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アジア市場で売れる会社になるために

アジアビジネスレポート
森辺 一樹

森辺 一樹

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2013年8月8日

 アジア市場で商品を売る際に変えなければならない大きな概念がある。それは、「輸出的思考を捨てる」ということだ。これは決して輸出が駄目だと言っているのではない。私はこの「輸出的思考」を「販売に関しての大半を相手に委ねること」と定義している。要は、自身は日本の製造業であり、アジアでの販売に関しては、それを専門とした商社や現地の代理店が行うべきであり、自身はそこへのルート営業に徹するというものだ。

 市場の勝手が分からないアジアともなれば、自然といきつく考え方だろう。中には代理店網や流通網の構築から管理、教育までもを現地の有力企業とパートナーシップを結び、その企業に任せてしまう企業までいる。まさに、パートナーにおんぶにだっこ状態というわけだ。

 しかし、この考え方では何年たってもアジアで売れる仕組みは作れないだろう。アジアでは、販売網の構築以上に、その管理と教育を徹底して行わなければ、継続的な大きな売りは作れない。

 まず、日本の商社に海外販売を任せる方法だが、これで満足な成果を得られるのはごく特定の企業に限られるだろう。なぜなら、大手商社は利幅が高く、製品ライフサイクルの長い商品しか扱わないし、中堅中小規模の商社となると、一部の特定業界にフォーカスした専門商社を除いては海外に販路は持っていないからだ。仮に販路を持っていたとしても、日本からの輸出の先、いわゆるセルスルー(小売から消費者へ売られた数)が見えなければ継続的な商売には繋がらない。

 次に、代理店構築や流通網の構築から管理、教育までもを現地パートナーに任せてしまう方法だが、販売網の構築は任せても、その管理、教育は自社で行わなければ必ず数年後に後悔することになる。アジアの多くの国々では、販売網は存在していても、その中身はまだまだ脆弱で、継続的に売るためには、自身が管理、教育していかなければならないからだ。

 高品質を武器に成長してきた日本の製造業の多くは高度成長期において、国内は勿論のこと、欧米等の先進国でも成功をおさめてきた。先進国は流通が整っているため、ニーズに合った高品質の商品を輸出すれば、比較的容易に流通した。販売網の管理や教育も先進国ならば一から十までやらずとも、大枠の管理と教育でうまくまわった。少々人任せにしても、逆に現地に精通している相手ならその方が得策な場合もあった。

 しかし、アジアではそうはいかない。流通はまだまだ未整備で、メーカー自身がそれを作り、管理、教育していかなければならない市場なのだ。また、商品の売買には、アジア独特のややこしい商習慣が未だ付きまとう。そして、必ずしも高品質が売れる市場ではない。だからこそ、「輸出的思考」は捨て、販売の全てを受け止めなければならないのだ。

(2012年8月 執筆)

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