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ログイン2014年12月18日
2013年下半期から、国家外貨管理局は商品貿易、サービス貿易および外商投資、外債などの分野において一連の改革をスタートした。その中、特に注目すべきは、国家外貨管理局が2013年7月24日に「サービス貿易外貨管理法規の公布に関する通知」(匯発[2013]30号)を公布し、「サービス貿易外貨管理ガイドライン」およびその実施細則を発表し、同時に49項目の文書を廃止したことであり、外商投資企業のサービス貿易、収益と経常移転収支項目における外貨の決済手続きを大幅に簡素化し、企業により大きな外貨運用の自由を与えた。上記改革の実施から1年が経ち、本文では現行のサービス貿易外貨管理制度について再度の検証と整理を行う。
全体の趨勢
(一)行政許可を廃止し、銀行による審査に引き継ぐ
改革の実施後、外貨主管部門はサービス貿易の外貨決済について行政許可手続きを設けることはなく、審査の権限を銀行に委譲した。なお、本権限委譲の意義は審査主体の変化だけに止まらないことに注意が必要である。性質と分業の面から言えば、外貨主管部門は中国政府が外貨決済業務の適法性、真実性について管理を行う行政部門であり、外貨に対する審査には「実質性」審査の特徴を備えていた。一方、外貨指定銀行の外貨に対する審査は「形式上」の特徴を備えており(取引が真実性の原則に合致してさえいればよい)、通常、基本となる取引および外貨決済の実質性の問題に対し異議を唱える権利がない。見るところ、審査主体の外貨主管部門から銀行への変更は、サービス貿易外貨審査の性質の実質性審査から形式上審査への転換であるようにも見える。
(二)書類審査の簡素化、基本資料の明確化
外貨決済業務の審査根拠も改革において大幅な簡素化が行われた。これまでのサービス貿易外貨管理においては、各種業務にかかわる審査書類は数十種類もあったが、改革後はいくつかの普遍的な基本資料、例えば基本となる取引契約(業務の存在を証明する資料)、支払い請求書(費用が発生したことを証明する資料)などへと簡素化された。この他、これまで提出を求められていた主管部門の認可、届出に関する文書の大多数は、以後、審査のために提出する必要はない。
(三)小口取引の処理、国外留保の緩和
上述の相対的な緩和政策以外にも、今次改革は小口取引の直接処理、外貨収入の国外留保の2項目について、より直接的な緩和政策を発表した。小口取引において、単一取引5万米ドル相当以下のサービス貿易の外貨決済業務に対し、銀行は書類審査を行わずに、直接処理することができる。国外留保において、一定要求を満たす[1]国内企業グループは、所在地外貨主管部門に対し国外留保口座開設手続き申請した後、自ら獲得したサービス貿易收入、およびその他の認可を受けた収入を当該口座に留保した上、口座内の外貨を経常項目支出、国内戻入、およびその他の認可を受けた支出に用いることができる。
具体的な実施要求
外貨決済業務の具体的な実施要求について、業務分類に照らして、銀行側の審査要求は大まかに以下の通りである。
番号 | 業務 | 必要書類 | 注意事項 |
1 | 国際運輸 | 運輸発票/運輸伝票/運輸リスト | ― |
2 | 対外役務提携/請負工 | 契約、労務予算表/工事予算表/工事決算書 | 元請けが下請けに対し工事代金(外貨)の振替を行う際、下請け契約、請求書の提出が必要となる。 |
3 | 前期費用(対外請負工事の契約締結前) | 請求書 | 基本となる契約がない場合、銀行の審査は厳しいと思われる。未使用の外貨資金は遅滞なく国内に戻し入れなければならない。 |
4 | ロイヤルティーおよびライセンス料 | 契約、請求書 | ― |
5 | 利潤、配当金および特別配当金の対外支払い | 会計監査報告書、董事会決議、出資検証報告書 | 商事登記制度改革後、出資検証報告書は会社設立の必要書類ではなくなったが、外貨決済においては依然として必要である。 |
