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企業が区を跨いで移転する場合の税務手続きの流れと留意点

中国ビジネスレポート 法務
郭 蔚

郭 蔚

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2013年10月28日

企業には経営上の利便、合理的な節税などの目的で区を跨いで移転する状況が生じる可能性がある。移転に際し、税務手続き(転出地の税務抹消手続きおよび転入地の開業税務登記手続きを含む)は非常に重要な事項である。本文では、上海市国家税務局および上海市地方税務局が公布した「移転に伴う税務登記抹消管理弁法」、「企業の税務登記の区(県)を跨いだ移転に関する申請ルートの調整に関する公告」などの関連規定に基づき、筆者の最近の実務経験に照らし、上海市における企業の区を跨いだ移転に伴う税務手続きについて、簡潔に紹介する。

1.税務手続きの基本的な流れ

移転に伴う税務登記抹消の申請

(オンライン申請または現場申請)
オンライン申請:www.tax.sh.gov.cn
現場申請:上海市税務登記受理処(住所:上海市黄浦区陸家浜路1060号1号楼2階)

↓ 1営業日

仮受理

「オンライン移転に伴う税務登記抹消の仮受理書」または「移転に伴う税務登記抹消仮申請受理受取証」を発行する(現場申請時に現場で発行する)。

↓4 営業日

実地検査
転出地分局の税務専門管理員(以下「専管員」という)は転入する登録地、経営地(登録地と経営地が一致しない場合)に赴き実地検査を行う。

↓1 営業日

正式受理
「転出に伴う税務登記抹消受理書」を発行する。

↓2 営業日

転出地の分局にて転出手続きを行う
2営業日以内に(期限を過ぎた場合、「移転に伴う税務登記抹消申請」再提出の必要あり)転出地分局の窓口(税務専管員ではない)にて行う。

↓8 営業日

転出地の分局が税務精算、発票処理を行う
転出地の分局は、転出企業に対し税務精算、発票処理の審査を行う。誤データに起因する「税務精算、発票処理申請表」の再提出により流れが期限を過ぎることを防ぐため、転出企業は「税務精算、発票処理申請表」を提出する前に、税務専管員とデータの事前確認を行うことを提案する。

↓1 営業日

転出地の分局が転出を許可する
「税務登記転出許可通知書」を発行する。

↓2 営業日

転入地の分局にて開業税務登記を行う
通常は2営業日以内に(最長で7営業日まで延長可能)転入地分局の窓口(税務専管員ではない)にて行う。新批准証書、営業許可証、組織機構コード証などの提出が必要。

↓2 営業日

転出地の分局にて税務登記抹消手続きを行う
「移転に伴う税務登記抹消通知書」を発行する

↓2 営業日

転入地の分局にて企業管理登録を行う
税収徴収管理機関および税務専管員などを指定する。納税申告、税額登録申告、発票購入などを行う


2.留意事項

(1)手続き時間
厳格に上記の流れによれば、税務移転手続き全体ではおよそ30営業日を必要とする。ただし、実務においては遅延する状況が多い。例えば、期限内の資料提出ができずに流れのやり直しとなる、「未解決税務事項」が存在したために手続き中止となるなどである。

(2)期限要求に留意し、速やかに文書を準備する。税務移転手続きの全ては上海市税務登記受理処がシステムを通じて管理しており、各流れはいずれも厳格な時間管理が行われている。例えば、転出企業は「転出に伴う税務登記抹消受理書」の受領後2営業日以内に(受領日当日は含まず、以下同じ)転出地分局の窓口にて転出手続きを行わなければならず、期限が過ぎた場合は自動的に終了し、流れをやり直さなければならない。転出企業は「税務登記転出許可通知書」の受領後14営業日以内に開業税務登記手続きを完了し、「移転に伴う開業税務登記通知書」、新税務登記証をもって税務登記抹消手続きを行わなければならない。そのため、できるだけ一回で解決できるよう、転出企業は申請書類を事前に準備し(法定代表人署名および社印捺印の手配を含む)、申請書類における税務関連データについて税務専管員と事前に話し合う必要がある。

(3)その他の税務関連事項を完了し、タイミングを図る。転出企業に「市級以上の査察にかかわる案件が未解決である、税金に未納付がある、申請による税務関連事件が最終審査を終えていない、企業所得税の確定申告期間内に清算を完了していない」の4状況のいずれかが存在する場合、上記税務関連事項が解決された後にはじめて税務移転手続きを行うことが可能となる。よって、転出企業はタイミングを図る必要がある。例えば、以下の通りである。

a)原則として月の半ばに移転申請を行うことを提案する。月初めに申請した場合、未だ前月分の税金に関する納付処理が済んでいないため、通常は仮受理されない。月末に申請した場合、申請から正式受理まで通常は5営業日を必要とするため、上海市税務登記受理処が正式に受理するのは翌月初めとなる可能性があり、税金納付の完了をもって「転出に伴う税務登記抹消受理書」が発行されることになる。

b)通常、毎年12月から翌年の5月までは移転申請を行うのはよくない。毎年1月から5月までは企業所得税の確定申告期間であり、通常、上海市税務登記受理処は転出企業が確定申告を終えていない状況で移転申請を受理することはない(無論、転出企業が当該期間内に確定申告を終えていれば、受理される)。また、12月に移転申請を行う場合、原則としては仮受理が可能であるが、仮受理から移転手続き完了までは、通常、30営業日を必要とするため、移転過程において翌年度の企業所得税確定申告と重なることは不可避であり、このために移転手続きは中止し、転出企業の確定申告の完了をもって、初めからやり直しとなるものと思われる。

(4)その他の移転手続きとの関連に留意する。転入地の分局にて開業税務登記を行う際に新批准証書、営業許可証、組織機構コード証などの提出が必要であることから、原則として組織機構コード証の変更手続きを終えた上で税務移転申請を行うことになる。ただし、転出企業が移転手続きの迅速な完了を望むのであれば、商務主管部門へ登録住所変更の申請を行う際、同時に税務主管機関へ移転申請を行うことも可能である。商務主管部門への申請から組織機構コード証の手続き完了までは、通常で18営業日(通常では、商務審査許可が10営業日、工商登記変更が5営業日、組織機構コード証が3営業日であり、実務では遅延することもある)である。税務移転申請から開業税務登記手続きまでも通常18営業日であり、各手続きが順調であれば、両者は適度につなげることもできる。

筆者の全体的な感覚として、上海市税務登記受理処がシステムを通じて税務移転手続きを管理することにより、転出地分局の税務移転に対する妨害を減少させることを可能にしている(厳格な時間要求があるため、通常では転出地の分局が手続き時間を遅延させることはできない)。ただし、これは転出企業に対しても期限要求の厳守を求めており、このため、転出企業は書類を事前に準備した上、税務専管員と税務精算、発票処理事項について有効な話合いを行い、必要であれば弁護士、税理士などの専門家の協力を得て調整、実施することを提案する。

(里兆法律事務所が2013年5月17日付で作成)

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