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日本のグローバル人材に危機

中国ビジネスレポート コラム
森辺 一樹

森辺 一樹

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2012年12月20日

 今、多くの日本企業が抱える新興国市場における様々な悩みは、一人のグローバル人材で大きく変わるだろう。しかし、日本企業にはその一人がなかなか居ないのが現実である。

 日本企業は基本的に業種、規模を問わず、新興国での現地化や現地への権限移譲が欧米企業と比較し著しく遅れている。分りやすく中国を例に取ると、現地社長に相当する「董事長」や「総経理」といった役職は基本的に日本人が努めている場合が多い。そして主要なポストも大半を日本からの駐在員が占めている。

 なぜなのか?答えは簡単である。日本本社の現地法人を統括する担当役員が日本人でないとマネジメントし難いからだ。世界には60億の人材の選択肢があるにも係わらず、わざわざ自分から1.2億人に選択肢を小さくしてしまっているのだ。

 勿論、最近では、部長クラスに現地人を抜擢している企業も多くあるが、同格ポストに日本人が付き、中国人部長の見張り役のような役割を果たしている場合も少なくない。また、仮に、役職では中国人の方が上であったとしても、日本本社から駐在に来ている日本人の方が給料も高く、「偉い」という日本企業独特の暗黙文化が存在する。中国人部長にして見れば、名ばかりの部長職だ。これも、部長を管理する立場の日本人が、中国人部長だけだとマネジメントに自信が持てないという理由も少なく無いはずだ。

 生産工場として中国法人を活用していた時代はこれで良かったのかもしれない。生産に関わるノウハウを持つ日本人だけで現地法人を統治することが当然ながら最も望ましい。日本の現地法人担当役員も日本人をマネジメントできればそれで良い。その日本人がグローバル人材だろうが無かろうが、生産のプロであれさえすればそれで良かった。

 しかし、時代は大きく変わり、今、中国現地法人に求められているものは中国市場の獲得である。中国市場の獲得は中国人がやるのが最適であることは言うまでもない。そうなると、日本人に求められているものも当然ながら大きく変化しており、いかに中国人をマネジメントするかに尽きる。これは決して中国に限った話しでは無い。アジア市場全体で日本人に求められているものは、現地人材のマネジメントなのである。

 しかしながら、それができる日本人は少ない。駐在員に関して言えば、仕事が終われば、日本人同士で日本食を食べ、日本人カラオケに行き、家に帰ればNHKワールドを見て、朝は日本の新聞を読む毎日。本社の担当役員も未だに自身がマネジメントし易い日本人駐在員を送り込んでいる。
 企業のグローバル化の波はもう止まらない。今、日本企業に求められるのは、グローバル人材育成への投資に他ならない。

(2011年11月執筆)

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