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根保証に関係する期間について

中国ビジネスレポート 法務
郭 蔚

郭 蔚

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2019年12月10日

根保証は、特別な保証形態の1つであり、保証人と債権者とが約定し、債権者と債務者の間で一定期間に継続的に発生する極度額を超えない債権残高に対し保証責任を負うことをいう。「担保法」第14条によると、「保証人と債権者は、個別の主契約について、その都度、保証契約を締結することも、一定期間において継続して発生した金銭借入契約又は特定商品に関する取引契約について極度額の範囲内で一つの保証契約を締結することもできる」とされており、この条項が、根保証の存在する法的根拠である。

根保証という制度ができたのは、継続的取引に対応する必要からであり、取引操作及び与信確認行為の繰り返しを効果的に抑えることができ、効率面でより高い価値がある。しかし、現在、中国「担保法」及び係る司法解釈の根保証に関する規定はかなり簡単なものであり、実践上、根保証に係る紛争が頻発し、なかでも、根保証の各種期間(例えば、存続期間、決済期間、決済日など)に対する認識は、根保証の紛争を引き起こしやすい原因の一つである。よって、本稿では以下の判例に基づき根保証の特徴を踏まえ、根保証に係る期間の問題について簡潔に分析する。

債権者と債務者との間には、ある信用貸付協議書のもとで4件の貸付が存在し、貸付金額及び貸付期間はそれぞれ以下の通りであった。

貸付

貸付金額(通貨:人民元)

貸付期間

貸付A

300万

2015.06.01-2015.07.31

貸付B

200万

2015.07.01-2016.10.31

貸付C

100万

2015.10.01-2017.11.30

貸付D

100万

2016.12.01-2017.01.31

債権者と保証人との根保証契約の約定に基づくと、保証人は、信用貸付協議書に基づき債務者の2015年5月1日から2016年9月30日までの期間で発生する500万元を極度額とした貸付につき連帯責任保証を負うことになっており、保証人は、保証契約終了日の翌日から起算し1ヶ月間以内に債務を弁済しなければならず、保証期間は1年とされていた。

一、根保証の特徴

根保証の本質は担保方式の一種であるため、普通保証と同じく、根保証も単なる保証と連帯責任保証とに分けられる。なお、普通保証に比べ、根保証は独特な特性を持っており、以下の通り簡潔にまとめることができる。

(一)保証の存続期間が限定されること。根保証は一定期間内に発生し、又は発生し得る債務に担保を提供するものである。ここにいう「一定期間」とは、即ち「根保証の存続期間」であり、通常、当事者が根保証契約でこれを明確にする。当事者間で別段の定めがなければ、保証人は当該期間内に発生した債務のみについて保証責任を負い、定められた期間以外の債務について、保証人は保証責任を負わない。

(二)階担保債権の額に不確実性があること。普通保証によって担保されるのは明確に発生する債務であり、その債務額は当事者が契約に明記する。但し、根保証によって担保されるのは、将来の一定期間(即ち、根保証の存続期間)における不特定の債務である。不特定の債務が確定されるまでは、根保証で担保される債務の範囲は不明確なままである。

(三)極度額。根保証の保証人が担保する債務には不確実性があるものの、保証人が担保する債務に限度がないことを意味するわけではない。保証人は取り決めた極度額内で保証責任を負い、極度額を超えた部分については、保証人は保証責任を負わない。

(四)相対的な独立性。保証は担保方法の一つとして、通常、主たる債権に従属する。主たる債権が存在しなければ、保証債務が存続することはありえない[1]。しかしながら、根保証によって担保される債権には不確実性が伴い、また保証の存続期間が限定されるため、根保証によって担保される債権と1件の個別債務はそれぞれ独立している。つまり、根保証期間内において、1件の個別債務が無効になることによって根保証契約の効力に影響を及ぶことはなく、保証人が最終的な債権残高を算定する際に当該債務を除外するだけでよい。

二、根保証の期間

期間は根保証において、重要な役割を果たしている。期間の確定及び捉え方次第で、当事者間における権利行使と義務履行の境目は変わる。しかし、前述した通り、現行法律・法規には、根保証の規定がそれほど詳細なものではなく、係る期間の概念が不明瞭であったり、範囲がはっきりせず、適用に混乱が生じたりして、実務上、紛争が生じやすい。従って、本稿では現行法律法規、発効済みの司法判例及び筆者の実務経験を踏まえ、根保証に係る期間の問題について、以下の通り整理し分析する。

(一)根保証存続期間[2]

つまり、保証人は一連の債権につき責任を負う対象期間であり、「担保法」第24条にいう「一定期間」にあたるものであり、具体的には保証人と債権者が契約中で約定する。実際に約定する際には、具体的な開始日を明確に約定することができ、又は間接的に約定する方式を採用することもできる(例えば、基本取引契約を締結するのであれば、基本取引契約の有効期間を根保証の存続期間とする等である)。本稿の判例では、当該期間は「2015年5月1日から2016年9月30日まで」である。よって、貸付Dは根保証の存続期間以外に発生し、根保証の担保する債務範囲に該当しないため、保証人はそれについて保証責任を負わない、ということになる。

