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オンライン公演イベント(番組)事業の適正化に関する通知(意見募集案)を読み解く

中国ビジネスレポート 法務
包巍岳

包巍岳

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2023年5月17日

2022年9月26日に、文化・観光部が「オンライン公演イベント(番組)事業の適正化及び業界の健全かつ秩序ある発展の推進に関する文化・観光部による通知(意見募集案)」(以下「意見募集案」という)を公表し、パブリックコメントを募集している。同意見募集案の主な内容について、以下の通り簡潔に読み解く。

1.意見募集案では、主にライブ・エンタテインメント市場における新たな業態に焦点を当てている。

コロナの影響により、一部企業はライブ配信又は録画配信の形で、コンサートなどの公演内容をインターネットを通じて提供するようにしているが、このような手法による公演は、無観客での公演になるなど、従来の営利目的の公演とは大きく異なるため、企業は「営利目的の公演管理条例」及びその実施細則の要求に従い、地方文化・観光行政部門にて演出許可を申請することができないことになっていた。そこで、今般、ビジネス環境の最適化を図り、企業を経営難から脱出させ、オンライン公演イベント(番組)という新業態の健全かつ秩序ある発展を後押しすべく、文化・観光部は意見募集案を起草した。

2.意見募集案では、営利目的の公演のオンラインライブ配信であるか、オンライン公演イベント(番組)事業であるかを問わず、いずれの場合においても、企業が具備すべき資格条件について、既存の規定に大きな変化をもたらすような条件は追加されていない

今回の意見募集案では、「音楽会、コンサート、音楽祭、舞台演劇(オペラ、ストレート・プレー、舞踊劇、ミュージカル等を含む)、曲芸、雑技及び国外の特色のある舞台芸術等の公演」に係るサイバーカルチャー製品を「オンライン公演イベント(番組)」に組み入れて管理するとしている。これは一見すると、新しいルールが設けられたかのように見えるが、実際には、現行規定を詳細化したものである。

「サイバーカルチャー管理暫定規定」及び「『サイバーカルチャー経営許可証』審査許可範囲の調整及び審査許可作業のさらなる適正化に関する文化・観光部弁公庁による通知」の規定によると、以下の通りである。

● サイバーカルチャー製品とは、インターネットを通じて形成され、配信され、流通される文化製品を指し、それには、主に次のものが含まれる。(一)インターネットコンテンツのために形成されたオンライン音楽・エンターテインメント、オンライン公演イベント(番組)オンラインパフォーマンス、オンライン芸術品、オンラインアニメーション等のサイバーカルチャー製品;(二)音楽・エンターテインメント、公演イベント(番組)、パフォーマンス、芸術品、アニメーション等の文化製品を一定の技術的手段により制作し、インターネットに複製して配信されるサイバーカルチャー製品。調整後の「サイバーカルチャー経営許可証」の審査許可範囲には、オンライン音楽、オンライン公演イベント(番組)、オンラインパフォーマンス、オンライン芸術品、オンラインアニメーション及び展示、コンテストが含まれる。

● オンラインパフォーマンスとは、オンラインにおいて実演家が行う生演奏・演劇などを主な内容とし、インターネット、移動体通信ネットワーク、モバイルインターネット等の情報ネットワークを通じて、リアルタイムに配信される、又は音声・動画形式でアップロードし配信されるサイバーカルチャー製品を指す。電子商取引、教育、医療、研修、金融、観光、グルメ、スポーツ、雑談系番組のライブ配信は、オンラインパフォーマンスには該当しない。

● オンライン公演イベント(番組)とは、舞台現場で行う生演奏・演劇などを主な内容とし、インターネット、移動体通信ネットワーク、モバイルインターネット等の情報ネットワークを通じて、リアルタイムに配信され、又は音声・動画形式でアップロードし配信されるサイバーカルチャー製品を指す

3.営利目的の公演のオンラインによるライブ配信及びオンライン公演イベント(番組)に関して、下表の通り簡潔に説明する。

分類

営利目的の公演のオンラインによるライブ配信

オンライン公演イベント(番組)

概念

● 国内において有観客の営利目的による公演を実施し、且つオンラインによるライブ配信をする場合、並びに営利性公演会場で音楽、ダンス、芝居等の演劇に係る動画の放映、又はオンライン視聴サービスを提供する場合。

● 音楽会、コンサート、音楽祭、舞台劇(オペラ、ストレート・プレー、舞踊劇、ミュージカル等を含む)、曲芸、雑技及び国外の特色のある演劇等の公演・イベント(以下「舞台公演・イベント」という)をインターネット、移動体通信ネットワーク、モバイルインターネット等の情報ネットワークを通じて、リアルタイムに配信される、又は音声・動画形式でアップロードし配信されるサイバーカルチャー製品。

