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税関の密輸取締り情況についての解説

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2007年1月7日

記事概要

 前回は税関による商品分類並びに最新動向について簡単に説明しました。今回は実際の事例を挙げ、税関による密輸取締り情況について紹介します。

   前回は税関による商品分類並びに最新動向について簡単に説明しました。今回は実際の事例を挙げ、税関による密輸取締り情況について紹介します。

 ご周知のとおり密輸の取締りは税関の重要な日常業務の一つですが、業界性密輸、即ちある業界全体で普遍的となっている集団性密輸活動は、その社会に及ぼす危害がより大きいことから、ここ数年税関の取調べの重点対象となっており、警察の密輸犯取締担当部門から嫌疑の視線が向けられることも日増しに多くなっています。

 2006年3月から9月までの間、上海税関の密輸取締部門が捜査の精鋭を集めて強力チームを結成し、中古ピアノ輸入業界による密輸について重点的に取締りを実施しました。

 そのきっかけとなったのが、上海税関価格情報部門が長年にわたって行ってきた中古ピアノに関する大量データについての統計と分析です。統計によれば2004年、上海税関管轄区域の中古ピアノ輸入量は上海港の全ピアノ輸入総量の52.27%を占め、2005年、同比率は73.95%にまで急上昇し、同年の上海港の中古ピアノ輸入総量は全国の同輸入総量の50%以上を占めるまでに至りました。

 しかしこの大量輸入とともに中古ピアノの輸入申告価格に異常な現象も目立つようになりました。同時期の中古ピアノ市場の販売価格との比較、ならびに長期にわたる観察によって、上海税関価格情報部門は、一部企業が本来の価格の約50%の低価格で長期にわたり、大量に中古ピアノを輸入していることに気づきました。密輸の可能性をかぎとった税関価格情報部門は税関密輸取締部門と共同し数十万部に及ぶ輸出入貨物の通関書類をふるいにかけ、関係企業に対し重点的に監視を行った結果、関連する企業の密輸活動に対する手がかりが次第に明らかになってきました。

 これに基づき、上海税関は部署を統一して取締を行なうため、中古ピアノ密輸取締専門チームを結成しました。
 3月23日より上海税関の各密輸取締関連部門は既におおまかな密輸の手がかりをつかんでいる7社の企業に対し、ほぼ同時に調査を実施し、密輸疑惑のある関連貨物を差押えました。企業への事情聴取や入手した手がかりに基づき、上海税関は更に調査範囲を拡大し、上記7社と取引があり共同して密輸活動を行った疑いのある他の4企業にも調査の範囲を広げました。2006年4月、上海税関による基礎調査に基づき、中国税関総署密輸取締局が事件調査に介入、全国各地の税関の関係部門を組織し緻密でより深く掘り下げた証拠収集を行いました。確実な証拠を取った上で、税関は関係当事者に対し刑事拘留などの強制措置を講じました。

 2006年9月上海税関は税関総署の支持のもと、8件の中古ピアノ密輸入疑惑事件の捜査を終えましたが、密輸された中古ピアノは計5000台近く、事件の総額は4000万人民元を超え、脱税額は1127万元余、密輸行為に従事したとされる企業11社、密輸容疑者12人であり、容疑者全員が逮捕される結果となりました。
 
 今回の税関の密輸取締り活動の典型的事例から以下のことが明らかです。

1、 輸出入の過程において長期にわたり、大量の正常ではない価格による通関が行なわれれば、税関により目を付けられる対象となります。これまでも正常でない価格の情報を端緒に、市場調査で補充し、輸出入通関書類の照合、関係企業の監視などの手段を通して、税関は関係企業の密輸活動の手がかりを発見してきました。

2、 業界性という特徴を備えた密輸活動、または各方面にかかわり大きな影響を及ぼす密輸活動に対して、税関は統一の部署を設け統一行動による捜査を行う傾向があります。これは関連する企業同士が互いに行う情報交換、ぐるになっての偽りの供述、また証拠隠滅、財産移転等による調査妨害を避けることが目的であると思われます。
   その関係する地域が多い場合、または全国的な影響を伴う事件の場合、地方の税関は税関総署に通報し、税関総署が先頭に立って他の地方の税関を組織し共同で関係捜査を展開することが多いようです。

3、 一応の証拠または手がかりを得た後、税関は疑惑企業の現場検査や容疑者に対する尋問から確かな証拠を得ることがよくあります。上記事例中、疑惑企業の営業場所で得られた、実際輸入価格と関係取引情報の記録のための記録、メモ、伝票等のすべてが企業の密輸行為を証明する重要証拠となっています。

4、 嫌疑の対象となった企業に対する調査の過程で、関連手がかりにもとづいて、税関が他の関連企業にも密輸の疑いがないかどうか追跡調査することがよくあります。例えば調査を受けた企業と取引関係があり、密輸貨物の委託販売関連者も調査対象となります。

5、 税関は出入国運送の手段、貨物、物品を監督管理し、関税およびその他税費用を徴収し、密輸などを取調べ捜査する権限を有する行政機関であり、人身の自由を制限し、財産に対する差し押さえ、凍結、押収などの行政上の強制措置を行なう権利をもっています。また税関は国の司法捜査機関でもあり、税に関与する密輸刑事事件の捜査、予審、拘留、逮捕の執行に責任を負い、「刑事訴訟法」の規定に基き犯罪容疑者に対し拘束喚問、日常監視、担保をとっての保釈、拘留など刑事上の強制措置ならびに検証、検査、捜査、物証や証書の差し押さえ等の刑事上の捜査措置をとることができます。
具体的な事件の処理においては、犯罪の確かな証拠を得ていない場合、税関は犯罪の嫌疑を受けた企業と個人に対しまず一定の行政上の強制措置をとり、確実な証拠を得てから具体的な情況に応じてこうした刑事上の強制措置をとるのが通常です。

以上中国税関による密輸事件取締りの情況について説明してきましたが、中国税関がどのように密輸取締りを実施しているかにつき、いくらかでもご理解いただければと思います。(2007年1月掲載 2,389字)
 

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