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成長期市場には成長期戦略を

中国ビジネスレポート マーケティング
森辺 一樹

森辺 一樹

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2012年10月25日

著しいアジアの急成長に伴い、日本企業のアジア進出は過去の生産拠点としての進出から販売拠点としての進出へと完全にシフトした。アジア市場を狙うのは、大企業だけに留まらず、中堅中小企業からベンチャー企業までもが必死に挑んでいる。しかし、業界が既に成長期であるにも関わらず、導入期の戦略を展開している日本企業は少なくない。特に中国市場に関して言えば、多くの業界が既に成長期であるにも関わらず、新規参入する多くの日本企業が導入期の戦略を展開している。

一般的に日本企業は欧米企業に比べ、中国の内需獲得に10年で出遅れたと言われている。そして昨今、多くの新規参入組が存在するわけだが、既に導入期から中国内需に取り組んでいた企業であれば、市場でそれなりの存在感を発揮し、社内にはノウハウも溜まっているはずだ。従って、その業界が成長期に突入したのか否かを基準に、今迄の導入期戦略から、一気に成長期戦略に切り替える経営判断を行なえば良い。
しかし、導入期での参入は行なわず、成長期の今から参入をする企業に関しては、確かに自分たちにとっては初の中国戦略になるのかもしれないが、だからと言って成長期の中国で慎重且つ、着実な導入期戦略を展開していては、スピードで完全に負ける。成長期はとにかくスピードと投資が全てだ。

例えば、ファストフードチェーンで言えば、KFCが非常に分かり易い例である。KFCは、1987年に1号店を北京にオープンさせた。当時の中国では、ファストフードはまさに導入期であった。KFCは、導入期の10年で約100店舗までを展開し、次の成長期前半の10年で約1,000店舗まで展開した。そこから成長期後半には、たった3年で2,000店舗に至るまでの展開を行なった。導入期は、ゆっくりだが、着実に店舗を増やし成長期をじっと待った。そして、成長期に入ると一気にスピードを上げ、巨額の投資で店舗数を拡大したのだ。KFCは、現在では3,000店舗以上を出店させ、内陸地を考慮するとまだまだ成長期にある中国のファストフード市場で、1日約1店舗のスピードで店舗を増やしている。

日本市場のような先進市場では、導入期や成長期の業界は非常に少ない。従って、日本企業の多くはここ数十年の間、成熟期、もしくは衰退期の戦略にどっぷり浸かっている。しかし、中国やアジアの市場は、今、正に成長期の真っただ中にある。自社が戦う市場が今、どのようなステージ(期)に居るのかを知り、そのステージにあった戦略を徹底することが、その市場で勝つための最低限の条件であることを今一度認識して欲しい。
(2011年7月執筆)

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