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日系企業社員の告発状を読む(12)      

中国ビジネスレポート 労務・人材
田中 則明

田中 則明

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2007年1月9日

記事概要

董事長の次の感想は、「社員としてどのような努力をしたかについて全く触れていない」でした。ここまで話して来て、董事長は、大きくため息をつきました。その「心は?」と聞くと、次のような答えが返って来ました。

 董事長の次の感想は、「社員としてどのような努力をしたかについて全く触れていない」でした。
 
 ここまで話して来て、董事長は、大きくため息をつきました。その「心は?」と聞くと、次のような答えが返って来ました。 
 
「いやー、中国に作った企業を現地化することは難しいですね。私の当初の構想は、最初から現地化した会社を設立することでした。
最初から、トップも中国人、全ての従業員が中国人―――勿論、従業員の中にアメリカ人やロシア人が入ってもよいのですが―――とにかく、経営には口出しせず、自分達でやらせようと考えたのです。
 そのため、敢えて日本人社員を送り込むこともせず、年2回の董事会で出資者の意向を踏まえ、会社の発展方針、それも原則的なことのみ決め、あとはA総経理に経営を任せて来たのです。つまり、「疑うなら使うな、使うなら疑うな」を信じてやって来たのです。
 
  当初から、こういうやり方に疑問を投げかける日本人社員や同業の仲間やビジネスコンサルタント等がいましたが、私は、敢えてこの道を選んだのです。
 
  こういうやり方をしていると、次の最悪の姿になるのが落ちですよ、と警告を発してくれた人がいます。
 
 設立8年後の姿

 ベストの姿:A総経理のリーダーシップの下、社員全体が一致団結して、一つの目標に向かって力を合わせている。従って、会社の業績も良い。
 ・・・・・・
 まあまあの姿:A総経理の経営手腕により、会社の業績は順調に推移しているが、社員のA総経理の人格、手法に対する社員の不満が募っており、辞めて行く社員が多い。
・・・・・・
 最悪の姿  :会社の業績が芳しくなく、会社の将来展望もなく、A総経理の人格、手法に対する社員の不満が募っているのみならず、あ社員間でも疑心暗鬼が渦巻いている。
 
  まさに、今の姿は、最悪の姿の一歩手前なのです。今回寄せられた告発状は、A総経理=悪玉、それ以外の社員=善玉・被害者のような書き方をしていますが、私は、それ以外の社員間でも、責任のなすり合いや、手柄の奪い合いや、ポストの争奪や、不正行為等が頻発しているものと見ています。問題の全ての元凶を一人の人間=A総経理にしてしまうような社員達の考えることですから、それは十分に考えられます。
 
  社員全体をこのような体たらくに追い込んだ責任の一端は、A経理にあることは言うまでもありません。しかしながら、他の社員、特に幹部社員は、それを黙って指をくわえて見ていただけなのでしょうか?
 
  私の仕事の流儀は、全ての物事には必ず「起・承・転・結(起・承・転・合)」がなくてはならず、先ず、物事が発生するに到る経緯を自分なりにきちっと捉え、物事を処理し、最後に、必ずきちんとまとめをするというものです。その点から言うと、この告発状には、「起」も「承」も「結」もなく、「転」しかありません。物事の進め方としては、最悪ですね。
 
  いずれにせよ、なぜ同じ中国人同士、仲良くやれないんでしょうか?
 
  でも、私はまだ、希望を捨ててはいません。この一事を以って『中国で現地化すると会社はこうなるんだよ』と、ヒゲを見ただけで鯉の体全体を推し量ってしまう(以偏概全)ようなことはしたくありません。まだまだ、ベストの姿に向けての挑戦は続けます。」
 
 
  最後の決意の言葉を口にした董事長の目にはうっすらと涙が浮かんでいました。(2007年1月記 1,360字)(続く)
 
 
 
 
 

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