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ログイン2025年5月30日
はじめに
近年、越境EC業界の急速な発展に伴い、天猫国際(Tmall Global)や京東国際(JD Worldwide)などの越境ECプラットフォームを通じて、海外の健康食品を中国の消費者に販売する健康食品企業が増えている。しかし、健康食品の特別な属性および越境ECの特別な取引形態により、企業は実際の運営において複雑なコンプライアンス上の課題に直面することがよくある。本稿では、中国の現行法律法規に基づき、法執行実務と合わせて、企業のご参考のために、健康食品の越境ECにおけるコンプライアンス要点について解説する。
本文
Q1: 健康食品は越境ECを通じて中国国内まで販売できるか?
A1: はい、販売できますが、特定の条件を満たす必要がある。「電子商取引法」、「越境電子商取引小売輸入商品リスト」、「越境電子商取引小売輸入の監督管理関連業務の改善に関する通知」などの文書に基づき、健康食品は越境EC小売輸入が許可される商品カテゴリーの一つであるが、以下の前提条件がある。
● 当該健康食品が「越境電子商取引小売輸入商品リスト」(通称「ポジティブリスト」)に明記されていること。
● 販売モデルが「個人使用、小口の直接購入」であり、かつ1回の取引金額及び年間購入金額が制限額を超えないこと。
● 製品が原産国(地域)の生産基準に適合し、越境ECの特定規制ルート(例えば「1210」、「9610」モデル)を通じて入国されること。
● プラットフォームまたは販売業者が製品のトレーサビリティ、情報開示、消費者への告知などの義務を履行すること。
Q2: 越境ECで健康食品を販売される場合、中国での登録または届出が必要となるか?
A2: いいえ、必要ないが、限定条件がある。一般貿易で輸入される健康食品は、中国で「健康食品登録証書」または「健康食品届出証憑」を取得しなければならず、さもなければ国内で販売することができない。しかし、越境EC小売輸入(B2Cモデル)は現在、「登録 届出管理を一時的に執行しない」という政策が実施され、つまり中国で登録または届出を取得していない海外の健康食品であっても、越境ECの方法で中国の消費者に販売することが許可されている。明確にしておくべきなのは、関連政策は試行的な性質を有し、将来的に調整される可能性があるため、企業は関連政策の動向を引き続き注目する必要がある。
Q3: 越境ECで販売される健康食品の販売ルートおよびモデルに制限はあるか?
A3: 越境ECを通じて販売される健康食品は、「個人使用、小口の直接購入」でなければならず、つまり海外の販売業者が越境ECプラットフォームを通じて最終消費者に直接販売するものであり、二次転売してはならず、オフラインの実店舗市場に流通させてはならない。さもなければ密輸の違法リスクがある。また、1回の取引金額及び年間購入金額には制限があり、「越境電子商取引小売輸入税収政策の改善に関する通知」に基づき、越境EC小売輸入商品の1回の取引限度額は5000元、年間取引限度額は26000元である。
Q4: 越境ECで販売される健康食品には中国語ラベルを添付しなければならないか?
A4:「商務部、発展改革委員会、財政部、税関総署、税務総局、市場監督管理総局による越境電子商取引の小売輸入監督管理業務の改善に関する通知」に基づき、越境ECで販売される健康食品には中国語ラベルを添付することは強制されないが、越境ECプラットフォームは販売製品のウェブサイト上で製品の中国語電子ラベルを提供し、特定の内容も含まれる。詳細はQ5を参照する。
Q5: 越境ECで販売される健康食品の宣伝において、注意しなければならないコンプライアンス要件とは何か?
A5: 越境ECで販売される健康食品の宣伝においては、以下のコンプライアンス要件に注意しなければならない。
● 国内の健康食品登録または届出を取得していない場合、たとえ原産地で保健機能を有していても、中国国内での販売においては一般食品としてのみ宣伝することができ、保健機能を有すると公言してはならない。
● 中国語ラベルを添付する場合、中国語ラベルは中国法に適合しなければならない。また、越境の健康食品のラベル翻訳問題にも注意を払い、原文の直訳後に保健機能の記述など、関連法律法規に違反する内容が現れないようにしなければならない。
● 「商務部、発展改革委員会、財政部、税関総署、税務総局、市場監督管理総局による越境電子商取引の小売輸入監督管理業務の改善に関する通知」に基づき、越境EC企業は消費者に対する注意喚起告知義務を履行し、越境ECプラットフォームと共同で、商品の注文ページまたはその他の目立つ位置に消費者向けリスク告知書を提供し、消費者が同意を確認した後にのみ注文購入できるようにしなければならない。告知書には少なくとも以下の内容を含まなければならない。
1) 関連商品は原産地の品質、安全、衛生、環境保護、表示などの基準または技術規範の要件に適合しているが、中国の基準とは差異がある可能性がある。消費者は関連リスクを自ら負担すること。
2) 関連商品が海外から直接購入した場合、中国語ラベルがない可能性があり、消費者はウェブサイトを通じて商品の中国語電子ラベルを確認できること。
3) 消費者が購入した商品は個人使用に限定され、再販売してはならないこと。
● 越境EC輸入食品に対する税関の規制政策及びリストの変更を密接に注目し、販売される商品がリストの範囲内であることを確保する。
● 個人使用の名目で越境ECを通じて健康食品を大量に輸入し、販売して利益を得てはならない。
Q6: 企業が越境ECで健康食品を販売される際に実施しなければならない具体的なコンプライアンス措置とは何か?
A6: 企業は以下の方面から着手することをお勧めする。
● 商品コンプライアンスのスクリーニング:オンラインで販売される全ての製品が「ポジティブリスト」に記載され、かつ原産地がコンプライアンスに適合していることを確保する。
● 内容に対するコンプライアンス審査: 広告宣伝の事前審査メカニズムを設置し、商品説明ページ、ライブ配信スクリプト、プロモーション素材などに対して専門的な審査を行う。
● 消費者の知る権利の保障: 製品の出処、成分、用法、賞味期限、適用対象者及び非適用対象者などの情報を十分に開示する。
● データのコンプライアンス管理: 法に基づいて消費者の個人情報を収集、保存、使用し、完全なプライバシーポリシーを策定する。
● アフターサービスの改善: 返品交換メカニズム及び消費者によるクレーム処理メカニズムを確立し、健全化する。
● 証拠保存: 販売記録、広告掲載記録、消費者との意思疎通記録を少なくとも3年間保存し、調査及び訴訟に備える。
終わりに
越境ECの規制が徐々に厳格化することにつれ、健康食品企業は政策の変化に緊密に追随し、商品の選択、内容の審査、データコンプライアンス、消費者権益保護などを網羅する全プロセスにわたるコンプライアンス体制を構築する必要がある。そうして初めて、事業の持続的な成長を促進すると同時に、法的リスクを低減し、長期的な発展を実現することができる。将来的には、企業は越境EC小売輸入政策の調整、個人情報保護法の施行、及び食品安全分野における規制の厳格化の動向にも重点的に注意を払い、「備えあれば憂いなし、コンプライアンス先行」を実践する。
(作者:北京市中倫(上海)法律事務所 邱靖弁護士)
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