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ログイン2014年2月19日
計画出産は中国の基本国策の一つであり、長年にわたり実施され、現在も継続中である。ただし、中国人には本来「子供が多ければ幸福も多い。子供を育てて老後に備える」などの伝統的な観念があり、このため違法出産の状況も少なくない。違法出産者に対する処罰として、一つには、国が高額の社会扶養費の納付を要求する。もう一つは、これこそ筆者が着目する点であるが、法律によりそれに対し懲罰的な措置を講じる権利を会社に与えることであり、主として紀律処分と出産待遇の両面において体現するもので、これらの措置の具体内容およびいかに運用するかについて、筆者は以下の通りまとめ、分析した。
違法出産とは
「人口および計画出産法」第18条では、計画出産の基本要点として「一組の夫婦に一人の子供、法定条件を満たす場合、第二子を出産することができる」と定めている。これによると、合法出産は以下の二つの条件を満たさなければならない。
・出産の前提としては、結婚し、夫婦関係を形成していること。
・出産する子供の人数は一人が原則であり、法定条件を満たして初めて第二子を出産できる。
上記条件から導き出される、違法出産の状況は以下の通りである。
・未婚の状況で一子を出産し、出産時に依然として未婚のままである場合。
・二児およびそれ以上を違法に出産し(既婚または未婚)、出産時に、依然として二児出産許可証明を取得していない場合。
留意すべきこととしては、未婚者の妊娠、第二子出産条件を満たさずに第二子を妊娠した従業員に関し、出産するまでの期間は違法出産の状態ではない。なぜなら、出産前は、未婚で妊娠した従業員が結婚証明書の追加手続きまたは妊娠中絶により違法出産の状況を回避することが依然として可能であり、第二子を妊娠した従業員も妊娠中絶により違法出産の状況を回避することが可能であるためである。
違法出産従業員の紀律処分
違法状況 | 紀律処分の採用 | 主要法律根拠 |
未婚者の第一子出産 | ・会社は従業員に対し相応の紀律処分を行うことができる。
・ただし、情状が第二子およびそれ以上の違法出産に比べ軽微であることに加え、事後に追加手続きを行うことで是正可能であることから、規則制度で当該状況を解雇事項としている場合を除き、通常、会社が直接従業員を解雇することは望ましくない。 |
・「人口および計画出産法」第42条:「……、その他の人員については更に所属する単位または組織が紀律処分を与えなければならない。」
・労働部弁公庁「従業員の計画出産政策規定への違反に起因する労働紛争の受理に伴う問題に関する回答書簡」:「従業員が計画出産政策に違反したために企業から解雇されたことに起因する紛争については、……。この種の労働紛争を処理する際には、労働法律、法規以外にも、国ならびに地方政府の計画出産関連政策の法規、規則、および企業内部の国の規定に合致した関連規則制度を根拠としなければならない。」 ・「上海市人口および計画出産条例」第43条:「……、その他の人員の場合、所属する単位は紀律処分を与えることができ、……。」 ・「北京市人口および計画出産条例」第40条:「……従業員が本条例の規定に違反して出産した場合、その所在単位が行政処分または紀律処分を与える。」 |
第二子およびそれ以上の違法出産(既婚または未婚) | ・会社は従業員に対し相応の紀律処分を行うことができる。
・ただし、従業員を直接解雇できるか否かについては、未だ異論がある。 |
備考:従業員の婚前妊娠、第二子出産条件を満たさない第二子の妊娠の後、未だ出産せず、違法出産を構成していない状況において、会社がこの時点で「婚前妊娠、第二子出産条件を満たさない第二子の妊娠」を理由に解雇処分を行うことは望ましくない。その理由として、「女性従業員労働保護特別規定」第5条において、会社は「女性従業員の妊娠、出産および授乳を理由として、その労働契約を解除してはならない」と規定されており、法定の解雇事由がある場合に限り解雇処分を行うことが認められているためである。加えて、法律では違法出産の従業員に対し紀律処分を与えることができるとのみ定めており、直接「婚前妊娠、第二子出産条件を満たさない第二子の妊娠」の従業員に対し紀律処分を与えることができるとは定めていない。
