こんにちわ、ゲストさん

ログイン

最高人民法院指導判例:消費者に対する自動車の修復歴に関する告知義務の履行を証明できない場合について、裁判所は販売者が詐欺を働いたとの判決を下した

中国ビジネスレポート 法務
郭 蔚

郭 蔚

無料

2014年4月28日

Key Points
1.家庭における生活消費面での必要から自動車の購入が必要となった際に、詐欺に関する紛争が生じた場合、「消費者権益保護法」に基づき処理することができる。

2.自動車販売者が消費者に対し未使用または修復歴のない新車を販売することを承諾し、消費者の購入後に使用または修復歴が確認された自動車について、販売者が告知義務を履行し且つ消費者の承諾を受けたことを証明できないのであれば、詐欺の販売を働いたこととなり、消費者が販売者に対し「消費者権益保護法」に基づく損害賠償を求めた場合、裁判所は支持するものとする。


事件の基本背景:
1.2007年2月28日、原告である張莉は被告である北京合力華通汽車服務有限公司(以下「合力華通公司)から上海GMのシボレー・エピカを一台購入し、価格は138,000元であった。双方は「自動車販売契約」を締結し、「売主は買主の購入する車両が新車であることを保証する」と取り決められていた。2007年5月13日、張莉が車両を合力華通公司に保守に出した際、当該車両が2007年1月17日に修復を行っていたことが分かった。

2.裁判所の審理において、合力華通公司は、車両が修復を行っている事実については販売時に張莉に明確に告知しており、このために大幅な優遇を与え、一部の内装などをサービスしたと説明した。上記事実を証明するために、合力華通公司は車両修復記録および張莉が署名した2007年2月28日付けの車両引渡し検収表一通を提出し、車両引渡し検収表の備考欄の一つには「タンク四分の一のガソリンを入れ、本車両は右側面の板金塗装の修復を行っており、取り決めた価格にて販売する」との記載があった。合力華通公司は当該検収表は自社で保管するものであり、張莉の手元には本表はないと説明した。張莉は車両引渡し検収表の署名は確かに自分が署名したものだが、合力華通公司は販売時に車両に修復歴があることを告知しておらず、自身が署名した時点では備考欄に「本車両は右側面の板金塗装の修復を行っており、取り決めた価格にて販売する」との文字はなかったと説明した。

3.一審裁判所の北京市朝陽区人民裁判所は、「自動車販売契約」を解除し、合力華通公司は車両購入代金を返金した上、同額の賠償を加え、同時にその他の損失を賠償せよとの判決を下した。


最終判決:
1.原告の張莉が自動車を購入したのは生活の必要による自家用であり、被告の合力華通公司には張莉が当該車両の購入が事業またはその他の非生活消費用であることを証明する証拠がなかったため、張莉が自動車を購入する行為は生活消費の必要に該当し、「消費者権益保護法」が適用されなければならない。

2.双方が締結した「自動車販売契約」の取決めによれば、合力華通公司が張莉に引き渡す車両は修復歴のない新車でなければならず、現在の販売車両は引き渡し前に実際に修復が行われており、これは双方共に認める事実であり、本件紛争の焦点は合力華通公司が事前に告知義務を履行したか否かである。

3.車両販売価格の値下げまたは優遇および車両内装のサービスは販売業者がよく行う販売戦略であり、当事者双方の協議の結果でもあり、これをもって合力華通公司が張莉に対し自動車に瑕疵があることを告知した背景の下、当人に対し値下げまたは優遇を行ったと推断することはできない。合力華通公司が提出した張莉の署名のある車両引渡し検収表は、合力華通公司が一方的に保管するものであり、備考欄の内容は当該会社の異なる人員が記入したものであることに加え、張莉がこれについて認めていないことから、当該検収表により張莉が車両の修復歴を了解していたと証明するには不十分である。よって、合力華通公司が自ら張莉に対し瑕疵の告知義務を履行したと説明した抗弁は信憑性にかけるため、合力華通公司は車両販売時に車両に存在する瑕疵を隠蔽し、詐欺行為があったものと認定し、車両を返品し代金を返還の上、更に張莉の損失を賠償するものとする。

4.上訴を棄却し、原判決を維持する。


筆者コメント:
1.企業が製品を販売しまたはサービスを提供する際、契約の取決め、消費者の署名確認などの方式を通じて、消費者に対し製品またはサービスにおける瑕疵の存在を告知する義務の履行を明確にした上で、関連証拠を保留しなければならず、さもなければ、瑕疵の告知義務が履行済みであることを証明できないために、故意の隠蔽、詐欺と認定され、更には関連賠償責任を負う恐れがある。

2.上述の判例において、裁判所は改正前の「消費者権益保護法」の規定に基づいて、被告の合力華通公司に対し代金の返還に加え、代金と同額の賠償(即ち、返金一賠償一)の判決を下したが、改正後の「消費者権益保護法」(2013年10月25日に可決、2014年3月15日から施行)の規定に基づいた場合、代金またはサービス費用の返還に加え、代金またはサービス費用の三倍に相当する賠償(即ち、返金一賠償三)となる。


法令リンク:
旧「消費者権益保護法」第四十九条など
現行「消費者権益保護法」(2013年改正)第五十五条など

(里兆法律事務所が2014年3月17日付で作成)

ユーザー登録がお済みの方

Username or E-mail:
パスワード:
パスワードを忘れた方はコチラ

ユーザー登録がお済みでない方

有料記事閲覧および中国重要規定データベースのご利用は、ユーザー登録後にお手続きいただけます。
詳細は下の「ユーザー登録のご案内」をクリックして下さい。

ユーザー登録のご案内

最近のレポート

ページトップへ