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ログイン2024年4月15日
近年、中国の「ビジネス環境の最適化」政策が絶えず掘り下げ推し進められていくにつれ、経営範囲を含む企業の経営登記に関する法律法規及び実践上の監管要求が絶えず更新されている。本文では、係る企業の参考に資するため、企業が最近の経営過程においてよく目にする経営範囲にまつわる事項をまとめた。
Q1:2022年3月1日までは、「企業経営範囲登記管理規定」によって、企業は「国民経済業界分類」に準じて経営範囲を設定しなければならないと定められていた。2022年3月1日以降は、「事業主体登記管理条例」及びその実施細則が前述の規定を廃止し、企業に対し「経営範囲規範目録」に従い、経営範囲を設定するよう求めている。企業は期日までに係る調整をしなければならないのだろうか?
A1:「経営範囲規範目録」と「国民経済業界分類」は、たしかに完全には相容れないものであり、多くの既存企業の経営範囲の文言は、「事業主体登記管理条例」の要求には既に適合しなくなっている。今のところ、期限付きでの調整を求める明確な規定はまだないが、大部分の地域[1]での実践上の監督管理政策は以下の通りである。
1)新しく設立する企業は、「経営範囲規範目録」の規範的文言に従い、経営範囲を設定すること。
2)既存企業の場合は、経営範囲の増減が生じないならば、既存の経営範囲の文言を調整して変更登記手続きを行うことを強制的には求めず、元の経営範囲を引き続き使用することができる。経営範囲を増減する場合は、「経営範囲規定目録」に従い、すべての経営範囲の文言を規範化し、経営範囲変更登記手続きを行う必要がある。
Q2:既存の経営範囲内で具体的にどのような業務を展開できるかをどのように確認することができるか?
A2:管轄の市場監督管理部門の業務窓口に直接に確認する以外に、企業は以下の方式で自ら確認することができる。
1)「経営範囲規範目録」に基づいた規範的文言化処理を行っていない経営範囲は、「国民経済業界分類」に従って設定しているため、基本的には「2017国民経済業界分類注釈」に準じて、係る経営範囲に含まれる具体的な業務を確認することができる。
2)「経営範囲規範目録」に基づいた規範的文言化処理を行った経営範囲は、「経営範囲規範的文言照会システム(試用版)」での検索を通して、係る経営範囲に含まれる具体的な業務を確認することができる。
Q3:企業は経営範囲を任意に増減し、又は変更することができるのか?
A3:企業の経営範囲は「許可経営事項」と「一般経営事項」に分けることができ、この両者の増減や変更の要件には違いがある。
1)「許可経営事項」はさらに「事前許可事項」[2]と「事後許可事項」[3]という二種類に分けられ、それぞれ以下のとおりである。
●事前許可事項は、業務主管部門を通じて審査許可手続きを行った後で、はじめて市場監督管理部門において経営範囲の増減又は変更の登記手続きを行うことができる。
●事後許可事項は、まず市場監督管理部門にて経営範囲の増減又は変更の登記手続きを行い、業務主管部門での審査許可手続きを行えば、具体的な許可業務を実際に展開することができる。
2)「一般経営事項」は経営範囲の種類によって、経営範囲の増減又は変更の要求が異なる。
●貿易類の経営範囲は、原則として自由に増減し又は変更できる。
●生産類の経営範囲は、増減又は変更には、原則として、法律法規及び監督管理政策上設定された当該生産類業務に必要なハード及びソフト面での条件、もしくは要求[4]を満たす必要がある。
Q4:企業は経営範囲を超えて経営活動を行うことはできるのか?
A4:2021年6月3日に、国務院が発布した『「証照分離」改革を掘り下げ、事業主の発展、活性化を更に図ることに関する通知』では、企業が経営範囲を超えて許可類以外の経営活動を行うことについて、市場監督管理部門は処罰しないと明確に定めている。したがって、市場監督管理部門の視点から見るならば、企業は経営範囲を超えて許可類以外の業務を扱うことができる。
しかしながら、税務監督管理の立場からは、企業が経営範囲を超えて業務を行う場合、事実に基づいて発票を提供しなければならないと求められており、このことから、経営範囲を超えて発票を提供することでの異常が生じるおそれがあることがわかる(例えば、発票システムで係る税率の発票を発行できない、申告異常など)。慎重を期して、次のように取り扱うとよい。
1)一時的に行うだけの業務は、主に以下の2つの作業を完成させておく必要がある。①税務部門に赴き、係る税目と課税品目を査定すること。②「税控盤」を持参し、再発行すること。具体的に経営範囲を変更しなければならないかどうかは、企業所在地の実際の監督管理状況に基づき決める必要がある。
2)日常的に取り扱う業務については、市場監督管理部門を通して、経営範囲の変更登記手続きを行う。
Q5:分公司の経営範囲は本社を超えてもよいか?
