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アジアマネーを資本力に

中国ビジネスレポート 投資環境
森辺 一樹

森辺 一樹

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2011年9月19日

長期的な人口減少による内需縮小が止まらない日本。企業の外需獲得は次の四半世紀の最大の課題となった。日本企業が過去に経験したことの無い新たな時代への突入である。日本は、日本企業は、本当の意味での開国を迫られるのだ。そして、この開国にはアジアマネーが重要な役割を果たすことになるだろう。

2000年以前の日本企業のアジア進出は、基本的には安価な労働力を求めた製造拠点としての進出が中心であった。とにかく品質の高い製品を安く製造することが最大の目的であった。アジアで安く製造した製品は、日本はもとより欧米先進国が消費してくれたからだ。
 
それが2000年代に入り、アジアは徐々に消費マーケットとしても魅力的な市場を形成していった。しかし、多くの日本企業はこれに出遅れてしまったのだ。最近になりようやく日本の内需縮小に諦めがつき、それを現実視できるようになった日本企業は、ここ数年、積極的にアジアシフトへの重い腰を上げた。アジアの競合や消費者を理解し、マーケットを理解すること。そしてアジア人材の確保や人材のグローバル化に経営資源を投資し始めたのだ。しかし、次の四半世紀、マーケットを可視化することや人材をグローバル化することだけではその市場で勝つことは難しいだろう。日本企業はアジアマネーをどう資本力に取り込むかがアジアでの競争力を維持するための最大の課題になる。

今、アジアには世界中のマネーが流れ込んでいる。アジアの株式市場の時価総額はここ10年で何倍にも膨らんでいるのだ。香港を含む中国の株式市場の時価総額は既に日本を上回っているし、その他、アジアの主要株式市場の時価総額も金融危機後、いち早く回復、拡大を続けている。

一方で、日本は1,400兆円もの個人金融資産を持ちながら、それが株式市場に注がれることは無く、株式市場は低迷を続けている。長期的な内需縮小で益々経済が低迷するのだとすれば、今後もジャパンマネーへの過度な期待はできない。まさに、負のスパイラルである。

グローバル競争は、資本力の競争そのものである。ライバルとなるアジアの企業はこれらアジアマネーをバックに成長し、今後、これが益々ビジネスの上で力として顕在化していくだろう。アジア市場で勝つのであれば、日本企業はアジアマネーをいかにして資本力に取り込むか、そろそろ真剣に考える時期が来ているように感じる。

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