－中国個人情報の越境移転に関する対応への影響

1．はじめに

2023年9月28日に国家インターネット情報弁公室が「データ越境流動の規範と促進に関する規定」の意見募集稿（以下、「新規定案」という）を公表した。新規定案はまだ意見募集の段階（意見募集期間は10月15日まで）にあり、正式公布の時期は定かではないが、一般企業によるデータ越境移転の大幅な規制緩和が見込まれる。

2022年9月1日に「データ越境移転安全評価弁法」、2023年6月1日に「個人情報越境移転標準契約弁法」がそれぞれ施行されて以来、多くのグローバル企業はデータ越境移転安全評価の申告や標準契約（以下、「SCC」という）の届出などの作業に積極的に取り組んできた。一方、企業に不合理に過度な作業負荷を与えたという不満の声も少なくない。今回の新規定案が正式に公布される場合、中国における個人情報越境移転への対応に大きな影響が及ぶことが予想される。そこで、本稿では新規定案のポイントを説明しつつ、企業の実務への影響及び今後の対応について解説したい。