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【中国深読みコラム】第20回~中国のエネルギー資源産業~

中国ビジネスレポート コラム
松本 健三

松本 健三

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2015年7月9日

6月30日パリを訪問中の李克強首相は、今年年末にパリで開催されるCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)に臨む中国案の温室効果ガス削減目標を、条約事務局に提出したと発表しました。その骨子は、2030年に二酸化炭素(CO2)排出量をピークとし、2005年に比べ60~65%減らし、一次エネルギーの約70%を石炭に頼る現状を転換し、非化石燃料の割合を20%まで増やす、というものです。

自動車、家電・IT産業に続き、今月は我々の生活に欠かせないエネルギー資源を取り上げます。自動車や家電は動かすためのエネルギーが必要ですね。ガソリンや電気がないとせっかくの便利な文明の利器は動きません。普段なにげなく当たり前に使っているこれらの資源は、中国ではどうなっているのでしょうか?

中国のエネルギー消費量は毎年増加を続けており、世界全体の25%を占める世界一のエネルギー消費国となっています。人口が多いので当然といえば当然ですが、同じ人口のインドが6%ですので人口だけが理由ではありません。一般的にエネルギー消費量は経済成長に連動する為、世界第2位のGDP大国である中国の消費量は、全世界の消費量を上回るペースで増加しているのが原因です。

中国は石炭の埋蔵量が豊富でエネルギー消費量の70%を石炭に依存しており、そのうち50%が電力用資源です。40%が鉄鋼・化学・セメントなどの製造業向けで、一般家庭用の暖房は10%以下です。ところが、世界の石炭消費量の50%を占める中国は、世界一の石炭輸入国でもあります。世界一の36億トンも自国で生産しておきながら(2位は米国の6億トン)、毎年3億トンの石炭を海外から輸入しています(2位は日本の2億トン)。これは埋蔵場所の地理的偏在が原因で、中国の西北部には石炭資源が豊富にありますが、東部や南部の沿海部には資源がなく不足しており、生産地と消費地を結ぶ長距離鉄道の輸送能力が追い付かないことと、輸入石炭との価格差が縮小傾向にあることがあげられます。

中国における原油消費量も急増しており、GDPと歩調を合せて毎年7%の伸びが続き、米国に次ぐ世界2位(年間5億トン、シェア12%)の石油を消費しています。中国の石油生産は現在年2億トンですので、差額の3億トン(約26兆円)を中近東、アフリカ、南米より輸入しています(日本の輸入量は2億トン)。原油を精製して生産される製品としては、石油化学製品の原料以外に、自動車で使用されるガソリン、ジェット燃料となるケロシン、トラック用のディーゼルがあげられますが、中国では自動車の保有台数が急増しているほか、航空需要も10年で4倍に伸びていますので、現在の経済成長が続く限りは石油輸入量が増え続けることが予想されます。

以上の通り、中国はエネルギー資源の70%が石炭で、2番目が20%の石油です。エネルギー源としては天然ガス、原子力、水力、風力などがありますが、これらを合計しても10%以下で石炭、石油に置き換わる位置までエネルギー産業として成長しておりません。

気候変動を引き起こす地球温暖化対策は待ったなしの課題であり、全世界の25%というCO2排出量を占める最大排出国の中国が、地球環境の行方のカギを握っていると言っても過言ではないでしょう。

以上

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