6 | 駐在員事務所事務経費 | 経費予算表 | 駐在員事務所は実際の営業活動に従事することはできないため、本項目における費用は、通常、高くはない。 |
7 | 技術輸出入 | 契約、請求書、技術輸出入許可証(ある場合) | 制限類技術の輸出入を行う場合、国内当事者は「技術輸出入許可証」を提供しなければならない。 |
8 | 国際賠償金 | 元の取引契約、賠償協議、賠償状況説明 | 現在の国際賠償金は依然として契約に基づいて発生している必要があり、基本となる契約がない状況においては、本項目における決済(特に対外支払い)を行う難度は高い。 |
9 | 関連会社間の費用立替/分担 | 元の取引契約、立替/分担契約、請求書 | 左記の資料以外にも、銀行は申請者に対し両者が関連関係にあることを示す証明、費用の立替/分担が実際に発生したことを示す証拠を提出するように求めるものと思われる。 |
10 | 外貨返金 | 元の取引書類、外貨返金状況証明 | ― |
11 | その他 | 契約、請求書、その他 | 原則として、大部分のサービス貿易業務において提出しなければならない資料には、いずれも基本となる契約、請求書が含まれており、明確な規定のないサービス貿易項目については、これら二つの資料の作成と保管は特に重要である。 |
表注:
(1)上述の「必要書類」が外国語で作成されている場合、銀行は通常、申請者に対し中国語訳の提供を求めるものと思われる。
(2)上記必要書類の他にも、単一取引5万米ドル相当以上のサービス貿易対外支払いを行う場合、企業は事前に「サービス貿易などの項目の対外支払い税務届出に伴う事項に関する国家税務総局、国家外貨管理局の公告」の規定に従い税務届出を行わなければならず、届出完了後に取得する「届出表」は、通常、銀行が外貨支払い手続きを行う際に提出を求める資料の一つである。
(3)「サービス貿易外貨管理ガイドライン実施細則」の規定に照らせば、各取引の外貨決済業務完了後5年間は、国内当事者は依然として当該取引の関連書類を確認ができるように保管しなければならない(一般的に、既に完了している外貨決済業務については、明らかな異常状況がない場合、外貨主管部門または銀行が事後に審査を行う可能性は高くないが、法律に明確な規定がある以上、企業は厳格に遵守することが望ましいと当所は考える)。
なお、サービス貿易の外貨は、経常項目における「包括的」性質を具備する分類であり、実務において、時には法律に明確な規定のない、銀行が処理したことのないサービス貿易業務が出現すると思われ、この場合、企業は事前における必要、十分な書面文書の締結に注意し、過程における外貨決済の規範的処理に注意し、事後における関連書類の保留などの問題に注意しなければならない。必要であれば、企業は弁護士事務所に依頼して銀行、外貨主管部門に対する確認、交渉を行い、外貨処理上のコンプライアンスと資金の支障のない決済を確保することが考えられる。
(里兆法律事務所が2014年10月20日付で作成)
[1]「サービス貿易外貨管理ガイドライン実施細則」
第十五条 国内機構のサービス貿易外貨収入の国外留保については、以下の条件を具備しなければならない。
(一)サービス貿易の外貨収入があり、且つ国外に持続的に支払い決済の必要があること。
(二)直近2年間に外貨管理規定違反行為がないこと。
(三)整備された国外留保内部管理制度を具備すること。
(四)貨物貿易と関連するサービス貿易に従事していること。
(五)国内企業グループが国外留保を行い且つ集中決済を実行する場合については、その国内外貨資金は集中運営管理が実施されていなければならないこと。
(六)外貨管理局が定めるその他の条件。
国内企業グループが集中決済を実施する場合、国内メンバー企業の一社(財務会社を含む)を手続き企業に指定して、国外留保業務に関与する全ての国内メンバー企業の国外サービス貿易外貨収入に対する集中決済を実施することができる。
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