(二)決済

上述した根保証の特性に基づくならば、根保証の担保範囲は、一定期間内に継続して発生した、所定の債権極度額を超えない債務残高[3]である。しかし、債権残高が確定するまでは、保証人が負う保証責任の範囲は確定されないため、保証人に対し保証責任を負うよう要求する前提は、担保される債権を清算し、具体的な債権額を確定することであり、つまり、いわゆる債務の決済を行うことでもある。決済日は不特定の債権を確定する日である。

決済日の確定方式には以下の数通りがある。

1、

存続期間が満了した場合

債権者と保証人が保証契約で根保証の存続期間を明確に約定している場合、存続期間が満了した時点で、根保証の担保する債権額は確定される。この場合、「存続期間の満了日」が根保証の決済日となる。

2、

保証人が一方的な解除権を行使する場合

債権者と保証人が根保証の存続期間を約定しなかった場合、保証人は保証契約の終了を債権者に随時通知することができ、「通知の到達日」が根保証の決済日となる。[4]

3、

債権者と保証人が合意により保証契約を終了させる場合

債権者と保証人が合意により保証契約を終了させる場合、「保証契約の終了日」が根保証の決済日となる。

4、

債権の発生する可能性が以降なくなった場合

債務者が取り消された場合又は破産宣告がなされた場合、根保証により担保される債権の決済が行われる。この時、根保証により担保される不特定の債権が確定され、当該「不特定債権確定日(例えば、破産宣告日)」が根保証の決済日となる。

本稿の判例の場合において、保証契約を終了させるその他事由が存在しない場合、決済日の確定が対応するのは1つ目のパターンであり、つまり、決済日は2016年9月30日となる。但し、同日までに、債権者と保証人が合意により2016年9月30日よりも前に保証契約を終了する場合、当該終了日が決済日となる。

また、根保証の存続期間が満了する前に、保証契約を終了させることになるその他事由が存在しない場合、双方が保証契約において、債権者は1件の債権の違約により保証人に求償できると約定していれば、債権者が保証人に当該債務に係る保証責任を負うよう求めた時点でこの部分の債権は確定したとみなすことができる。相応に、最終的な決済を行う際に、当該弁償済みの債務は保証人の担保する債権極度額から控除すべきである。

(三)根保証の責任期間

根保証の責任期間とは、決済日以降、不特定債権額が確定され、債権者が保証人に対し当該確定債権を主張することができる期間をいい、即ち、普通保証における「保証期間」である。裁判所の判決書では、通常、「保証期間」という言葉でこの意味が表現される。

根保証の責任期間の起算について、実務において大きな物議を醸している。現時点での理論及び実践上の観点を踏まえると、おおよそ以下の数通りの起算方法にまとめることができる。

1、

共同での起算

決済日の翌日から起算する(保証人の債務弁済期限について約定していた場合、保証人の債務弁済期限満了日の翌日から起算する。[5]以下同じ)。

2、

債権ごとの起算

債権残高が確定された後、債権ごとに個別に起算する。

3、

期限ごとの起算

●決済日の前に弁済期限が満了する債務について、一律に決済日の翌日から起算する。

●決済日以降に弁済期限が満了する債務について、債務ごとの弁済期限満了日の翌日から起算する。

以上3通りの計算方法については、異なる利害関係者の立場から、それぞれメリット、デメリットがあり、利害得失を一概に論じることはできない。

1)共同計算の手法を採用する場合、根保証の責任期間が満了したが、1件の個別債務の弁済期間がまだ満了していない時点で保証責任を負うよう保証人に求めることは、明らかに公平の原則に反するものである。

2)債権ごとに個別に計算する手法を採用する場合、1件の個別債務の保証期間が根保証の存続期間内に満了する可能性がある。この場合、債権者は当該債務について保証人に保証責任を負うよう求めることができるのかどうかという疑問がでてくるが、もしのそれができないならば、債権者の利益を保護するうえでは明らかに不利であり、公平取引の理念にも適合せず、公平さに欠けてしまう。

3)期限ごとにそれぞれ計算する場合、相対的にみて合理的であるが、以下のような問題も存在する。

  • この計算方法は、保証期間の起算において相対的に複雑なことは明らかである。
  • これにより計算していくと、根保証の存続期間において、保証契約における1件の個別債務の弁済期間が満了したが、保証期間の計算がまだ開始されていない起算していない場合、債権者は決済日よりも前に当該債務について保証人に保証責任を負うよう求めることができない。

実践では、それぞれ司法機関ごとに保証期間に対する認定も異なるが、これもまた法律規定の曖昧さに起因するものであると考えられる。しなしながら、もしも各当事者が根保証契約で当該期間について、上述した3通りの方法のいずれかを選択し、明確な約定を行った場合、通常、司法機関は契約の約定に従い保証期間を確定することを支持するはずである。

