatax.gov.cn/guoshui/action/GetArticleView1.do?id=495809&flag=1
財税「2015」99号・中文原文:
http://www.tax.sh.gov.cn/pub/xxgk/zcfg/qysds/201509/t20150924_419307.html
国家税務総局公告「2015」61号・中文原文:
http://hd.chinatax.gov.cn/guoshui/action/GetArticleView1.do?id=1521429&flag=1
以上
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