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ログイン2013年12月11日
本日はベトナムにおける雇用契約書について、記載したいと思います。
■雇用契約書
ベトナムで人を雇用するにあたっては、雇用契約書と就業規則について整備をする必要があります。労働者との個別の条件については、雇用契約書で定め、会社全体のルールについては、就業規則に定めることになります。就業規則の作成は、10人以下の労働者を雇用する場合に義務付けられていませんが、労務管理を行うためにも、就業規則はどの企業においても作成をするのが望ましいでしょう。
ベトナムでの就業規則はベトナム語もしくは英語で記載されていなければなりません。雇用契約書もベトナム語もしくは英語で記載するケースが多くみられます。また、日本語その他の言語で、労働者への説明用に作成されることもありますが、その際にはどれが主たる契約、規程であるかを明確にしておく必要があります。
■雇用契約書の概要
雇用契約とは、「労働者と雇用者との間における、賃金の支払いを受ける雇用、労働条件および労働関係における双方の権利と義務に関する合意書」のことをいいます(労働法15条)。雇用契約書に労働者との個別の条件についての記載をし、雇用契約書は、書面によって、2通作成し、雇用者と労働者で1部ずつ所持します。なお、3カ月以内の一時的な業務の場合は、口頭で雇用契約を結ぶことも可能となります。
■雇用契約の種類
日本では、雇用契約は期間の定めのない契約と期間の定めのある契約の2種類がありますが、ベトナムでは、期間の定めのない契約の他、期間の定めのある契約の中で、12カ月以内の場合と、12カ月以上36カ月以内の2種類の契約に分かれ、合計3種類の契約形態があります(労働法第22条)。
①期間の定めのない契約
②12カ月以内の契約(季節労働または特定業務に係る期間の定めのある契約)
③12カ月以上36カ月以内の契約(期間の定めのある契約)
②と③の期間の定めのある雇用契約は、2回まで(更新は1回まで)しか締結することができません。同一の被雇用者と三度目の雇用契約の締結の際には、期間の定めのない雇用契約を結ばなければなりません。期間の定めのない雇用契約とは、文字通り契約期間を設定することができず、定年退職までの期間雇用を継続することを意味する契約となります。この点は日本の雇用契約書の取り扱いと異なるため、注意が必要となります。
■雇用契約書の記載内容
雇用契約書に記載する項目のサンプルとしては、下記が挙げられます。
雇用契約書の規定項目例 |
1.雇用者情報 2.被雇用者情報 3.契約形態 4.契約期間 5.勤務地 6.役職名及び職務内容 7.職務条件 8.被雇用者の義務及び権利 9.雇用者の義務及び権利 10.実施規定 |
以下に具体的な記載内容のポイントを解説します。
「1.雇用者情報」
会社の法的代表者、会社所在地などを記載します。
「2.被雇用者情報」
非雇用者の氏名、住所、ID番号等を記載します。
「3.契約形態、4.契約期間」
ベトナムにおいて雇用契約を締結する場合は、期間の定めのある雇用契約及び期間の定めのない雇用契約の二つ形態があります。期間の定めのある雇用契約は12カ月から36カ月までの期間を設定することができます。上述の通り、期間の定めのない雇用契約とは、文字通り契約期間を設定することができず、定年退職までの期間雇用を継続することを意味する契約となります。
「5.勤務地」
被雇用者の実際の勤務地を記載する必要があります。ベトナム人の労働者は、通勤にかかる時間を非常に大切に考えるため、勤務地に関しても事前に同意を得ておくことが重要となります。
「6.役職名及び職務内容」
前述しましたが、ベトナム人との雇用契約を結ぶ場合は、職務内容及び職務範囲の雇用者及び被雇用者の同意が非常に重要となります。雇用契約者にて同意が得られていない、若しくは事前の説明のない業務を支持する場合にトラブルとなるケースも多く見られます。
「7.職務条件」
職務条件には、勤務時間及び勤務日数を記載します。労働法にて週の勤務時間は、上限48時間と定められています。工場等の製造業の場合には、週の勤務時間を48時間とし、月曜日から土曜日の勤務としているケースもありますが、サービス業等の業種では、週の勤務時間を40時間としているケースも多く見られます。また、労働法にて週の勤務時間を40時間とすることを推奨しています。
「8.被雇用者の権利及び義務」
権利の項目として、被雇用者の給与、手当てなどを記載します。給与の額については基本給与の額を記載しますが、企業によっては、求人募集及び採用面接の際に被雇用者と給与額をネット額にて決定しているケースもあるかと思いますが、雇用契約書には、グロス額を記載しなければなりません。これは、社会保険及び健康保険の納付額の計算を雇用契約書上の給与及び手当て額を算定の基礎とするためとなります。社会保険局はネット額表示による雇用契約書を認めていません。また、給与の通貨に関しては、ベトナムドンを使用しなければなりません。外国人の雇用契約書に限り例外として、外国通貨での表示をすることができます。
雇用契約の締結は法定されているだけではなく、社会保険及び健康保険の加入の際に、加入する被雇用者の雇用契約書を人民委員会労働局に登録する必要があります。提出の際に労働局の署員により内容の精査が行われるため、雇用契約書の内容は労働法に準拠したものにする必要があります。内容に不備があった場合には、受理を拒否される可能性があります。
雇用契約書の作成は、労働者の就労に関わる大変重要な事項ですので、事前に十分な準備と検討を重ねて雇用契約書を作成することが必要です。
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