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中国における中薬産業の法的規制および投資参入

中国ビジネスレポート 法務
邱靖

邱靖

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2024年6月28日

はじめに

中華民族が千年にわたり受け継いできた偉大な創造物と文化の宝として、中薬産業の継承・保護・発展は、中国の医薬産業の発展においてますます重要視され、中薬の発展は国家戦略に格上げされている。中薬業界の核心である中薬も、その法的規制および投資参入は世界から広く注目され、2023年10月18日に開催された第3回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムの開幕式で、中華人民共和国国家主席は基調演説を行い、中国が製造業分野の外資参入制限措置を全面的に撤廃する意向を示し、これは、既存の規制(「中薬飲片(刻み生薬)における蒸す、煎る、炙る、焼く等の加工処理技術の応用および中成薬の秘伝処方製品の生産への投資を禁止する」が緩和される可能性があることを意味する。このような背景のもと、本稿では、中国の中薬産業に対する法的規制および外資参入の要件について概説する。

本文

Q1: 中国の現行法律法規における「中薬」の定義は?

A1: 国家薬品監督管理局が2020年9月27日に公布・施行した「中薬の登録分類および届出資料の要件」において、「中薬」は「中国の中医薬理論の指導に基づいて使用される薬用物質およびその製剤」と明確に定義され、2022年5月9日に公布された「医薬品管理法実施条例(改正草案パブリックコメント)」において、「中薬」の定義と種類はさらに以下のように規定されている:「中薬とは、中医学理論の指導に基づいて使用される薬用物質およびその製剤であり、中薬材、中薬飲片(刻み生薬)、中薬調剤顆粒および中成薬などを含む。」当該規定はまだ正式に承認および施行されていないが、当該定義は実務上、一般的に適用されている中薬の主な産業分類や各種政策規範で取り扱われる中薬の分類と大体一致している。

Q2: 中国は中薬の管理にどのような制度(登録制、承認制、届出制など)を採用しているのか?

A2: 「中華人民共和国医薬品管理法(2019年改正)」の規定により、中国国内で市場販売される医薬品は国務院医薬品監督管理部門の承認を受け、医薬品登録証を取得しなければならない。ただし、承認管理が実施されていない中薬材と中薬飲片(刻み生薬)は除外される。承認管理が実施されている中薬材、中薬飲片(刻み生薬)の品目目録は、国務院医薬品監督管理部門が国務院中医薬主管部門と共同で制定される。

このことから、中国が中薬の登録管理(承認管理)を実施していることがわかるが、承認管理が実施されていない中薬材と中薬飲片(刻み生薬)はその範囲外である。

Q3: Q2に基づいて、登録管理が実施されていない中薬材と中薬飲片(刻み生薬)は?

A3: 中薬材、中薬飲片(刻み生薬)の品目目録の制定・実施は、元国家食品医薬品監督管理局より2004年のときに提案されたが、正式な目録はまだ発表されず、中薬材と中薬飲片(刻み生薬)の承認番号管理業務は基本的に停滞状態にある。

留意しなければならないのは、近年公表された「中華人民共和国医薬品管理法(2019年改正)」、「中薬の科学的監督管理の更なる強化および中薬の伝承と革新発展の促進に関する若干措置」などの文書において、国務院医薬品監督管理部門が国務院中医薬主管部門と協力して制定・実施した承認管理の中薬材、中薬飲片(刻み生薬)の品目目録が強調され、当該目録の指定作業は国家の規制計画に常にある。

Q4: 中薬の登録と承認には特別な規定とは?

A4: 「医薬品登録管理弁法」、「中薬登録分類および申告要件」、「中薬登録管理特別規定」などにより、中薬は登録の際に、中薬の革新的医薬品、中薬の改良型新薬、古代典型的有名な処方の中薬複方(2種以上の処方を組み合わせた処方)製剤、同名同処方箋の医薬品などによって分類され、中薬登録分類の具体的な状況とそれに対応する申告資料の要件は、中薬登録分類および申告資料の要件に関する規定に従って実施される。

また、一定の条件を満たした中薬は、簡易登録承認または優先審査承認を適用することができ、詳細は次の通りとする。
●簡易登録承認:古代典型的有名な処方の中薬複方製剤に対する市場販売
●優先審査承認:明確な臨床的位置付けと明確な臨床的価値を有する以下の状況に対する中薬新薬などの登録:
(一) 重大疾病、新興急性感染症、希少疾患の予防および治療に使用;
(二) 臨床的に緊急でありながら市場において不足している;
(三) 小児用医薬品;
(四) 新たに発見された薬材料およびその製剤、または薬材料の新しい薬用部分およびその製剤;
(五) 薬用物質の基礎が明確で、作用メカニズムが基本的に明確であること。

Q5: 中薬産業における外商投資の現状は?

A5: 中国の中薬産業における外商投資は厳格に規制と制限され、現行の法律により、主に自由貿易試験区にあるかどうかに基づいて2つの状況が存在している。

自由貿易区外では、国家発展改革委員会と商務部が2021年12月に公布し、2022年1月1日より施行の「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)」により、「中薬飲片(刻み生薬)における蒸す、煎る、炙る、焼く等の加工処理技術の応用および中成薬の秘伝処方製品の生産への投資を禁止する」と特別管理措置に納入され、すなわち外商投資は、中薬飲片(刻み生薬)における蒸す、煎る、炙る、焼く等の加工処理技術の応用および中成薬の秘伝処方製品の生産に関与してはならない。

自由貿易区内では、2022年1月1日より施行の「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)」により、「中薬飲片(刻み生薬)における蒸す、煎る、炙る、焼く等の加工処理技術の応用および中成薬の秘伝処方製品の生産への投資を禁止する」と定めていないため、自由貿易区内で当該外商投資プロジェクトが禁止されていないことを意味する。

終わりに

総じて、中国の中薬産業の法的規制と投資参入は着実に改善と発展を遂げている。関連政策の段階的な実施と法令の継続的な更新に伴い、業界内の規範性と透明性が著しく向上し、投資家に新たな機会と挑戦をもたらしている。中薬産業の健全な発展を確保しつつ、投資家は政策動向に注視し、積極的に規制要件に適応し、業界発展の機会をつかまなければならない。将来、中薬産業は法令の保障の下、より規範的で整然とした持続可能な方向に向かい、国民の健康と経済社会の発展により大きな貢献をしていくことでしょう。

(作者:北京市中倫(上海)法律事務所 邱靖弁護士)

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