違法出産従業員の出産関連待遇
違法状況 | 出産関連待遇の取扱 | 主要法律根拠 |
違法出産 | ・従業員は産休などの出産関連休暇を享受することが可能であり、会社は応じなければならない。
・ただし、従業員は休暇期間中の関連賃金福利待遇を享受できず、会社は支払わなくともよい。 |
・「計画出産作業の更なる徹底に関する中共中央、国務院の指示」:「計画出産に従わなかった場合、……、合理的な出産に基づき享受する医薬、福利などの待遇を取り消さなければならない……。」
・「女性従業員が未婚出産時に労働保護待遇を享受できるかの問題に関する労働部賃金局の回答」:「女性従業員の未婚出産については、……出産待遇を享受することができない。」 ・「上海市人口および計画出産条例」第43条:「……、分娩に伴う入院費用および医薬費用は自己負担とし、出産保険待遇および出産期間の賃金待遇を享受せず、……。」 ・「北京市人口および計画出産条例」第40条:「……、分娩に伴う入院費用および医薬費用は自己負担とし、出産期間はその賃金福利待遇を停止し、……。」 |
会社が違法出産の従業員に対応する場合の手順および留意事項
以上の法律で定められた措置および筆者の実務取扱経験によると、一般的に、会社が違法出産従業員に対応する際の基本的な手順および留意事項は概ね以下の通りである。
1.会社は従業員に対し合法な出産であることを示す証明資料の提供を求め、真偽を判断する。合法な出産であることを示す証明資料に関しては、主として結婚証明書、出産許可証、第二子許可などがあり、証明資料の真偽が疑わしい場合、計画出産部門に事実確認を行うことができる。
2.従業員が合法な出産であることを示す証明資料の提出を拒んだ場合、会社はまず従業員と話し合わい、原因を確認し、引き続き証明資料を提供するよう求めなければならない。会社は従業員との話し合い、確認の過程において、証拠の録音を取りまたは従業員へEMSで合法な出産であることを示す証明の提出を求める通知を郵送する必要がある。労働組合がある場合は、組合に立会いおよび証言を求めることが考えられる。それにもかかわらず、従業員が依然として提出を拒んだ場合、計画出産部門への通報を通じて事実状況を確認することが考えられる(通報後、計画出産部門は違法出産に該当するかについて確認するものと思われる)。
3.合法な出産であることを示す証明資料を提出しない従業員に対し、違法出産が確認される(例えば、従業員が認めた場合または計画出産部門が事実であると確認された場合)までの間は、出産待遇については、差し当たり違法出産として取り扱うことができる。紀律処分については、違法出産が確認されるのを待って改めて処理することを提案する。
4.違法出産が確認された後は、規則制度の規定に基づき、合理的に紀律処分の方法を確定することが考えられる。
・規則制度において処分措置を定めている場合、会社は規則に従って従業員に対する処分を行うことが可能である。また、規則制度に定める解雇事由に合致するのであれば、解雇することが可能である。
・規則制度において処分措置を定めていない場合、会社は解雇以外のその他の紀律処分を適度に与えることが可能である。
・言うまでもなく、従業員の違法出産は必ず紀律処分を与えなければならないものではなく、規則制度において処分措置を明確に定めておらず、会社も従業員の能力などを認めているのであれば、紀律処分を与えないことも考えられる。
5.解雇されなかった従業員に関し直面する産休などの出産休暇事項について、会社は従業員に対し産休などの出産休暇に関する申請を提出するように随時求める必要があり、原則として休暇を認めなければならないが、出産待遇を支払う必要はない。
(里兆法律事務所が2013年7月12日付で作成)
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