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増値税に係る実務上のいくつかの事項に関するQ&A

中国ビジネスレポート 税務・会計
郭 蔚

郭 蔚

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2017年10月19日

1.一般的な規定について

(1)増値税とは何か?

「中華人民共和国増値税暫定条例」(国務院令第666号、以下「条例」という)及び「営業税の増値税一本化改革試行の全面的展開に関する通知」(財税[2016]36号、以下「36号文」という)の規定によると、増値税とは、課税商品と役務の流通過程において発生する付加価値金額を課税ベースとして徴収される流通税の一つであり、適用される範囲が広く、徴収される税額が高いため、現在、中国で最も重要な税目の一つである。

(2)増値税の納税者は何タイプに分けられるのか?

「条例」及び36号文等の規定によると、納税者は一般納税者と小規模納税者に分けられる。課税行為の年間増値税課税売上高が規定の基準(工業類は50万元、商業類は80万元、サービス類は500万元である)を超える納税者は一般納税者に該当し、規定の基準を超えない納税者は小規模納税者に該当する。また、前述の売上高の基準以外にも、会計処理が健全であり、正確な税務資料を提供できるなどの前提条件を満たさなければならない。なお、通常、ひとたび一般納税者として登記された後は、小規模納税者に切り替えることはできないことに注意したい。

(3)営業税の増値税一本化政策では増値税の税率をどのように定めているのか?

「条例」及び36号文等によれば次のように定められている。
a)大多数の物品の販売及び有形動産賃貸サービスの提供は、税率を17%とする。
b)少数の物品(農産物、水道水、暖房、液化石油ガス等)、交通輸送、郵便、基本電気通信、建設、不動産賃貸サービス、不動産販売、土地使用権譲渡は、税率を11%とする。
c)その他の課税サービス等は、税率を6%とする。
d)中国国内組織及び個人に発生するクロスボーダー課税行為(法定範囲内に限る)は、税率をゼロとする。

(4)増値税控除証憑にはどのようなものが含まれるのか?

増値税控除証憑には、増値税専用発票、税関輸入増値税専用納付書、農産物買付発票、農産物販売発票及び納税証明書が含まれる。納税者が納税証明書をもって仕入税額を控除する場合、契約書(書面)、支払証明書及び国外組織の口座取引明細書又は発票を具備しなければならない。資料に不備がある場合、仕入税額は売上税額から控除してはならない。

(5)企業が簡易課税方式を選択する場合、増値税専用発票を発行することができるか?

可能である。規定により増値税専用発票を発行してはならないとされている場合(例えば、消費者個人向けに役務、無形資産又は不動産を販売するなど)を除き、簡易課税方式を選択したうえで増値税専用発票を発行することが可能である。

2.建築業界について

(6)営業税の増値税一本化政策における建築業には、どのようなサービスが含まれるのか?

36号文によると、建築サービスには工事サービス、取付サービス、修繕サービス、内装サービス及びその他の建築サービスが含まれる。

(7)建築業界において、どのような状況で簡易課税方式を選択することができるのか?

36号文によると、一般納税者は「清包工」と呼ばれる方法(施主が建築工事に必要な材料を購入しておき、建築業者は人件費、管理費もしくはその他の費用を受領する方法)により提供する建築サービス、「甲供」工事(工事の発注者が全部又は一部の設備、材料、動力設備を自ら購入する建築工事)、旧物件の建築工事(着工日が2016年4月30日より前の建築工事物件)に提供する建築サービスは、簡易課税方式を選択することができる。建築物件において簡易課税方式を選択した場合、係る増値税の仕入税額を控除することはできないが、税率は3%となる。

(8)建築企業は異なる物件ごとに、それぞれ異なる課税方式を選択することができるか?

可能である。建築企業の中の増値税一般納税者は、異なる物件ごとに、それぞれ一般課税方式又は簡易課税方式を都度選択し適用することができる。

(9)区・県の枠を超えて建築サービスを提供する小規模納税者は、役務の提供地で増値税専用発票の代理発行を依頼することができるか?

可能である。「『納税者が県(市、区)の枠を超えて提供する建築サービスの増値税徴収管理暫定弁法』の公布に関する国家税務総局の公告」(国家税務総局公告2016年第17号)の規定によると、小規模納税者は、県(市、区)の枠を超えて建築サービスを提供したが、増値税発票を独自に発行することができない場合、建築サービス発生地にある主管国税機関にて、取得した合計代金及び価格外費用に応じて、増値税発票の代理発行を申請することができる。

3.不動産業について

(10)営業税の増値税一本化後に、一般納税者は自ら開発した不動産物件を販売する際に、仮納付及び申告をどのように行えばよいのか?

