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ログイン2015年8月28日
1. 中堅・中小規模の組織における内部統制
財務報告の目的は、その企業が活動した結果を株主・投資家、銀行や取引先、あるいは監督官庁へ報告することであり、企業の経営成績や財政状態といった財務報告の数字に基づいて各々のステークホルダーは、必要な意思決定を行います。JSOXが定める内部統制報告制度では、経営者はこの財務報告に係る内部統制について評価し報告しなければなりませんが、その対象は自ずと上場企業且つ大規模な組織を想定しています。
一方で、事業規模が小規模で比較的簡素な構造である組織では、大企業と同様の内部統制の運用を評価するには負荷が大きすぎる事になります。その為、内部統制の有効性を保ちつつも効率的に内部統制の評価を行っていく工夫が必要となってきます。金融庁は内部統制報告制度の導入実施後「中堅・中小上場企業等における効率的な内部統制報告実務に向けて」というテーマでいくつかの事例を提示しました。
その例をいくつか挙げると、
・評価対象となるプロセスの整理と把握、あるいはリスクとそれを低減する統制の識別を行う為に「業務フロー」「業務記述書」「リスク・コントロール・マトリクス」の三つの資料を準備する替わりに「チェックリスト」をその代用とした例
・リスクの分析と評価を行う際に特に重要なリスク(高リスク)を特定し、重点的に対応することでメリハリの効いたリスク評価を実施した例
・経営者が直接的にモニタリングを実施することで評価を効率化した例(具体的には、小規模な小売業において経営者が、在庫管理プロセスの棚卸の実施や結果報告を直接受け、棚卸差異分析の状況を自ら確認しているケース)等の事例です。
いずれも内部統制実施基準の内容を損ねることなく、その本来の目的が機能しています。
統制活動では本来、明確な職務分掌規定の下、職務を複数の者の間で適切に分担し、又は分離させることが重要であるとされます。例えば、職務の承認、取引の記録、資産の管理に関する職務をそれぞれ別の者に担当させることによる相互牽制が、大きな役割を果たすことになります。しかし中堅・中小規模の組織においては、スタッフの数が少なく、重要なポジションが兼業となるような組織が多いようです。現場では、購買業者選択の癒着、経費の水増し請求、回収現金の着服などの不正リスクが起こりうる状態に常にさらされていると言えます。
対応策としては、例えば「誰のチェックもなしに銀行送金や小切手を降り出す事かできる」、「各種申請様式で承認者と申請者が同一である」など一人で完結してしまう業務を洗い出し、職務分担状況表をまとめ、現状を把握する事が重要です。そのリスクをそのまま放置するのか、モニターできるような仕組みを作るのか、業務フローを見直すかなど、リスクの重要度に応じて判断していく必要があります。
次回は≪2.自主的な内部統制の構築について≫を解説します。
以上
フリーモント ビジネスソリューション
川島
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