1. はじめに

情報技術が生産、生活に欠かせないものとなるにつれ、様々なデータが急増し、大量に集められるようになり、データ安全は国家の安全と経済社会の発展に関わる重大な問題となっている。これを背景に、世間の大きな関心が集まる「中華人民共和国データ安全法（草案）」（中国語：数据安全法、以下、「草案」という）は、2020年6月28日に全人代常務委員会会議の審議を経て、7月3日から8月16日まで意見募集が行われた。この草案は、データ安全分野での基礎的な法律として、データ安全を保護する一方、データの自由な流動・開発利用の促進も図るものとなっている。今後、データ安全法の正式採択により、中国のデータ安全に関する基本制度及び管理体制がより明確にされることとなる。本稿は、草案の主な内容を解説しつつ、企業としてのデータ利用過程における注意事項について述べるものとしたい。