「『不動産開発企業による自ら開発した不動産物件の販売についての増値税徴収管理暫定弁法』の公布に関する国家税務総局の公告」(国家税務総局公告2016年第18号)の規定によると、一般納税者は、自ら開発した不動産物件を前受金の方式にて販売する場合、前受金を取得した翌月の納税申告期間において、3%の仮徴収率にて主管国税機関に税金を仮納付しなければならない。

一般納税者が自ら開発した不動産物件を販売し、一般課税方式を適用して税金を計算する場合、規定される増値税納税義務の発生時間に応じて、当期売上高及び11%の適用税率にて当期の課税額を計算し、仮納付した税金と相殺してから主管国税機関に申告し税金を納付しなければならない。相殺しきれなかった仮納付金は、次期に繰り越して相殺することができる。

一般納税者が自ら開発した不動産物件を販売し、簡易課税方式を適用して税金を計算する場合、規定される増値税納税義務の発生時期に応じて、当期売上高及び5%の徴収率にて当期の課税額を計算し、仮納付した税金と相殺してから主管国税機関に申告し税金を納付しなければならない。相殺しきれなかった仮納付金は、次期に繰り越して相殺することができる。

(11)一般納税者が不動産を賃貸する場合、簡易課税方式を選択することができるのか?

一般納税者が2016年4月30日以前に取得した不動産を賃貸する場合には、簡易課税方式の適用を選択し、5%の徴収率にて課税額を計算することができる。一般納税者が2016年5月1日以降に取得した不動産を賃貸する場合、一般課税方式を適用して税額を計算しなければならない。

4.金融業について

(12)営業税の増値税一本化政策における金融サービスには、どのようなサービスが含まれるか?

36号文の規定によると、金融サービスには貸付サービス、直接に料金を徴収する金融サービス、保険サービス及び金融商品の譲渡が含まれる。

(13)金融企業が貸付を行った後、利息決算日から90日以内に発生した未収利息について、増値税をどのように計算し納付すればよいのか?

36号文別紙3の規定によると、金融企業が貸付を実施した後、利息決算日から90日以内に発生する未収利息については、現行規定に従い増値税を納付しなければならず、利息決算日から90日後に発生した未収利息については、増値税の納付が猶予され、利息を実際に徴収する際に規定に従い増値税を納付することになる。

(14)営業税の増値税一本化後に企業が株式を売買する場合、どうのように納税するか?

金融サービス—金融商品の譲渡に倣い増値税を納付することになる。売却金額から取得価額を差し引いた残額が売上となる。適用税率は6%であり、小規模納税者には3%の徴収率が適用される。

(15)金融商品の譲渡において、増値税専用発票を発行することはできるか?

できない。36号文の規定によると、金融商品の譲渡の際には、増値税専用発票を発行してはならないとされている。

(16)貸付利息は増値税と相殺できるか?

できない。36号文の規定によると、「購入した貸付サービス」は売上税額から控除してはならず、また、納税者が貸付サービスを受けて、貸主に支払う当該借入と直接関係のある投資・融資の顧問料、手数料、コンサルティング料金などの費用について、その仕入税額を売上税額から控除してはならない。つまりこれは、企業が支払う利息及び直接関係のあるその他の費用については、営業税の増値税一本化後は、6%の増値税を納付しなければならず、また、当該税額については仕入税額の控除を行えないことを意味している。

5.その他の業種について

(17)営業税の増値税一本化後において、混合販売についてはどのように規定されているのか?

一つの販売行為がサービス及び物品の両方に係る場合は混合販売となる。物品の生産、卸売り又は小売りに従事する組織及び個人事業主による混合販売行為は、物品販売として増値税を納付する。その他の組織及び個人事業主による混合販売行為は、サービス販売として増値税を納付する。

(18)営業税が増値税に完全に一本化された後、その他の個人に発生する課税項目について、増値税専用発票の代理発行を申請することはできるか?

可能である。「営業税から増値税への一本化にあたって税金の代理徴収及び増値税発票の代理発行を地方税務局に委任することについて国家税務総局の通知」(税総函[2016]145号)の規定によれば、その他の個人が自己の取得した不動産を販売したり、不動産を貸す場合で、買主又は借主がその他の個人に該当しないときは、納税者が増値税を納付した後、地税局に増値税専用発票の代理発行を申請することができる。上記以外の状況においては、その他の個人は増値税専用発票の代理発行を申請することはできない。

(里兆法律事務所が2017年8月11日付で作成)

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