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ログイン2024年6月25日
「外商投資環境の更なる最適化による外商投資誘致の強化に関する国務院による意見」(国発〔2023〕11号、以下「意見」と略称する)が2023年8月13日に公布された。「意見」は計24条の政策措置を打ち出し、外資利用の質の向上や外商投資企業の内国民待遇の保障、外商投資の保護の継続的な強化、投資運営の利便化レベルの向上、税制上の支援の強化、外商投資促進方式の整備などの方面で具体的な意見と要求を提唱し、外商投資環境のさらなる最適化、外商投資誘致の強化に力を入れるものである。
■「意見」の施行背景
今年2月以降、中国が吸収利用した外資額は前年同期比でのマイナス成長となった。一部の国は中国に対して「つながりを断つ」又は「リスクを取り除く」政策の実施を絶えず推進している。米国は先頃、対外投資審査行政令も公布した。このような背景の下、「意見」は制度の形で、国外投資家の中国での利益を確実に保護し、国内投資環境を最適化して外国投資家の投資をより大きく誘致しようというものである。
■「意見」の主な特徴
1.対外開放の範囲と奥行を拡張する
「意見」は重点分野が外資導入に力を入れるよう要求し、明確に挙げられた業界、分野及びプロジェクトにはバイオ医薬、現代サービス、デジタル経済、ハイテク分野などが含まれ、具体的には以下の通りである。
(1)バイオ医薬の分野において
ハイテク提携について、バイオ医薬という最前線の分野に焦点を合わせ、バイオ医薬分野の外商投資プロジェクトのその地に定着した操業を加速させ、外商投資企業が法に依拠し国内において、海外で上場後の細胞と遺伝子治療薬品の臨床試験を展開することを奨励し、上場後の海外生産医薬品を国内生産に切り替えた薬品の上場登録申請の申告手続きを最適化する。
(2)現代サービスの分野において
サービス業の拡大開放総合試験モデルの先行試験に力を入れ、知的財産権、株式及び係る実体資産を組み合わせた質権設定融資の展開を奨励し、知的財産権の証券化の規範的探索を支持する。株式投資とベンチャー投資のシェア譲渡試行地域を秩序立てて増やす。
(3)デジタル経済の分野において
新興分野への参入許可において、一部の付加価値電信試行範囲拡大を提出し、外資企業のデジタル経済新分野への参入を支持する。これには、国内インターネット仮想専用通信網業務(外資株比率50%未満)、情報サービス業務(アプリケーションストアのみ、ネット出版サービスは含まない)、インターネットプロバイダサービス業務(ユーザーにインターネット接続サービスを提供するのみ)等の付加価値電信業務の開放試行地域の着実な増加が含まれる。
(4)ハイテク分野において
国内企業と共同で技術研究の開発と産業化の応用を展開し、外商投資企業及びその設立した研究開発センターが重大な科学研究難関攻略プロジェクトを担うことを奨励する。それと同時に、先進的な製造、現代サービス、デジタル経済などの分野での外商投資企業が各種の職業大学(技術科学大学を含む)、職業訓練機構と職業教育と訓練を展開することを奨励支持する。
全体としてみると、外商投資を奨励する重点分野は依然としてハイテク分野にあり、質の高い発展と現代化産業システムの構築の重要なガイドラインである。
2.外商投資ルートの開放を拡大する
「意見」は、条件に合致する外国投資家が投資性会社、地域本部を設立することを奨励しており、係る投資性会社が投資設立した企業は、国の関連規定に基づいて外商投資企業の扱いを受けることができる。適格外国人有限責任組合員(QFLP)による国内投資を掘り下げて試行し、QFLP外貨管理の円滑化制度を確立し整備し、募集した海外人民元をもって国内関連投資を直接に展開することを支持する。
注意すべき点としては、「意見」にいうQFLPは国外投資家が中国国内の資本市場投資に参加するうえでの重要なルートの一つであり、より多くの良質な資金がQFLPを通して中国の科学技術革新、グリーンな発展、デジタル経済など実体経済の発展の重点分野を支持するよう進めていくうえで有利である。[1]