本稿の判例では、一つ目の手法で計算すると、保証期間は2016年11月1日から起算し、2017年10月31日までとなる。この場合、貸付Cについては、弁済期限は到来していないが保証期間はすでに満了するという状況が生じる。二つ目の手法で計算すると、貸付A、B、Cの3つの債務の保証期間は別々に計算することになる。そのうち、貸付Aは保証期間が根保証の存続期間満了日よりも前に満了するという状況が生じる。三つ目の手法で計算すると、貸付Aの保証期間は2016年11月1日から起算し、2017年10月31日までとなり、貸付B、Cの保証期間はそれぞれ債務ごとの弁済期限が満了した日から起算する。

(四)保証人の債務弁済期限

「保証人の債務弁済期限」という概念の拠り所は「担保法司法解釈」第37条である。この概念を定めたのは、根保証の期間の特性に合わせるためだとする見方もある。なぜならば、普通保証の場合、保証契約で保証期間を約定していなければ、主債務の弁済期限をもって保証期間を明確にすることができるが、主債務の弁済期限に基づいて根保証の保証期間の起算点を特定できない状況においては、保証人の債務弁済期限を取り入れることによって係る保証期間の起算点を明確にする必要がある。

本稿の判例での、「保証人は保証契約の終了日の翌日から起算し1ヶ月以内に債務を弁償しなければならない」の「1ヶ月」という期間は保証人の債務弁済期限である。本稿の判例の中でのこのような設定は、この概念を引き出すためであるが、実践では、この概念についても論議を呼んでいる。まず、実践において当事者がこの概念を十分に理解できておらず、これについて約定されていることも少ない。次に、「担保法司法解釈」第37条の文言を見る限り、この概念は当事者が保証期間について約定しておらず、又は約定がはっきりとしていない状況に対し引き出されるものである。保証期間が約定されている場合、前述した(三)点目の根保証の責任期間に関する3通りの計算方法から、この概念は保証期間の起算点の特定についてあまり役に立たず、かえって、保証期間の起算を特定することを難しくしている。例えば、通常、保証人が保証契約の終了日に弁済すべき債務は、履行期限が満了した債務でなければならない。保証契約の終了日の時点で弁済期限が到来していない債務には、保証人の債務弁済期限が適用されるのか、適用されるならばどのように適用されるべきなのか、などである。よって、当事者が根保証契約において、保証人の債務弁済期限を加えたいと考えるならば、その起算方法も同時に明確にしておかなければならない。

最後に、上記内容を踏まえ、文頭の判例に言及される期間について、簡潔に整理してみる。

本案件では、根保証の存続期間は2015年5月1日から2016年9月30日までである。当該債権について別途決済を行う状況が存在しない場合、決済日は存続期間の満了日、つまり2016年9月30日である。決済後の債権残高は600万(A:300万 + B:200万 + C:100万)となる。根保証の責任期間(保証期間)は一年である。保証人の債務弁済期限は1ヶ月であり、保証契約期間の満了日(つまり2016年10月1日)から起算する。貸付Dは保証契約の存続期間外に発生したものであり、保証人は当該債務について保証責任を負わず、保証人が負う保証責任の極度額は500万である。責任期間を如何にし計算するのかは、当事者が契約での具体的な約定により確定される。前述した3通りの保証期間の計算方法をそれぞれ本案件に適用するとどのように計算するのかは、すでに前文に述べた通りであり、ここでは割愛する。

以上から、現在、中国法律の根保証に関する規定はさらなる整備が強く望まれるものであることは想像に難くない。法律法規が相対的に欠如している現状では、根保証契約における約定そのものが、往々にして当事者間の紛争において重要な役割を果たしている。よって、自己の利益をしっかりと守るために、当事者が根保証契約を作成する際には、係る期間の概念を把握したうえで、的確な契約条項を設定していくことが必須である。

(里兆法律事務所が2018年12月11日付で作成)

 

[1]中国では、独立保証状の法的な効力が認められているものの、独立保証状は特定のケースにしか適用されない。具体的には「独立保証状紛争案件審理の若干事項に関する最高人民法院の規定(法釈[2016]24号)」を参照のこと。

[2]実務では、裁判所の判決において「決済期」を用いてこの概念を表すこともある。

[3]「担保法司法解釈」第23条規定では、「根保証契約における不特定の債権が確定した後、保証人は債権極度額内で一定期間に継続して発生した債権残高について、保証責任を負わなければならない」とされている。

[4]「担保法」第27条では「継続して発生する債権について、保証人が本法第14条の規定に従って保証したが、保証期間を約定していなかった場合、保証人が書面で債権者に通知することにより、保証契約を随時終了させることができる。ただし、通知が債権者に到達する以前に発生した債権については保証人が保証責任を負う。」と規定している。本条は普通保証を対象としたものであり、根保証の場合は、ここの「保証期間」を「根保証の存続期間」に読み替えるべきである。

[5] 「担保法司法解釈」第37条:根保証契約において、保証期間について約定していない場合又は約定が不明確な場合、根保証契約において保証人の債務弁済期限を約定していれば、保証期間は弁済期限の到来日から6ヶ月間とする。債務弁済期限を約定していない場合、保証期間は根保証の終了日又は債権者が保証人から受け取った保証契約終了の書面による通知到達日から6ヶ月間とする。

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