状況

①  国内において有観客の営利目的による公演を実施し、且つオンラインによるライブ配信を行う場合。

②  営利性公演会場で音楽、ダンス、芝居等の演劇に係る動画の放映、又はオンライン視聴サービスを提供する場合

①  国外で行われる舞台公演・イベントをオンラインによりライブ配信する場合

②  録画制作された舞台公演・イベントを音声・動画形式でインターネットを通じて提供する場合

③  インターネット配信のために制作された、無観客の舞台公演・イベント又はバーチャル舞台公演・イベントを提供する場合

④  個人のライブ配信ルームから舞台公演・イベントを提供する場合

資格

A.     公演実施業者は「営利性公演許可証」を有し、且つ文化審査許可手続きを行わなければならない。

B.     オンライン配信サービス業者は「サイバーカルチャー経営許可証」を有しなければならない。

A.     オンライン公演イベント(番組)事業に従事する場合、「サイバーカルチャー経営許可証」を取得しなければならない(経営範囲には「オンライン公演イベント(番組)」が含まれていること)。

関連規定

● 公演実施業者は申告手続きにあたり、オンライン配信サービス業者の許可証、配信サイト及び緊急時対応案などの材料も併せて提出しなければならない。

● オンライン配信サービス業者は、専任の担当者を設けて、公演内容、字幕表示されたコメント内容などについてリアルタイムに審査・チェックし、法規で禁止されている内容が含まれることを発見次第、直ちに削除、ブロック、リンク遮断など必要な措置を講じたうえで、後の検査に備えるべく、動画資料を少なくとも60日間以上保存しなければならない。

輸入版及び国産のオンライン公演イベント(番組)について、管理ルールを設けている。

–          輸入版オンライン公演イベント(番組)を提供する場合、文化・観光部に報告し、コンテンツ審査を受けなければならない。コンテンツ審査に通過してからはじめて、ユーザーに提供することができる。

–          国産オンライン公演イベント(番組)を提供する場合、ユーザーに提供した日から30日以内に、文化・観光部にて届出手続きを行わなければならない。

–          輸入版オンライン公演イベント(番組)とは、出演者には国外の実演家が含まれる、又は開催地、録画制作地が国外にある、又はバーチャルキャラクター、バーチャル舞台での公演・イベントの著作権が外資機構若しくは国外人員に帰属するオンライン公演イベント(番組)を指す。

オンライン公演イベント(番組)のコンテンツについて、管理ルールを設けている。

–          オンライン公演イベント(番組)には、「サイバーカルチャー管理暫定規定」第十六条により禁止されている内容が含まれていてはならない。

–          オンライン公演イベント(番組)事業者は、コンテンツ管理制度を完備し、コンテンツ管理部門を個別に設置し、コンテンツ審査作業のニーズに適合する専門スタッフを配置し、オンライン公演イベント(番組)のコンテンツ管理にあたらせ、字幕表示されたコメント内容等、ユーザーによって生み出されたコンテンツに対するリアルタイムモニタリングを強化しなければならない。

–          ライブ配信方式により提供されるオンライン公演イベント(番組)は、ディレイ放送方式で配信され、且つ専任の担当者を設けて、オンライン公演イベント(番組)に対するリアルタイムモニタリングを実施させなければならない。もしコンテンツに問題があることを発見した場合、一刻も早くブロックし、速やかに処置を講じなければならない。

根拠規定

● 営利目的の公演管理条例及びその実施細則

● 「放管服(行政簡素化と行政権限の委譲、行政権限の委譲と管理の両立、サービス向上)」改革の推進 演出市場の繁栄発展促進に関する文化・観光部による通知(文化・観光市場発[2020]62号)

● サイバーカルチャー管理暫定規定

● 「サイバーカルチャー経営許可証」審査許可範囲の調整、審査許可作業のさらなる適正化に関する文化・観光部弁公庁による通知(弁市場発[2019]81号)

簡潔な説明

「有観客のリアル公演」を前面に押し出し、オンラインライブ配信又はオンラインによる視聴は、あくまでも、その延長線上のものでしかないことを強調しているる。即ち、国内でのリアル公演(主要)+ライブ配信方式の場合は「営利目的の公演のオンラインによるライブ配信」になる

リアル公演が廃止されたというわけではないため、従来型の営利目的の公演に係る審査許可手続きは影響を受けていない。ただ、インターネット放送方式を追加で提供する場合には、配信業者は「サイバーカルチャー経営許可証」を取得する必要があるということになっている

「サイバーカルチャー製品」そのもの、及びコンテンツは、「インターネット」を経由して配信されるという特徴を前面に押し出し、視聴者はオンライン上のみで視聴できることを強調している。即ち、公演+ライブ配信/録画配信方式(主要)の場合は「オンライン公演イベント(番組)」になる

同じくサイバーカルチャー製品の部類に属する「オンライン公演イベント(番組)」と「オンラインパフォーマンス」については、両者の区別がつきにくいところもあるが、いずれの場合においても、事業者は「サイバーカルチャー経営許可証」を取得しなければならない

総じて言えば、意見募集案は、正式に発効している法規範文書ではなく、尚且つ意見募集案には、一部漠然とした記載になっていた箇所もあった(例えば、「営利目的の公演場所で音楽、ダンス、芝居等の演劇のビデオ放映、又はオンライン視聴サービスを提供する場合」とは一体具体的にどのような場合を指すのか、「オンライン公演イベント(番組)」と「オンラインパフォーマンス」の見分け方、「オンライン公演イベント(番組)」に対する管理については、「オンラインパフォーマンス事業管理弁法」が適用されるのか、など)。こうした状況のもとでは、営利目的による公演のオンラインライブ配信、オンライン公演イベント(番組)とオンラインパフォーマンスとを見分けることが難しい場合があるであろう。従って、ライブ・エンタテインメント市場における新業態の健全かつ秩序ある発展を後押しすべく、今後公布される正式文書を通じた、上記内容の明確化が待たれるところである。いずれの場合においても、従来型の営利目的のリアル公演実施業者にいたっては、公演内容についてインターネット放送サービス(ライブ配信であるか又は録画配信であるかを問わない)を提供しないときには、「サイバーカルチャー経営許可証」の取得は不要とされている。

(作者:里兆法律事務所 包巍岳、曽潔)

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