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CAAT(コンピュータ利用監査技法)を使い始めて (第3回)

国際ビジネスレポート
川島 肇

川島 肇

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2017年8月21日

前回まではヒストグラムの話しをしましたが、今回も「見えるか」というテーマを引き継いでバブルチャートを紹介したいと思います。
バブルチャートは散布図の一種になりますが、x軸とy軸で交差して示す座標が点ではなく、「バブル」という大きさで表示される処に特徴を持ちます。つまり散布図が2つのデータ(縦軸と横軸)だけで表現しているのに対して、バブルチャートは3つのデータを2元のチャート上で表現している事になります。
最初にバブルチャートの一般的な使用例として、商品の販売状況を表すグラフを紹介していきます。x軸に市場シェア、y軸に前年販売比(伸び率)、バブルの大きさで販売金額を示して、商品群AからEまでをバブルで表示します

更に、このグラフを4つのポートフォリオに分ける事で、それぞれの商品群の特徴を可視化する事が可能になります。ここでは各ポートフォリオの特徴を、新規品、成長株、売れ筋、定番品の4つに分けて分析する事にします。

次に、監査ソフトで作成されるバブルチャートを紹介していきます。ここでの監査の目的は異常点の発見であり、バブルチャートを作成して「見えるか」することで、異常点の特定を容易にします。
事例として仕訳データ分析を紹介しますが、x軸を伝票入力日、y軸を実施日、そしてバブルを金額の大きさに設定します。監査の目的に付いては、監査期間の全仕訳の中からカットオフやバックデートについて、異常点を検証していく事です。
「カットオフ」と「バックデート」を少し説明しておきますが、監査において「カットオフ」とは、締切日までに発生した全ての取引が計上されているか、あるいは、締切日以降の取引が紛れ込んでいないかを検証する作業を指します。日本語では期間帰属と訳されます。例えば、粉飾決算いてして当期の業績を良く見せる為に、本来計上されてはいけない翌期の売上取引を当期の売上高として計上する「売上の前倒し計上」などが代表的な例となります。又、「バックデート」の代表的な事例としては、ストックオプションの不正なバックデートが挙げられますが、これは、ストックオプションの権利を持つ会社経営者が、株価の買取兼行使のタイミングを故意に操作する事で不当な利益を得ようとするようなケースです。
監査ソフトによる仕訳データ分析では、サンプリングの抽出による調査でなく、全てのデータを対象に異常点を可視化し、不自然と思われる仕訳を精査していくものですが、グラフとしては、下記のように描かれます。

一連のバブルのトレンドより下方に位置するバブルは、バックデートされた仕訳データを意味し、上方に位置するバブルは先送りされた仕訳データという事になります。そして、それらの伝票を特定し、理由を確認して行く事になります。

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