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中国EC市場における日本勢の可能性

中国ビジネスレポート コラム
森辺 一樹

森辺 一樹

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2012年11月30日

 中国のEC市場は外国資本にとっては規制業種となる。そのため、外資系企業や外国資本は、特殊な契約ストラクチャーを組み、実質的に事業を行なっている。しかし、2010年8月、中国政府は既に中国に進出している流通業と製造業に限ってECを解禁した。これにより日本企業にも大きなチャンスが生まれた。

 確かに、中国の専門店型やメーカー型EC市場は、百貨店型EC市場のような80%以上のシェアを持つ絶対王者が存在する市場ではない。しかし、やはりこの市場も生半可な戦略では成果が出ないのも事実である。

 まず、いかなる種類のECであっても、日系企業が中国でECを展開する際に最初に検討をするのが淘宝網をどう自社のECと絡めるのか。もしくは絡めないのかという議論だろう。中国EC市場の80%以上が淘宝網であることを考えると、淘宝網の中で売るという選択肢はそう簡単には消せない。しかし、大半の日系企業が売る商品は、ある程度以上の付加価値商品であり、値が張る商品のため、淘宝網のユーザー層とは乖離が存在する。また、自身がECサイトであるにも関わらず、他のECサイトの中でしか売れないのであれば、自身の存在を否定するようなものであり、遅かれ早かれ淘宝網からの脱却というのは一つの課題になることは間違いない。

 次に、ECサイト運営で重要な4つの要素である「サイト」、「物流」、「コールセンター」、「プロモーション」だが、最初の3つなどどうでも良い。最も重要なのはプロモーションである。つまりは、中国のEC市場は投資合戦であるということを理解しなくてはならない。
中国のECサイトはどれも、基本的にはIPO(株式上場)を前提として経営されている。従って、国内外のファンドから巨額の投資を受け、赤字を垂れ流してでも、とにかくプロモーション投資を行いマーケットシェアの確保に走っている。日本企業のように、中国法人は日本本社の100%子会社であり、日本からの資本金が戦う原資の全てとは異なる。日本のECノウハウや日本の商品ではなく、いくら投資できるのかが全ての市場なのである

 そして、ビジネスモデルのトランスフォーム(変身)も時として重要となる。中国が世界の製造拠点である背景を踏まえると、特にローテック製品分野は、専門店型ECも、自身が生産から販売までを行なうメーカー型ECとなる必要すら出てくる。最たる例がアパレルECである。中国の主要アパレル系ECサイトは全て自社でOEM生産を行なうメーカー型ECサイトである。専門店型で大手は存在しない。

 これら日本とは大きくことなる現状を踏まえると、日本勢が中国EC市場で成功を納めるためには、一度、日本での実績をリセットし、現地の実態を熟知した上で、現地ベースで一から戦略を組み直す必要があるのだ。

(2011年9月執筆)

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