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ストライキ問題特集No.2:ストライキでの現場対応法

中国ビジネスレポート 労務・人材
王 穏

王 穏

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2010年10月5日

記事概要

今もなお、中国ビジネスの現場で発生し、日系企業の頭を悩まし続けているのが労働ストライキである。このシリーズでは、日系企業がどのように労働ストに対応していけばよいのか、分析・解説していく。

No.2:ストライキでの現場対応法

背景その他
日系企業の多くはストライキや類似する労使問題を単純な法律問題として捉えやすいが、目の前の紛争がひとまず解決しても、今後同様な問題が再発する可能性もあり、その場合、会社側は紛争の泥沼に陥ってしまう。ストライキは経営関連事項であり、単純な法律案件とは異なる。従って、法律原則の基本の側面を合理的に結び付けてこそ、症状と病根の両方を治すことができる。

対応策
1.ストライキの兆候を適時発見すること

海外と異なり、中国のストライキは通常労働組合が予め組織するわけではない。従って、集団性のストライキが起こる前には前兆があるはずであり、この前兆を発見して効果的な措置を講じることで事態の発展を食い止めることが可能となる。
兆候とは、労働者と管理職との突発的衝突、同郷人間の結託、企業が福利制度を調整しても労働者の了解を得なかった、企業の再建/合併/持分譲渡による補償金支払い期待、離職した従業員の扇動、一斉メール等が挙げられる。

措置
目的:まず「相手を知って」から、効果的手段を講じて騒ぎの集団化を回避する。この段階での対応が最も重要である。

1.1 騒ぎを起こしている集団の範囲を確定し、メンバーの感情、対立程度を知る。
1.2 効果的手段を利用して、メンバーが集団で談合する機会を減らし、小さな騒ぎが集団的騒動に発展することを防ぐ。
1.3 頼りにできる管理職を通じて騒動を起こしているメンバーと意思疎通を図り、情報を集め、内部の結託力を壊す。
1.4 可能な範囲で現状を微調整し、集団の対立意識を緩和する。
1.5 集団メンバーの一部を利用し、内部通報措置を実施する。
1.6 必要に応じ、現地労働局に相談し、「理解」と今後の支持を取り付ける。

2.騒動が集団化しているときは、生産の代替案を準備し、経済損失を抑える
同措置には関連企業からの支援、臨時の人員派遣、労働者の勤務体制調整、受注量の一時的調整等があるが、生産停止は極力避けなければならない。生産停止すると今後の交渉時に会社が不利な立場に立たされる。

3.ストライキになったときは、安易に譲歩せず柔軟な対応をすること
3.1 直ちに現場対応チームを設置し、日本側の総経理や高級管理職が直接ストライキに直面することを避ける。ストライキ関与者に、対応チームは形式的なものではなく実質的に権限があることを示し、会社は安易に譲歩しないことをわからせる。
3.2 ストライキ関与者に業務再開スケジュールを渡し、遵守する場合と守らなかったときの状況と会社が実施する措置を明確にする。
3.3 ストライキ関与者の直属の上司が上下関係を利用して、部門、グループごとに業務再開を促し、一部関与者をストライキから離脱させていく。
3.4 業務に復帰した者に対しては、時期を逃さず二度とストライキには参加しないことを承諾させる。
3.5 現地労働局に根回しした後、労働局名義でストライキ関与者の翻意を促し、主体的に職場復帰することを要求する。
3.6 現場で言葉や態度により硬直状態が不必要に長引き、対立がより悪化することを避ける。
3.7 会社名義の書面回答を出さない。
3.8 必要なときは総経理が発言をしてもよいが、1回のみとする。

4.中間管理職の協調作用の活用
多くの失敗事例のうち、日本側総経理が直接ストライキ関与者と向かい合うことが多いが、言葉や文化等の違いにより逆に矛盾が拡大してしまう。一方、中間管理職は上司から指示を受け、自分の部下に指示を与える立場にあり、実践では中間管理職に対応を分担させることが矛盾の緩和に有効である(ストライキ関与者の立場に立って意思疎通を図ることで、理解を得やすい。)。これら中間管理職には人事部責任者、ストライキ関与者の直属の上司を含む。

5.職場復帰拒否者は、処罰を与えた上で仲裁訴訟に備える
現場の証拠を保存し(録画、録音、公安と交渉時の記録、警備員からの証言、ストライキによる生産停止記録等)、現地労働組合から理解を得る等。

主執筆:王穏
執筆:毛奕、李飛鵬、呂玉崧、齋藤彰
(1,617字)

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