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ログイン2013年1月16日
アジア市場を狙う日本企業には共通の課題が存在する。生産材系企業(B2B企業)であれば、日系企業をターゲットとした戦略からローカル企業をターゲットとした戦略を実現させることだ。消費材系企業(B2C企業)の場合は、富裕層をターゲットとした戦略から中間層をターゲットとした戦略の実現である。
生産材系企業の多くはまずアジアを生産拠点とした。製造した製品の大半は日本を始めとした先進国で消費された。しかし、その後、2000年代前半からアジアを市場と捉え始め、次々に販売拠点を設けアジア市場での販売を開始した。しかし、その販売ターゲットは日系を中心とした外資系に留まった。資金力に乏しく、債権回収の問題や新興国独特の様々なリスクを考えるとローカル企業はまだターゲットとしては未熟との判断からだ。市場が更に成長し、ローカル企業のレベルが高まった段階で改めてターゲットとすれば良いと考えたのだ。
しかし、ローカル市場と企業の成長スピードは日本企業の予測を遥かに上回った。日本程の技術力は無くとも、それなりに技術力を付けた安価なローカル企業の製品や他国の企業の製品で十分と考えるローカル企業が多く出現したのだ。そのため、本当にオンリーワンの技術を持ち、且つ、その製品が無いとならない企業のみが市場に必要とされ、そうでない大半の企業は今、一からローカル企業への販売戦略を組み直しているのだ。
消費材系企業に関しても、消費者の所得の問題から多くの日本企業はそのターゲットを富裕層と位置づけた。しかし、ふたを開けてみると富裕層は富裕層でも日本とは桁の違う額を稼ぎ出す富裕層は、消費の仕方も日本とは大きくことなり、よほどの日本フリーク(日本ファン)でない限り、ブランド力で圧倒的な力を持つ欧米モノを欲した。欧米から見れば、日本はアジアでNo.1だが、アジアから見れば、欧米は日本の上にある存在だ。アジアの消費者にとってもやはり欧米は憧れの最高峰であることは変わらない。消費材系企業もまた富裕層から脱却し、欧米ブランドにそこまで固執しない中間層への販売戦略を組み直している。
アジア市場を狙う上で言えることは、生産材系企業であれば、日系だけをターゲットにした戦略であれば、そう長くは保たないだろう。ローカル企業の技術力はこれからも更に向上するし、販売先となる日系企業も今後益々グローバル競争に巻き込まれる。いつまでも変わらず日系企業の製品を使うとは限らない。
消費材系企業も富裕層になればなる程、欧米ブランドに流れる傾向が強い。そもそもアジアの魅力は約9億人という圧倒的な数を誇る中間層であり、中間層への販売戦略が立たなければ、先進国での商売に力を注いだ方がよっぽど効果は高いだろう。
次の5年、日系企業の課題は、“生産材は脱日系”。“消費材系は脱富裕層”に他ならない。
(2011年10月執筆)
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