3.外商投資企業の内国民待遇の保障
本「意見」が要求する具体的な措置には以下のものが含まれる。
(1)政府調達方面において
外商投資企業が法に基づき政府調達活動に参加することを保障し、「中国国内生産」の具体的基準をさらに明確にする。外商投資企業は、政府の調達活動により権益が損なわれたと考える場合、疑問や苦情を提起することができる。
(2)標準制定において
外商投資企業が法に依拠して標準制定に平等に参与することを支持し、外商投資企業が企業標準を自ら制定し又は他の企業と共同で制定し、標準化サービスを展開することを奨励する。
(3)支持政策の享受において
外商投資企業が支持政策を平等に享受するよう確実に保証し、法律に明確な規定があり又は国家安全分野に関連するものを除いては、ブランドを限定し又は外資ブランドであることを理由に外商投資企業及びその製品とサービスを排斥し又は差別してはならない。
このような措置は、内国民待遇原則の貫徹実施であり、政府調達や標準制定、支持政策などの方面で「内資と外資の一致」原則を貫徹し、法に基づいて外資企業を平等に保護することは、国外投資家の投資における自信を高め、外商投資企業の経営秩序を安定させるうえで有利である。
4.外商投資保護を強化し、投資運営の利便化を提供する
「意見」は、知的財産権の行政面での保護を明確に強化し、薬品と医療用消耗品の調達分野の知的財産権保護を強化し、知的財産権の行政法執行に力を入れ、オンラインとオフラインの一体化法執行メカニズムを確立し整備する。外商投資企業から常にフィードバックされる問題点と法的需要として、知的財産権は、確かに海外投資家が外商直接投資と買収合併を行う際に重点的に考慮する要素であり、知的財産権保護に対する強化はソフトパワーに長けた海外投資家の投資誘致に有利である。
また、「意見」は、外商投資企業の外国籍エグゼクティブ、技術者本人及び家族に出入国、滞在居留の便宜を提供する。条件に合致する外商投資企業のために優先措置を講じ、重要なデータと個人情報の国外移転安全評価などを効率的に展開する。
5.税制上の支援を強化する
「意見」は、外商投資企業に対する税収優遇政策を明確に実行に移すものであり、例えば、国外投資家が中国国内の居住民企業から分配する利益について、条件を満たす直接投資においては源泉所得税を徴収せず、国が発展を奨励する外商投資プロジェクトが輸入する自家用設備については、免税扱いとしない商品リストに記載されている商品を除き、輸入関税を免除し、条件を満たす外資研究開発センターが、国内で生産できず又は性能がニーズを満たすことのできない科学研究、科学技術開発用品を輸入する場合は、輸入関税と輸入増値税、消費税など[2]を免除する。また、外国籍の個人は、国の関連規定に基づき住宅手当、語学訓練費、子女教育費などの補助手当免税優遇政策を受ける。
終わりに
全体としてみると、「意見」は主に外商投資ルートの拡大、外貨管理制度の利便化、及びグローバルに足並みをそろえる体制メカニズムの構築において具体的な措置を打ち出し、外商投資企業のために良好な環境を効果的に構築し、中国における掘り下げた発展の実現に資するものである。
(作者: 里兆法律事務所 董紅軍、黄蓉蓉 2023年12月)
[1] 「中国ビジネス環境は強力な「磁吸力」を放出し、多国籍企業は中国での投資を持続的強化する」、中国金融新聞網、
https://www.financialnews.com.cn/gc/ch/202308/t20230817_277122.html
[2] 「外商の中国での投資の自信を高める『外資誘致24条』は、外資企業の核心的要請の解決を急ぐものである」、法治日報、
http://h5epaper.legaldaily.com.cn/content/20230818/Articel07002SR.htm。
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