A5:「事業主体登記管理条例」では、分公司の経営範囲が本社を超えてもよいどうかについて、まだ定めがないが、実務上の監督管理政策は通常、以下の通りである。
1)国家市場監督管理部門の次元においては、分公司の経営範囲はそれが属する企業の経営範囲と同じでなくてもよいが、分公司の経営範囲等の登記情報はそれが属する企業が押印し確認しなければならはいことを明確にしている。
2)地方市場監督管理部門の次元においては、市場監督管理部門の態度は地域によって異なる。企業が属する市場監督管理部門の具体的な監督管理意見に従う必要があるとする地域(例えば、上海)もあれば、国家市場監督管理総局の意見に一致すると明確にしている地域(例えば、淮北、六安、揚州)もある。
上記の情況に鑑みて、企業は分公司に本社が登記している経営範囲以外にも経営活動を行わせる必要がある場合、事前に管轄の市場監督管理部門に個別に確認のための相談を行っておくとよく、その相談の際には国家市場監督管理部門の意見を引用して更なる説明を行うようにするとよい。
Q6:経営範囲内の業務はすべて実際に展開しなければならないのか?実施しなかった場合、なにか影響があるか?
A6:経営範囲は、企業が取り扱うことのできる業務分野を意味するだけであり、どのような業務をいつ、どのように具体的に展開するかは企業の意思自治の範疇に該当する。そのため、企業を新たに設立する段階においても、存続している段階においても、企業はいずれもその経営範囲に記載されたすべての業務を実際に行う必要はなく(ただし、生産性経営業務の場合は、実際に業務を扱わなければ、調整を求められるおそれがある)、実際に行わなくとも、原則として、企業に不利な法律責任が生じることはない[5]。
Q7: 営業許可証に記載されている経営範囲は、許可証に記載された許可内容と必ず一致していなければならないか?
A7:一般的に、営業許可証に記載された経営範囲と許可証に記載された許可内容は、文言上必ずしも一致しているとは限らないが、両者の関係は、業務上対応しているはずである。
更に言うと、営業許可証には承認文書又は許可証の具体的な内容までは記載しておらず、記載されている経営範囲の中の関連する許可経営事項は、いずれも規範的条目を使用して登記している。企業が許可経営事項に従事することに関する具体的な条件、範囲及び期限は、原則として関連する承認文書、もしくは許可証にて規範化し、限定されている。
Q8:入札募集・応札における企業の経営必須条件、資格に関する要件は、企業の経営範囲を指しているのか?
A8:そうではない。「入札募集・応札過程における企業経営必須条件資格審査作業を更に規範化することに関する通知」では、入札募集者は入札募集活動において、営業許可証に記載された経営範囲を応札者の経営必須条件資格の判断根拠としてはならず、応札者営業許可証に記載された経営範囲にある特定な文言を採用し又は明確にある特定の経営範囲の内訳の記載を応札、加点、又は落札の条件としてはならないと明確に定めている。
その中で、上記の経営必須条件資格は、主に企業がある特定の業務に従事するために業務主管部門から取得しなければならない行政許可又は必須条件資格認証(例えば、前述Q3に言及した事前許可事項、事後許可事項)をいう。
(作者:里兆法律事務所 裴徳宝、李繁)
[1] 確認できる限りでは、上海、深圳、蘇州、杭州、四川、陝西、山西、広西、雲南、重慶、山東、湖南、遼寧、黒竜江などの地域ではすでに当該監督管理政策を実施している。
[2] 主に「企業登記の事前審査許可事項リストの調整に関する国家市場監督管理総局による通知」、「外商投資参入許可特別管理措置(ネガティブリスト)」(自由貿易試験区を含み、主に外商企業に適用する)などの法律法規に挙げられる項目である。
[3] 主に各省が「行政許可事項の一部廃止・委譲に関する国務院による決定」に従い、各自の工商登記事後審査事項目録を作成する。例えば、「北京市工商登記の事後審査事項目録に関する通知」、「重慶市工商登記の事後審査事項目録」である。
[4] 例えば、①定まった生産経営場所を有し、且つその場所の面積は要求を満たす必要がある(面積要件は生産類の経営範囲によって異なることがある)。②一部の生産場所は環境評価手続きを行う必要がある。
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