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中国ビジネスレポート 金融・貿易
水野 真澄

水野 真澄

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2010年9月29日

記事概要

2010年8月19日に、「外商投資インターネット、自動販売機方式による販売項目審査管理に関する問題の通知(商資字[2010]272号)」が公布され、インターネット・自動販売機形式の外資商業企業の設立規制が緩和されました。今回は、インターネット販売形式の外資商業企業を設立する際の注意点を解説します。【2,042字】

外資商業企業を設立するに当たり、無店舗販売(インターネット、自動販売機利用形式)の場合は、商務部(国家)認可の取得が必要でしたが、2010年8月19日に、「外商投資インターネット、自動販売機方式による販売項目審査管理に関する問題の通知(商資字[2010]272号)」が公布され、インターネット・自動販売機形式の外資商業企業の設立規制が緩和されました。
今回は、インターネット販売形式の外資商業企業を設立する際の注意点を解説します。

1.外資商業企業の設立認可手続き
外資商業企業の設立根拠法規となる、「外商投資商業領域管理弁法(商務部令[2004]第8号)」は、外資商業企業の設立は、一律、商務部認可(国家認可)と定めています。
その後、二回にわたる規制緩和(省級政府機関への認可権限の移譲)が行われましたが(商資函[2005]94号・商資函[2008]51号)、以下の形態に付いては、引き続き商務部の認可が必要でした。

テレビ、電話、郵便、インターネット、自動販売機等の無店舗方式により販売を行う企業。音楽製品の卸売、図書・新聞・雑誌を販売する企業。

今回の通知(商資字[2010]272号)により、上記の内、インターネット・自動販売機等の無店舗方式が、新たに省級商務主管部門の許可で設立できる事となりました。

2.インターネット販売とICPライセンス
インターネット販売形式の外資商業企業の設立に際しては、この様に省政府認可で設立できる事となりました。但し、インターネットを営業用に活用する場合には、工業信息化部門での手続が必要となりますし、これにより、出資比率・資本金が制限される事があります。
では、今回の商務部の通知と工業信息化部門での手続(外商投資電信企業管理規定)の関係はどの様なものでしょうか。

①ICPライセンス
中国でインターネットを活用する場合は、「増値電信業務経営許可証」の取得が必要となります。この「増値電信業務経営許可証」は、Internet Content Providerライセンス(以下、ICPライセンス)と呼称されています。このライセンスは、経営性と非経営性に分かれています。

1)非経営性ライセンス
非経営性ICPライセンスは備案制(届出のみで手続ができる)であり、取得に際して特段
の制限はありません。
2)経営性ライセンス
経営性ライセンスを取得する場合、工業信息化部門の許可が必要であり、取得に当たって
は、「外商投資電信企業管理規定」の条件に従う必要があります。

②経営性ライセンス取得の条件
「外商投資電信企業管理規定」では、インターネット業務を始めとする増値電信業務に関しては、中外合弁形態である事を前提として、外国出資を50%以内とする事を要請しています。また、資本金に関しても、全国的な活動を行う場合は1千万元、省内での活動に限定する場合は1百万元という最低資本金を規定しています。また、中外出資者も、インターネット業務の従事経験などが求められます。

以上の通り、インターネット販売企業が、非経営性ICPライセンスで活動が認められる場合は、設立は比較的容易になったといえますが、経営性ICPライセンスが求められる場合は、独資形態では設立できない事になりますし、合弁会社設立に当たり、先ず、国家工業信息部でICPライセンスを取得する必要がある為、設立手続は困難という状況になります。
では、経営性ICPライセンスの要否は、どの様に判断されるのでしょうか。

3.インターネット販売企業の設立制限
今回の通知(商資字[2010]272号)では、「インターネット販売を行う企業が、自身のプラットフォーム(自社が運営するサイト)に他者を呼び込み、取引を行う場合は、工業信息化部門で、増値電信業務経営許可証を取得しなければならないと規定しています。ここで規定する活動は、アリババ・タオバオをイメージすれば分かりやすいと思いますが、自社のサイト内に、ショップを呼び込み、マッチングさせる様な活動が該当します。この様な活動を行う場合は、経営性ICPライセンスの取得を要しますので、上記の出資比率(外資50%以内)・最低資本金制限が適用されます。

一方、企業が経営範囲内の流通行為(卸売・小売)を行うに当たり、インターネットを活用する場合は、非経営性ICPライセンスでの対応が可能ですので、「外商投資電信企業管理規定」に定める、出資比率・資本金制限は適用されません。よって、省級商務主管部門の許可のみで設立した会社で、活動が認められる事となります。

ここで疑問となるのは、非経営性ICPライセンスとは、本来、経営活動(収益獲得活動)を伴わない活動に際して取得するライセンスであり、インターネット販売を行う事、更に、インターネット上での決済まで行う場合、非経営性ICPライセンスで対応できるのか、という点です。

この点に付いて、参考までに、上海市の工業信息化部門にヒアリングしてみましたが、「可能」との回答でした。よって、この様なインターネット販売を行う場合は、経営性ICPライセンスの取得は不要と解釈されますが、この解釈は、企業設立時に、所管地の工業信息化部門に確認するのが望ましいと言えます。

(2,042字)

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